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タイトルを変えてみました

突然ですが、タイトルを変えてみました。
これまでのタイトルは長くて覚えにくく、それに「新設」じゃない温泉のレポが増えてきたので(笑)改題します。
新タイトルは、「関東温泉紀行」。

まんまで、ちと堅めですが、今後は紀行的な色あいをつよめていきたいので、とりあえずこれでいきます。
これまでのタイトルは検索の関係もあるので、当分、サブタイトルとして残します。
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ひさびさの・・・

このところちょっと信じられないくらい忙しくて、おかきこできませぬ。
でも、ようやくヤマは越えたような・・・。

森恵さんのストリートライブを何本か。
圧倒的な歌唱力。これは素通りできぬわな・・・。

森恵 そばに


『手に入れた星は・・・ 予想以上に暗い。
息を吹きかけ、そっとみがいてさらに小さくなる。。。』
うう、切ない。

森恵 愛せない人


この信じられない声量は、いったいどこから出てくるのか??

森恵 茜色の約束


これだけ唱えたら、やっぱり気持ちいいだろ~な。
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日本酒-10 / ■味覚からのネーミング

■ 味覚からのネーミング - 淡麗辛口、濃醇濃口、日本酒度、酸度など -


「淡麗辛口」「濃醇濃口」などのラベルが貼られている酒がありますが、これは味・飲み口をあらわしたものです。


〔 酒質を物語る裏ラベル 〕

<日本酒度>
よくつかわれる数値指標に”日本酒度”があります。
15℃に調温した酒に規定の浮秤(ふひょう)を浮かべて計測し、4℃の蒸留水と同じ重さの酒を0とします。
それよりも軽いものは+の値、重いものは-の値としますが、糖分が多い甘口の酒は比重が重いためマイナスの数字が大きくなり、糖分が少ない辛口の酒は比重が軽いのでプラスの数字が大きくなるという性格があります。

 
【日本酒度+12度の地酒】
小富士  本醸造酒 島田酒造(株)/愛媛県東温市 精米歩合65%

「日本酒度が高い」というのは+の値が大きいことで、一般に「辛口」の酒とみなされます。
-値が高いのは「甘口」とされますが、酒の甘辛は酸度などとも関連するので一概にはいえないという見方もあります。
また、厳密に酒の甘辛をあらわすには、ブドウ糖濃度と酸度から算出する”甘辛度指標”をつかうべきという意見もあります。

なお、日本酒度の平均は時代とともに大きく変動し、江戸期から戦前にかけては大きく+(辛口)に振れていたそうですが、戦後「甘い物=贅沢・高級品」という風潮もあってか、日本酒度は大きく-(甘口)に振れました。
近年は辛口志向がつよまり、+2度くらいが「中口」とみられています。

<酸度>
酒中の乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸などの酸の量をあらわす指標で、ふつうは日本酒度とあわせて飲み口をあらわすバロメーターとされます。
一般には、酸度が高いと「濃醇」系、低いと「淡麗」系になるといわれますが、酸は味を引き締めキレやハリをもたらすともいわれるので難しいところ。
「濃醇」とは酒味が濃いこと。「淡麗」とはすっきりとした清冽な飲み口で、対の表現とされます。
吟醸酒は淡麗系のものが多くなっています。

<日本酒度 & 酸度>
この2指標の組み合わせにより下記の区分でチャート化されます。
1.「淡麗辛口」:日本酒度は+に高く、酸度は低め。
2.「淡麗甘口」:日本酒度は0附近から-側に振れ、酸度は低め。
3.「濃醇辛口」:日本酒度は比較的低く、酸度が高い。
4.「濃醇甘口」:日本酒度は0附近から-側に振れ、酸度は高め。
ただ、このチャートの仕切線は+型ではなく↓のように斜線が交差するかたちをしていて、読み方を複雑なものにしています。


〔日本酒のチャート〕 ※各種資料をもとに筆者作成

一般に、酸度が高いと辛口に感じる傾向があるとされます。
酸が多いと糖分が多くても辛く感じ、すくないと糖分が少なくても甘口に感じます。
チャートでみると、日本酒度+5度でも酸度が低ければ「淡麗甘口」、-5度でも酸度が高ければ「濃醇辛口」となり、日本酒度の+-だけでは甘辛は測れないことがわかります。

わたしはどちらかというと淡麗辛口系の酒が好きですが、+8度でも雑味が多くしっくりこない酒があり、0度前後でもすっきりした飲み口のものがいくらもありました。

<アミノ酸度>
一般に、酒中のアミノ酸が高いとどっしり濃醇、低いとすっきり淡麗な飲み口になるので、「アミノ酸度」を表示する蔵元もあります。
アミノ酸が多すぎると雑味に通じることもあるので、低く抑えようとする傾向があるようですが、酒中アミノ酸の種類は多岐にわたり、独特の旨味や奥のふかい風味を生み出すこともあって、旨味やゴク味(多彩な要素がほどよく調和している味)の指標としている酒通もいます。

なので、アミノ酸度の低い酒がかならずしも良酒とはいえません。
ここらへんは嗜好性の高い日本酒、ひとすじ縄ではいかないところ、「日本酒は数値では語れない」といわれる好例かと。

