明鏡   

鏡のごとく

「日田巡り」

2016-11-20 22:05:35 | 詩小説


日田には、いろいろな山の幸があった。

原木で作るしいたけを狩るためにしいたけ農家さんを訪ねた。
同じ温度と湿度を保ち、一年中、しいたけが生まれやすいようにする環境が何より必要だと思われた。
しいたけの白いひだがきめ細やかで、傘は肉厚で、炭火で炙ったしいたけから染み出した出汁のような匂いをも味わう。
みずみずしいのは、採れたてであると同時に、ここの水と空気の旨味のためである。

また、えのきの工場と分工場を拝見した。
農協が主に請け負っているという菌糸を植え付け育て、ある程度、育ったところで、個人で経営されている分工場に送り、そこで育つのを待ち、程よく育ったところで食べたい人の手に渡るえのき。
シルクのような白色のつやつやとしたえのきの生えた、日田は杉の産地なので、おがくずやトウモロコシの芯の砕いたものや米ぬか、ビート、おから、その他もろもろとを水分67パーセントほどの培地になるように混ぜ合わせ、半透明な大人の人差し指と親指を輪っかにしたよりも少し大きめの瓶一つ分を、ぽこっと気持ち良く抜き取り、お持ち帰りし、早速、鍋のお供にした。

人も何かの養分をすするのならば、菌糸のように木に生え、おがくずやトウモロコシの芯で培養され、にょろりと伸びやかに育つのが良い。

それは、土の柔らかさの延長線上にするりとあるものだ。