福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

追悼 ロリン・マゼール

2014-07-14 15:50:50 | レコード、オーディオ


そうか、マゼールも死ぬのか・・。

マゼール逝去の報を知ったときに、最初に心に浮かんだのは、この言葉であった。

昨年、サントリーホールで聴いたミュンヘン・フィルとのブルックナーの第3番とアンコールで演奏された「マイスタージンガー」前奏曲の完璧さ、その度肝を抜く音楽的仕掛けには、心底驚愕し、感動したものだ。

それまで、レコードやCDから受けていた、頭はキレるけど温かみが足りない、といった表面的な印象を粉々に打ち砕く名演、快演だったのである。

齢80を越して、枯れた味わいといった要素は皆無。その精力絶倫の指揮振りは、鉄人のそれであり、マゼール不死身を印象づけた。しかし、そこに、大いなる包容力と優しさのあったことは見逃せない。専制君主としての振る舞いはなく、楽員を信頼する謙虚な姿勢に貫かれていた。
あの素晴らしい演奏会から、わずか1年と3か月余りで、亡くなってしまうなんて、とても想像つかなかった。

今年のボストン響とのマーラー5番、来日公演。代役のデュトワはとても立派だったけれど、やっぱりマゼールで聴きたかったな。

というわけで、いま、マゼールとウィーン・フィルによるマーラー3番の第1楽章を聴くことを、わが追悼の行事とした。

心よりご冥福を祈りながら。



とはいえ、次元が違う・・・

2014-07-14 13:39:48 | レコード、オーディオ


その後、再び45回転に戻りライナーの「ローマの泉」を聴く。
いやあ、全然違う。
レンジの幅、空間の大きさ、奥行き・・。
上には上があるものだ。

ただし、写真の通りだから、アッという間に席を立って盤を取り替えなくちゃいけない。「ローマの泉」に2面掛かり。

でも、それが苦にならないほどの超絶的音質。

ああ、クナの「胡桃割り人形」や「バーデン娘」を45回転で聴きたい!

結構、売れると思うんだけど、CLASSIC RECORDではRCAでないと難しいのかな? SPEAKERS CORNERに期待か??

33回転も凄いぞ

2014-07-14 12:54:14 | レコード、オーディオ




これも、入手してから数年間、棚に置き放しだったレコード。レスピーギが良かったので、針を降ろしてみた。

フリッツ・ライナー指揮シカゴ響によるヨハン・シュトラウス・ワルツ・アルバム。

いやあ、これも凄い。
無条件完全降伏だ。
超絶的な音質によって、ライナーとシカゴ響の凄さがビンビン伝わってくる。

米CLASSIC RECORDの復刻、恐るべし。否、その前に、指揮者とオーケストラには勿論のこと、半世紀以上昔にこんな優れた録音を成し遂げたRCAのエンジニア達を賞賛すべきか。

45回転病に罹る

2014-07-14 00:49:30 | レコード、オーディオ



随分前に買ったまま殆ど聴かずにいたフリッツ・ライナー指揮シカゴ響によるレスピーギ「ローマ3部作」の復刻盤。
45回転・ジングル・サイド4枚組 by 米CLASSIC RECORD。

急な執筆のご依頼から、仕事関係の音源ばかり聴きつづけ、些か行き詰まった局面に気分転換のつもりで再生したところ、瞬時にしてやられた。

シカゴ響の完璧なアンサンブル。
演奏に非の打ち所のないのは、言うまでもないが、音質がまた超弩級。
なんと鮮やかな録音だろう。

オリジナル盤の音は知らないけど、この復刻が尋常なレベルにないことは分かる。本来1枚2面だったレコードを、音質に配慮しての片面4枚という贅沢仕様。
この抜けるような音、癖になるなぁ。

どうやら急性45回転病に罹ってしまったようだ(笑)。



モントゥー祭開催中!

2014-07-11 12:41:24 | レコード、オーディオ


「幻想交響曲」に引き続き、我が家では、モントゥー祭開催中。



いまは、ベートーヴェンを集中的に聴いているが、改めて素晴らしさを実感。



「エロイカ」など、コンセルトヘボウ管とのフィリップス盤の方に肩入れしてきたが、ウィーン・フィルとのデッカ録音も凄まじい名演であることを確認した。

もうひとつの発見は、米RCAヴィクトローラ盤の音の生々しさ。「田園」など英デッカ・プレス盤より、良いくらい。



唯一のウエストミンスター録音の「第九」は、例えば弦楽器の配置が、下手(向かって左)から、チェロ・第1ヴァイオリン・ヴィオラ・第2ヴァイオリン・コントラバスというユニークさ。低音と超低音が左右に分かれるという効果が何とも面白い!



ストラヴィンスキー「春の祭典」「ペトルーシュカ」は言わずと知れた、モントゥーの初演曲。モントゥーは、パリ音楽院管には満足していなかったそうだが・・。

なぜ、パルジファル?

2014-07-09 17:06:23 | レコード、オーディオ


eBayで落札したクナッパーツブッシュの1958年バイロイト「リング」WALHLL盤のCD。

開梱してみると、なぜか「ラインの黄金」の代わりに同じ1958年の「パルジファル」が!

まあ、こっちの方が枚数多いから良いか(笑)?