べつに↓のような表現もあります。
<芳醇(豊醇)>
甘辛、味の濃淡よりはむしろ香りの高さを表現しているようです。

<旨口>
辛口を感じやすいキレよりも、コクと奥行きが卓越するふくらみのある味わい。
甘口と混同されやすいが、ちがうものとされます。

<濃口>
おそらく、酒味が濃くしっかりした酒質のものを指すのだと思います。
濃醇とは同系なので、「濃醇濃口」といった表記がみられます。

「『辛口』が好み」という人の話しを聞いてみると、辛口というよりはすっきり淡麗で飲みやすい(=濃醇甘口でない)という意味でつかっていることが多いような気がします。
「この酒、辛口じゃないけど美味しいね」という場合は”旨口”の酒。
「甘口すぎてちょっと・・・」という場合は、酸度が高く雑味が多く、いわゆる「さばけが悪い」酒を指していることが多いように感じています。
このあたりは個人の感覚なので、混沌としていますね。

 
【下越の銘醸、〆張鶴】
〆張鶴 月(本醸造酒) 宮尾酒造(株)/新潟県村上市 精米歩合:麹米55%、掛米60%

--------------------------------------------------
まあ、いろいろと長々書きましたが、日本酒も温泉と同じで、いくら机上で蘊蓄を知ってもそれだけではなんにもなりません。
まずはいろいろと飲んで(入って)みることだと思います。
どちらも個人の好みがつよいので、マスコミや人が×をつけても、自分がいいと思えばそれで佳し、かな。

それにしても日本酒は深い!。世界に冠たるお酒であることはまちがいないと思います。


バックが凄い!
とくに川江美奈子(Chorus)と田中義人(Guitar)。



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日本酒-1
日本酒-2 / 1.玄米
日本酒-3 / 2.精白
日本酒-4 / 3.蒸米・麹・酒母
日本酒-5 / 4.もろみ(仕込み・造り)
日本酒-6 / 5.搾り
日本酒-7 / 6.滓澱(オリ)引き、濾過
日本酒-8 / 7.火入れ ・ 8.貯蔵・熟成
日本酒-9 / 9.濾過・火入れ(2回目) ・ 10.割水
日本酒-10 / ■味覚からのネーミング
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日本酒-9 / 9.濾過・火入れ(2回目) ・ 10.割水

9.濾過・火入れ(2回目) - 生貯蔵酒、生詰酒、ひやおろし、生一本 -

ふつう貯蔵・熟成のあと、2回目の濾過、割水、2回目の火入れを経て、瓶詰、出荷となります。
これらの工程の有無で複雑な呼び分けがなされ、「生酒」系日本酒をいっそうわかりにくいものにしています。

「生貯蔵酒」(「生貯」(なまちょ)・「先生」(さきなま))は、1回目の火入れ(酒質を安定させるための火入れ)をせずに貯蔵し、瓶詰め前に火入れされたもの。
火入れをせずに貯蔵に入ると発酵が継続し、アミノ酸分解や糖化により風味が調和する”調熟作用”が働きますが、これを狙ったものと思われます。
「生詰酒」(「後生」(あとなま))は、1回目の火入れをし、2回目(瓶詰前)の火入れをしないもの。
「生酒」(なまざけ/「生生」「本生」)は、火入れを1回もしないもの(=本来の意味での「生酒」)として区別されているようです。

冬季に醸造・火入れして春・夏を涼しい酒蔵で貯蔵・熟成させ、秋に2回目の火入れをせず瓶詰・出荷されるのが「ひやおろし」
火入れして安定した酒は春~夏にかけてゆっくりと熟成され、新酒の荒々しさがこなれて円熟味を増していきます。
秋に向けて味を上げていくことから”秋上がり”するといわれ、逆に思うように熟成が進まず旨味が生まれなかったものを”秋落ち”といいます。
”秋上がり”した酒を「ひやおろし」として出荷しますが、「秋上がり」というネーミングもたしか見たことがあります。

旬は9、10、11月で、日本名門酒会のHPによると、出荷時期によって、「夏超し酒」(なごしざけ)、「秋だし一番酒」、「晩秋旨酒」と呼び分けているようです。
秋が深まるにつれ、熟成がすすんで濃淳さを増していき、「晩秋旨酒」は「お燗にしても美味しい」そうです。
「ひやおろし」は銘柄にもよりますが、どっしりとした重さを感じるものが多いので、それに負けない味のしっかりとした酒肴との相性がいいように思います。

「ひやおろし」は2度目の火入れをしておらず、秋の旬酒でもあるので早めに飲みきるのが粋とされています。

10.割水
並行複発酵を用いて醸される日本酒はもろみの段階では20度近いアルコール濃度があり、ふつう貯蔵や熟成も高い度数を保ったままでなされますが、出荷前にアルコール度数を整えるためおこなわれるのが割水です。
ふつう、”加水調整用水”といわれる質の高い水がつかわれます。

じっさい、多くの清酒は15~17度なので、割水調整されているとみられます。
割水工程以前に出荷される酒は、アルコール度数が比較的高くなります。

ついでに水についてもふれておきます。
「名水あるところに良酒あり、良酒あるところに名水あり」といわれます。
硬度14度を超えるような硬水では、リンやカルシウムなどが多くなり酒質を落とすとされますが、日本の水は軟水が多く、日本酒づくりに向いているといわれます。
ただ、軟水であればいい酒ができるというとそういうことはなく、日本有数の名水といわれる西宮の「宮水」は硬度10程度の中硬水だそうです。
一般に硬水系だと酵母の発酵を助けるカルシウムやマグネシウムが多いので、発酵時間が短く、酸度の高い辛口でしっかりとした飲み口の酒、軟水系だとその逆で酸度低めのやわらかな飲み口になるとされます。
よく引き合いに出されるのが、硬水をつかった男酒、灘の酒と、軟水をつかった女酒、伏見の酒です。
さらに重用視されるのが鉄分の有無で、鉄分の多い水ではけっしていい酒は醸せないとされます。

「名水は腐らない」といわれます。
ふつうの水では一度に大量の水を仕込むと腐りやすくなるので、米十石に対して水六石程度がせいぜい。これでは効率が悪いし、しかも鈍重な酒質に仕上がりやすいそうです。
ところが「宮水」などの名水は腐りにくいので、米十石に対して水十石の「十水(とみず)仕込み」ができるといいます。


ほかにも、「生一本」(単一の製造場のみで醸造した純米酒、たぶん「『桶買い』(外の蔵から酒を買い入れてブレンドなどをすること)はしてないよ」ということをあらわしているのだと思う)、「斗瓶取り(囲い)」(上槽時、酒を斗瓶(18L瓶)に分け、酒質のよいものを選別したもの)などのサブタイトルがみられます。

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日本酒-1
日本酒-2 / 1.玄米
日本酒-3 / 2.精白
日本酒-4 / 3.蒸米・麹・酒母
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日本酒-6 / 5.搾り
日本酒-7 / 6.滓澱(オリ)引き、濾過
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日本酒-8 / 7.火入れ ・ 8.貯蔵・熟成

7.火入れ - 生酒(なまざけ)、古酒、樽酒 -

”火落(ひおち)菌”という日本酒が好物の細菌を除いたり、酵母の活動を収めて酒質を安定させるために、”火入れ”という作業をします。
火落菌が繁殖すると酸味が増したり、異臭を発したりして商品価値がなくなるので重要な工程とされています。

火落菌は60℃で死滅するので、ふつうはパイプによる間接加温で低温殺菌します。
「生酒」は、火入れをしていないもの、「生貯蔵酒」は、火入れせずに生で貯蔵し、出荷時に火入れしたものです。
(じっさいはもっと複雑 → 後記)

火入れしていない「新酒」や「生酒」は酵母が生きていることもあるので、変質しないうちに早めに飲むものとされています。
「生酒」系で保存が悪く酵母が活躍してしまった場合、”生老ね香”(なまひねか)という特有の異臭がでて嫌われます。

なお、以前は火落菌対策として人体に有害の疑いがあるサリチル酸がつかわれたこともあるそうですが、昭和44年以降は自粛、48年に酒税法により使用を禁じられ今に至っています。

8.貯蔵・熟成
日本酒は貯蔵・熟成させることにより円熟味を増し”味乗り”するといわれます。
ワインではこの熟成が重視され、中国の醸造酒、”黄酒”(ホアンジゥ)では、長期熟成させた黄酒をとくに”老酒”(ラオジゥ)と呼び分けて珍重します。

ちなみに中華料理店でよく飲まれる『紹興酒』は、浙江省の”紹興”という銘醸地で醸されるブランド黄酒です。
華北では醸造酒を蒸留してつくる”白酒”(パイジゥ)という白い強烈なお酒が好まれ、華南では醸造酒の黄酒が好まれるようです。
中国では北が蒸留酒文化圏、南が醸造酒文化圏と色分けすることができるかもしれません。

蛇足ながら、日中国交回復の宴席で、周恩来首相と田中角栄首相が乾杯した折、”酒豪”といわれた角栄氏が、その度数のあまりの強さに一瞬顔をしかめたといわれる伝説の貴州産『茅台酒』(マオタイジゥ)は最高級の白酒です。

1年以上貯蔵・熟成された酒は、貯蔵年数を表示することができ、「古酒」として販売されることがあります。
貯蔵・熟成が数年間に及ぶものは「古々酒」「大古酒」「秘蔵酒」などのサブタイトルがつけられることがありますが、定義は統一されていないようです。
「古酒」系の酒は、高い芳香と濃淳な飲み口をもつので”熟酒”ともいわれます。

樽が貯蔵・熟成し、木の香をまとったものを「樽酒」といい、樽で仕込みをおこなう「樽仕込み」とは意味合いがちがいます。

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日本酒-7 / 6.滓澱(オリ)引き、濾過

6.滓澱(オリ)引き、濾過 - 生酒(なましゅ)、無濾過酒 -

上槽した酒をタンクのなかで数日おくと、固形物が沈澱して上部が澄んできます。
このあいだに糖分が増加して味に”慣れ”が出るとされます。
これが”滓澱(オリ)引き”で”滓下げ”ともいいます。

ふつうタンクの下のほうに呑穴という取出口がふたつあり、 上を上呑、下のを下呑といいます。
「上呑」というサブタイトルもあったような気もしますが、さだかではありません。