海外だと返品するのも面倒だし。

ピエール・モントゥーの幻想交響曲

2014-07-09 16:06:21 | レコード、オーディオ




ただいま、ピエール・モントゥー指揮による3種の「幻想交響曲」を聴いている。

一番上が古くより名演奏中の名演と謳われるサンフランシスコ響とのモノーラル録音。手元にあるはフランス盤 FALP 118。
米オリジナル盤は未聴ながら、この仏プレスの音はジャケット・デザイン同様に陶酔的で魅惑が一杯。モントゥーのアプローチも鋭く、覇気に満ち溢れている。

その下が、ウィーン・フィルと入れたデッカチームの録音によるRCA盤 SB-2090。
前後に較べ、際立った特徴に欠ける恨みもあるが、この中庸の美は決して平凡を意味するワケではない。



この2枚のレコードはどちらも同じ演奏。モントゥーと精神的に深い繋がりのあった北ドイツ放送響とのコンサートホール録音。フランス向け(上)、英国向け(下)のジャケットだが、中のレコード盤に全く変わりはないようだ。
演奏は、晩年のモントゥーらしく、深い味わいに満ちている。オーケストラの献身度が音として伝わってきて感動的である。

これはヤバい。フルトヴェングラーの「ジークフリート」

2014-07-09 09:49:37 | レコード、オーディオ




昨夜の第1幕に引き続き、フルトヴェングラーのミラノ・リングから「ジークフリート」第2幕~第3幕を聴いている。

これは、ヤバい。
「森のささやき」では、弦のざわめきに、まるで命が宿っているようで、森が大きな生命体のように聴こえる。

ミーメ、アルベリヒ、ファフナーの邪悪さにも、その根底に存在や誕生そのものの悲しみがあって、心に響く。

フラグスタートのブリュンヒルデも良い! 後のクナッパーツブッシュとの「ワルキューレ」第1幕やフルトヴェングラーとの「トリスタンとイゾルデ」も名唱だけど、あの声に若さと艶が加わり、そして、舞台上ならではの命の燃焼がある。

ミラノ・スカラ座管弦楽団の実力も凄い。リングが恒常的なレパートリーではない筈なのに、これほど血の通ったドラマを描ききるとは!

フルトヴェングラーのワーグナーは確かに余りに人間的であって、かつてのボクはそれを忌み嫌ったものだが、そもそも「ニーベルングの指環」自体、神々の名を語りながらも、登場人物たちの業、権力欲、金銭欲、エゴ、嫉妬など、人間の備えるあらゆる醜さの博覧会、とも呼べるワケで、今はフルトヴェングラーの表現を無条件に受け入れることができる。

天の視点から描くクナッパーツブッシュと、人間の内面深くを暴き出すフルトヴェングラー。そのどちらかを選んだり、排除するのではなく、両者の違いを味わい、楽しんでしまった方が得なのだろう。

ことワーグナーに限っては、いまや宇野先生よりフルトヴェングラーのことが好きかも知れない(笑)。

この心境の変化には我ながら戸惑うほど。まさか、こんな日が訪れようとは。

それにしても、この伊Fonit Cetraのアナログ盤の音質は見事だ。経年による多少の音ムラは認められるものの、かつて聴いた廉価盤輸入CDとは別次元。この音の生々しさも、フルトヴェングラーのワーグナー再評価への手助けとなっていることは間違いない。


独り言

2014-07-09 01:03:27 | コンサート

10日(木)川口リリアでのスラトキン&リヨン管の幻想。

聴きたいけれど・・・、

その気になればチケットも手に入りそうなのだけれど、台風接近のリスクを思うと手を出せないな。

それより、今日の15時、大野和士の「ホフマン物語」のお買い得チケット、手に入らないかなあ?

3階席最後列なら手に入るのだけれど、オーチャードのその座席の音響を考えると、金を捨てるようなことになるからなあ。

かといって、S席、A席のために3万円を超す出費は、いまのボクにはできないしなあ・・・。

どうないもならないから、独り言をいってみた。

 

 


フルトヴェングラー 1950年 ミラノ・リング 伊Fonit Cetra盤届く

2014-07-08 22:13:00 | レコード、オーディオ





台風を避け、予定より1日早く鹿児島から帰宅すると、フランスのレコード店より、フルトヴェングラーの「ニーベルングの指環」1950年ミラノ・スカラ座ライヴ 伊Fonit Cetra盤 18LPが届いていた。

早速「ジークフリート」から再生しているが、音質の鮮明さに驚かされる。ある意味、デッカ・チームによるクナッパーツブッシュの「神々の黄昏」1951年バイロイトより良いくらい。何が良いと言って、歌手のみならず、オーケストラが生々しく捉えられているのだ。



「ジークフリート」の第1幕を聴き終えただけなので、批評はまたの機会に譲るが、これだけ優れた音質なら、SACDとなった1954年ローマ・リングと対等に並べて語ることができる。スヴァンホルムのジークフリートも強力など、歌手陣も充実している。

全曲をまとめて鑑賞する時間を工面するのは不可能に近そうだが、1幕ずつでも聴き進めてゆくのが楽しみだ。



ところで、このレコード・セットの発売は1983年と、CD時代到来間際。よくぞ間に合ってくれたものだ。