上澄みの部分を「生酒」(なましゅ)といい、「生酒」(なまざけ=”火入れ”していない酒)とは意味が異なります。
上澄み部分を「原酒」として出荷することもあるようで、「原酒」の定義はいささか混乱しています。

濾過工程はふつう滓澱引きのあとに入ります。
活性炭やフィルターををつかい、色や雑味を取り除く方法が一般的ですが、「生酒」系では”限外濾過”(げんがいろか・UF/ultra-filtration)という酵母さえも濾過する方法で”火入れ”をせずに出荷されるものもあります。

濾過用活性炭には多くの種類があり、とくに淡麗度に影響を与えるとされていることから、独自のノウハウをもつ蔵元も多いようです。
濾過以降の工程をせずに出荷する酒は「無濾過酒」といわれます。
ふつう濾過は”火入れ”の前工程なので、「無濾過生(原)酒」とされることもあります。



〔家にある日本酒たち-2〕

純米吟醸 山古志(お福正宗) お福酒造(株)/新潟県長岡市 山古志産棚田栽培米 精米歩合60%

川鶴 吟醸 川鶴酒造(株)/香川県観音寺市 麹米 山田錦 掛米 オオセト 精米歩合50% 9号酵母

純米吟醸 以津美 鈴木酒造(資)醸造・月山酒造(株)瓶詰/山形県寒河江市 出羽燦々 精米歩合50% 山形酵母

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日本酒-6 / 5.搾り

5.搾り - 新酒、原酒、搾り、雫酒、新走り、中汲み -

アルコール発酵がよわまってくると、これを圧搾機で搾って、新酒(原酒)と酒粕にわけます。”上槽(じょうそう)”ともいいます。
搾りやこのあとの濾過をおこなわないものが”にごり酒”や”どぶろく”です。
ふつう、発泡性のものを”どぶろく”、そうでないものを”にごり酒”とよぶようです。

その年にはじめて搾った新酒を「初搾り」といい、”初搾り式”がおこなわれるほど大切なものです。
厳密な意味での「初搾り」は杜氏さんがその年のお酒の出来を確認するのにつかわれますが、つづいて搾られたものが「初搾り」、「一番搾り」として出荷されることもあります。
このように、”搾り”は日本酒のイメージがつよい工程なので、キリンの”一番搾り”がでたときは違和感を感じた業界関係者もいたそうです。

圧搾機をつかわず、もろみを袋に吊るして滴らせる方法もあります。こうしてとられた酒は「雫酒(しずくざけ)」と呼ばれて珍重されます。

伝統的な圧搾機は船底のようなかたちをしていたので、”槽(ふね)”とよばれ、搾り口を”槽口(ふなくち)”といいます。
槽口からの搾りたては「搾りたて」「新酒」などとネーミングされます。新酒特有の炭酸含みの爽やかな新酒香と酸味が特徴で、早春が旬とされます。
ただし、日本酒の製造年度は毎年7月から翌年6月で、製造年度内に出荷されたものを「新酒」と銘打つこともあります。

新米をつかった槽口からの搾りたて酒をとくに「新走り(あらばしり)」と区別する蔵元もあるようです。
「新酒」系の酒はたいてい若々しく荒削りな飲み口を供するので、それを受けてか「荒走り」とされることもあります。

初搾りや新走りのつぎに中間層から搾られる酒を”中汲み(なかぐみ)”、”中垂れ(なかだれ)”、”中取り(なかどり)”などといいます。
味や香りはこなれてバランスがとれているとされ、「中汲み」「中取り」と銘打たれることがあります。

上槽時、最後に出てくる部分は、”責め”、”押し切り”などといわれ、アルコール度数が高く濃い酒質となりますが、これはサブタイトル化されることはあまりないようです。



〔家にある日本酒たち-1〕

李白 特別純米酒 李白酒造(有)/島根県松江市 島根県産酒造好適米 精米歩合58%

梅乃宿 純米吟醸酒 梅乃宿酒造(株)/奈良県葛城市 精米歩合50%

越乃四季 純米大吟醸 柏露酒造(株)/新潟県長岡市 精米歩合40%

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日本酒-5 / 4.もろみ(仕込み・造り)

つづきです。

4.もろみ(仕込み・造り) - 小仕込み、樽仕込み、段仕込み -

もろみとは酒母に麹、蒸米、水を加えたもので、これが酵母の働きで発酵して原酒をつくりだします。
日本酒づくりで重要な発酵工程で、”仕込み”ともいい、「一麹、二酛、三造り」の”造り”にあたります。
このもろみを”仕込む”ときにつかう蒸米が”掛け米”です。

ふつう、発酵に充分な酵母を育て活性を保つため、酒母に蒸米、水を一気に加えず何回かにわけて加えられるので、「段仕込み」ともいわれます。
一般的なのは3回で、これを「三段仕込み」といい、1回目から3回目までそれぞれ”初添”、”仲添”、”留添”という名がついています。
2日目に”踊り”という発酵調整期間をはさみ、仕込み工程は4日ほど。
”留添”のあとに、蒸米を糖化して4回目の仕込みをしたものを「四段仕込み」といい、ふつう甘口の酒質になるとされます。
「五段仕込み」など段数を多くした表示もみられますが、酵母の活性を保つには「三段仕込み」で充分とされ、段数の多さは酒質に比例しないという見方が一般的です。

どういうタイミングでどの程度の麹、蒸米、水を加えていくかはまったくの職人技で、これにより酒質が大きくかわるそう。杜氏さんの力量が問われるところです。
なにしろ相手は酵母なので、気温や湿度などでデリケートに変化するうえに、蒸米や麹、酒母の仕上がり具合までもふまえ長年の感覚でこなしていくので、その難易度はただごとではなく、コンピューター化するとしたらいったいどのくらいのパラメーター(変数)が必要なのか、ちょっと想像がつきません。(完全な置き換えはできないと思う。)

この”仕込み”を小ロットで丁寧におこなうのが「小仕込み」、仕込みを樽の容器でおこなうのが「樽仕込み」です。


加賀の銘酒・常きげん 鹿野酒造(株)/石川県加賀市 純米酒

”留添”のあとはもろみをじっくりとアルコール発酵させ、20日ほどで約18度くらいの度数になります。
アルコール発酵は二酸化炭素を生むので、ふつう、もろみには”水泡”、”かに泡”、”玉泡”など、発酵状況に応じた泡が発生しますが、泡の管理を省いたり、仕込み量を増すため、”泡なし酵母”という泡を発生させない酵母もつかう蔵元もあります。
ただし、これはサブタイトルとして記載されることはあまりありません。

また、”搾り”の前に醸造用アルコールを添加すると、すっきりとした辛口に整い香りを引き出すとされ、必ずしも「純米」にこだわる必要はないという見方もあるようです。

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日本酒-4 / 3.蒸米・麹・酒母

たたみかけるように(笑)、さらにいきます。

3.蒸米・麹・酛(酒母) - 生酛(きもと)、山廃など -

日本酒造りには「一麹、二酛、三造り」ということばがあり、この工程は酒づくりの最大のポイントとされています。
日本酒とは、麹米のデンプンを麹で糖化させ、これを清酒酵母の作用によってアルコール発酵させることで醸造されるものです。

麹は蒸米に黄麹カビをうえてつくられ、麹で糖化された液のなかに清酒酵母を入れたものが”酒母”ないし”酛(もと)”とよばれます。
”酒母”にどれだけ多くの良質で健全な酵母が含まれているか(あるいは育てていくことができるか)が酒づくりの要点とされます。

”酒母”のつくり方には大きく”生酛(きもと)法”と”速醸法”のふたつがあります。
”酒母”にはふつう空気などからさまざまな微生物や野生酵母が入り込み、硝酸還元やら何やらの複雑な反応をたどった上に、最終的には天然の乳酸菌がつくりだす乳酸で、微生物、ついには乳酸菌自体も死滅して、優勢な清酒酵母だけが生き残ります。
その前段階として乳酸菌の”エサ”というか、”糖化”の結果としてブドウ糖が要るのですが、麹の酵素と蒸米とを接触させ、ブドウ糖をつくりだす助けとなるのが(たぶん)「山卸(やまおろし)」です。
ちなみに、速醸酛(法)は、仕込みの際に乳酸を加えて短期間に酒母を造る方法で、近年、ほとんどの日本酒は速醸酛(法)で醸されるといわれています。

生酛は、ふつう寒中の夜中におこなわれる厳しい作業です。
冷やした蒸米と麹と仕込み水を低温で混ぜ合わせ、数時間おきに荒櫂(あらがい)で粥状にすりつぶすのが「酛すり」ないし「山卸」といわれる作業です。
明治40年代、麹に仕込み水を加え”水麹”として蒸米を混ぜれば「山卸」と似たような効果が得られることが解明され、それに適した”山卸廃止酛”も開発されて、「山卸」を廃止しても良質な酒がつくれるようになりました。(「櫂でつぶすな麹で溶かせ」などといわれる。)

この工程上「山卸」を廃してつくられた酒を「山廃づくり」、「山卸」をしてつくられた酒を「生酛(きもと)づくり」といいますが、単純に「山卸」の有無だけでなく、おのおのに応じた細かな技法上のちがいも大きいといわれます。
「生酛」にしても「山廃」にしても酵素反応で自然に乳酸がつくられるのを待つわけですから、菌や酵母をコントロールする相応の技術や日数(「生酛」では1ヶ月ほどもかかるらしい)が必要です。

山廃づくりの酒は概して酒母のアミノ酸組成が高くなるので濃醇系のしっかりとした味になり、水で割っても飲めるほどといわれます。
また、生酛づくりの酒は優勢ですぐれた清酒酵母でじっくりと醸成されるため、雑味がすくなく、かつ奥ぶかい味わいのすぐれた酒質になるとされます。

それにしても「山廃」や「生酛」の説明はむずかしいですね。バイオテクノロジーそのものです。
疲れたのでとりあえずこのへんでやめときます。
温泉とは直接関係ないですが、しばらくつづけます。

【BGM】


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日本酒-3 / 2.精白

止まらなくなったのでさらにいきます。

2.精白 - 吟醸、大吟醸、純米、本醸造、上撰など -

玄米の表層部はタンパク、脂肪、糖分など”雑味”につながる成分が多いので精米されます。この精米歩合などにより名称がかわってきます。

日本酒は酒税法によって”特別名称酒”というものが定められています。
純米大吟醸酒、大吟醸酒、純米吟醸酒、吟醸酒、特別純米酒、純米酒、特別本醸造酒、本醸造酒の8つで、その多くは精米歩合によって定義されます。
60%以下まで精米されたものが「吟醸酒」、50%以下は「大吟醸酒」です。
(厳密には”吟醸造り”などほかの条件もある。 → 後記)

従来は米だけでつくられていても、70%以下に磨かないと「純米酒」を名乗れませんでしたが、いまは法改正で精米歩合にかかわらず「純米酒」と表記できます。


群馬川場の地酒 「誉國光」
特別純米 土田酒造(株)/群馬県川場村 精米歩合60%

ついでに「純米酒」についてもふれておきます。
味やアルコール度をととのえたり、芳香をつけるために醸造用アルコールを加えることがありますが、これを加えず”米”だけで醸造したものが「純米酒」です。
これは、精米歩合とは関係ないので、「純米大吟醸酒」(醸造用アルコールを加えず、精米歩合50%以下のもの)、「大吟醸酒」(醸造用アルコールを加え、精米歩合50%以下のもの)などという区分ができるわけです。
醸造用アルコール添加については賛否両論ありますが、最近では添加なしの「純米酒」の人気が高まっています。
なので日本酒の最高峰は「純米大吟醸」ということになりそうです。
(ただし、純米大吟醸酒のなかには磨きすぎて酒本来の「ゴク味」(調和のとれた複雑な味わい)を失っているものもみられること、また、コスパは高いとはいえないことなどから、日本酒通のあいだでは近年の「純米大吟醸ブーム」を揶揄する風潮もみられます。)

日本酒が思いっきり濃醇甘口路線(いわゆる「オヤジ系の酒」)に振れた昭和後期の時代には、醸造用アルコール、糖、酸味料などを加えたいわゆる「三倍増醸酒(三増酒)」が量産されました。
アルコール添加にいまでもこのイメージが残っているのは確かかもしれません。

60%以下の純米酒で、”製造上に特別な工夫のあるもの”を「特別純米酒」と呼びます。
”製造上に特別な工夫のあるもの”の定義はよくわかりません。
70%以下で醸造用アルコールを添加したものを「本醸造酒」、これに加えて”製造上に特別な工夫のあるもの”を「特別本醸造酒」と呼びます。

こうしてみると、精米歩合70%、60%、50%がそれぞれ名称のしきい値になっていることがわかります。

ただ、精米歩合60%以下ならかならず「吟醸酒」を名乗らなくてはいけないということはなく、60%以下でも”吟醸”、50%以下でも”大吟醸”を名乗らない蔵元もけっこうあります。
たとえば、いま、手元に、島根県松江の「李白」がありますが、これはアル添なしで精米歩合58%なのに「純米吟醸酒」を名乗らず、「特別純米酒」としています。
「吟醸」よりも純米や技法を打ち出したというところでしようか・・・。


魚沼の銘醸 「鶴齢」
純米吟醸 青木酒造(株)/新潟県南魚沼市(旧 塩沢町) 越端麗100% 精米歩合55%

※60%以下で”吟醸造り”をしたものを「(純米)吟醸」、していないものが「特別純米酒」という見方もあります。
”吟醸造り”とは、もともと「原料や製法などを吟味して丹念につくられる発酵系食品」のことですが、日本酒ではとくに、精米歩合を低く(磨き(研ぎ)を強く)する(必須)、突き破精(つきはぜ)型の麹(淡麗系酒質に仕上がるとされる)をつくる、「香露酵母」(協会9号)・「浦霞酵母」(同12号)など吟醸向き酵母をつかう、低温でじっくり発酵させるなどの条件が求められるようです。
いずれにしても明確な定義はないようで、吟醸香があり淡麗な飲み口のものを「(純米)吟醸」、どちらかというと、どっしりとした飲み口のものを「特別純米酒」としている例が多いようです。

ちなみに”吟醸酒”にはフルーティーな”吟醸香”があるとしてもてはやされますが、いまは”花酵母”(芳香をもたらす酵母)の導入などにより”吟醸香”をかなり自在につくりだすことができるため、吟醸香と吟醸酒の質はかならずしも比例しないかもしれません。


三重四日市の酒 「宮の雪」
本醸造 (株)宮崎本店/三重県四日市市 麹米60% 掛米65%

ついでに”日本酒の香り”について寄り道します。
権威が高いとされる「全国新酒鑑評会」では、上立香(うわだちか/口に近づけたときに鼻で感じる香り)、や含み香(口に含んだときに鼻に抜けていく香り)が重視されます。
もともと「全国新酒鑑評会」を意識してつくられることの多かった吟醸酒には「吟醸香」という独特な香りがあり、それが現代の嗜好にも合って「吟醸酒」ブームを巻き起こしました。
だから”酒の香り”が意識されるようになったのは最近かというと、けっしてそんなことはなく、室町時代にしてすでに「十種酒」という、香りだけで銘柄を当てるきき酒が楽しまれていたというのですから、日本人おそるべしです。

ワインは香りが非常に重視されるお酒ですが、日本酒も負けてはいません。
フランスの著名なソムリエたちが日本酒のティスティングをしたときのこと。(「ワインの常識」稲垣眞美氏著、岩波新書より)
日本酒の色からして、白ワインの評価につかう表現がつかわれるかと思いきや、ほとんどのソムリエが香りの複雑な赤ワインにつかう表現を用いたそうです。
筆者は「日本酒の世界が、赤ワインという貯蔵・熟成を常識とする分野に重なり合ったのである。白ワインよりもっとひろがりのある領域が、異国の舌によって日本酒の中に見いだされているのが、画期的なことのように思えたのである。」と述べられています。

日本酒の香りはさまざまな条件が重なって醸しだされますが、なかでも大きいのが清酒酵母の力とされます。
「全国新酒鑑評会」などで優秀な成績をおさめた銘柄などの使用酵母が分離され、日本醸造協会を通じて頒布されているなかには、高い香りをもたらすものがあります。
これらは協会の号名、ないしは銘柄の名を冠して呼ばれ、酒好きのあいだで広く知られています。
「真澄酵母」(協会7号)は長野県の真澄、「香露酵母」(協会9号)は熊本県の香露、「明利小川酵母」(協会10号)は茨城県の明利酒類(主要銘柄:副将軍)、「浦霞酵母」(協会12号)は宮城県の浦霞からそれぞれ分離されています。
なお、清酒酵母は分離蔵と発祥蔵(本来の蔵つき酵母)が異なる場合があり、発祥蔵については異説もあります。
また、秋田県で開発されている”秋田酵母”系列には、華やかな吟醸香を出すものがあります。

------------------------------------------------------------
平成4年(1992年)まで、日本酒は酒級別制度のもとにありました。
一般になじみの高かった「特級酒」「一級酒」「二級酒」という名称は、この制度によるものです。
この等級は主にアルコール度数により区分けされ、行政の級別鑑査申請により決定されましたが、鑑査申請しないと自動的に「二級酒」になったので、「二級酒」でも味のよい銘柄がいくつもあったそうです。

あえて鑑査申請をおこなわず「無鑑査」として流通された酒もあります。有名な『一ノ蔵 無鑑査』はその名残りとされています。

酒級別制度の廃止により、蔵元が独自基準で対応したネーミングがあります。
「特撰」「上撰」「佳撰」がそれで、それぞれ「特級」「一級」「二級」に対応しているものが多かったようです。いまもこの名称をつかう銘柄はけっこうあります。

つづきへ

日本酒-1
日本酒-2 / 1.玄米
日本酒-3 / 2.精白
日本酒-4 / 3.蒸米・麹・酒母
日本酒-5 / 4.もろみ(仕込み・造り)
日本酒-6 / 5.搾り
日本酒-7 / 6.滓澱(オリ)引き、濾過
日本酒-8 / 7.火入れ ・ 8.貯蔵・熟成
日本酒-9 / 9.濾過・火入れ(2回目) ・ 10.割水
日本酒-10 / ■味覚からのネーミング
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日本酒-2 / 1.玄米

酒屋で日本酒の棚をみていて不思議に思うのは、そのサブタイトルの多さです。
純米、吟醸、本醸造、特別本醸造、上撰、淡麗、濃醇、無鑑査、生酒、原酒、古酒、山廃(やまはい)、生酛(きもと)、小仕込み、無濾過、新走り、中取り、ひやおろし、雄町100%使用・・・。
なにがなにやらさっぱりワケがわかりません。
そこで、まずは、これらの中身を整理してみます。

日本酒は”醸造酒”です。
”醸造”とは、麹などの発酵作用を利用してアルコールをつくり出すことで、ワインやビールも”醸造酒”です。
日本酒は”並行複発酵”*を用いた非常に複雑な製造工程からつくられるので、これを知らないと↑の意味が理解できません。
なので、よけいにとっつきにくくなっているのでしょう。

*) 並行複発酵とは、麹の酵素でデンプンがブドウ糖に変わる”糖化”と、酵母の働きでブドウ糖がアルコールに変化する”発酵”が、同じ容器で同時に進行すること。
日本酒はこれにより、世界でも有数の高濃度の”醸造酒”となっています。
ちなみに、原料に糖を含むブドウをつかうワインはふつう”糖化”工程がない(酵母アルコール発酵だけの)”単発酵酒”。ビールはデンプンを糖化した後にアルコール発酵をするので”単行複発酵酒”といわれます。

<日本酒の製造工程(概要)>
玄米 → 精白 → 洗米 → 浸漬 → 蒸米 → <麹米 → 種麹 → 麹(糖化)> → 酒母 → もろみ・発酵(仕込み(掛け米)) → 搾り → 原酒 → 滓澱(オリ)引き、濾過 → 火入れ → 貯蔵・熟成 → 濾過(2回目) → 割水 → 火入れ(2回目) → 瓶詰(完成・出荷)

1.玄米

まず米です。ふつう日本酒には酒造好適米(酒米・麹米)という種類が使われます。
「山田錦」、「五百万石」、「美山錦」などが代表銘柄で、粒が大きく、タンパク質が少ない米で、総じて食用米(飯(用)米)より高価です。
「山田錦」はとくに人気が高く「酒米のコシヒカリ」ともいえるもの。兵庫県が主産地でどちらかというと関西系。
「五百万石」や「美山錦」は甲信越や東日本を中心に栽培されています。

 
誠鏡(せいきょう) 特別本醸造酒 中尾醸造(株)/広島県竹原市 新千本 精米歩合58%
【広島の酒造好適米「新千本」100%使用】

他にも在来種が多くあります。ただ、その多くは、背丈が高く風で倒伏しやすかったり、病害虫に弱かったり、収量が少ないなど経済性が低いため次第に生産が減り”幻の酒米”といわれる品種が増えていましたが、非常に質の高い品種もあって、近年復活ののろしが各地で上がっているのはうれしいことです。

 
山猿 特別純米酒 永山酒造(名)/山口県山陽小野田市 穀良都(山口県産) 精米歩合60%
【山口の酒造好適米「穀良都(こくりょうみやこ)」100%使用】

山形の「亀の尾」、関西系の「雄町」、山陰系の「強力」、広島の「八反(錦)」などは、すぐれた在来系の酒米として多くのファンを持ちます。
また、各県の農産試験場などが威信をかけて県産酒米品種を開発し、これも質のよいもの多数。

ふつう、飯(用)米で重要な「旨味」(タンパク質や脂肪分による)は、醸造すると「雑味」に変わりやすく、もちもちとした食感は酒米で重要な心白の空隙と相反するため、端的に言うとパサパサして旨味の少ない米が酒米に向いているということになります。
また、酒米は糠などの外殻を食用米の場合よりも大きく精米する(磨く)必要があり、精米歩合を低くする(磨きを強める)と米粒が割れてしまう品種は酒米には向きません。

このように酒米には固有の品種特性が求められるので、ふつう酒米(さかまい)と飯(用)米(はんまい)は明確に区別されます。

しかし、愛媛県のすぐれもの「松山三井」や、近年日本酒通のあいだで評価が高まりつつある「亀の尾」(亀ノ尾)はもともと飯(用)米で、このあたりにも一筋縄ではいかない奥のふかさがあります。

もちろん「こしひかり」などのブランド飯(用)米でも日本酒はつくれ、じっさい「こしひかりのお酒」などというものも売られていますが個人的にはさして美味しいとは思えません。(「ササニシキ」でつくった酒はけっこういけるらしい。)

 
春鶯囀(しゅんのうてん)  特別純米酒 (株)萬屋醸造店/山梨県南巨摩郡富士川町(旧 増穂町) 玉栄(山梨県増穂町産) 精米歩合60%
【山梨の酒造好適米「玉栄」100%使用】 

日本酒では、麹米、酒母米、掛け米の3種類の米がつかわれ、単独品種の使用のほか、いくつかの品種を合わせてつくられることもあり、しかも、おのおのの米で使用品種が異なったりするので、その内容はバラエティに富みます。
(従来、量が必要な掛け米には安価な水稲うるち米が多くつかわれてきましたが、最近は酒米がつかわれる例も増えてきているようです。)

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日本酒-1
日本酒-2 / 1.玄米
日本酒-3 / 2.精白
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日本酒-5 / 4.もろみ(仕込み・造り)
日本酒-6 / 5.搾り
日本酒-7 / 6.滓澱(オリ)引き、濾過
日本酒-8 / 7.火入れ ・ 8.貯蔵・熟成
日本酒-9 / 9.濾過・火入れ(2回目) ・ 10.割水
日本酒-10 / ■味覚からのネーミング
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■ 高速実質値上げ?

時事通信 6月1日(水)2時49分配信(→記事

「国土交通省は31日、東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方を中心とした高速道路の無料化を6月20日から始める方針を固めた。同時に高速道路料金の「休日上限1000円」を全国で廃止。各地域で行っている高速道路の無料化社会実験も一時凍結する。
無料化されるのは、東北地方一帯の高速道路で、水戸エリアの常磐道も含まれる。対象は東日本大震災の被災者で、地方自治体が発行する罹災(りさい)証明書を料金所で提示すれば、全車種で無料となる。被災者の避難先が全国に及んでいることを踏まえ、対象地域外で高速道路に乗って対象地域内で降りる場合やその逆も、走行した全区間を無料とする。
一方、被災者以外の一般利用者は、復興に向けた物資輸送を支援するため、トラックなど中型車以上に限り、対象地域内のみ無料化する。」
(筆者追記、夜間・通勤割引などは残る見込み。導入検討されていた平日2,000円上限は見送りの見込み。)

とんだ茶番の国会の陰で、ひっそりと発表されていたこのニュース。

整理すると、無料になる対象はつぎの2者
1.東日本大震災の被災者で、地方自治体が発行する罹災証明書所持者
2.中・大型車
(ただし、国交省は第二次補正が通れば1年間全車種を対象とする方針示す)

無料となる区間はつぎの3路線 → 確定情報
1.常磐道、水戸IC~広野IC
2.東北道、白河IC~青森IC
3.磐越道、新潟中央IC~いわきジャンクション

被災者と中・大型車は↑のエリア内で乗り降りすれば無料です。どこから乗ってもどこで降りても、途中本線上の料金所を通らなければ一切無料。
なので、おそらく、水戸、白河ICなどでは中・大型車で大混雑になるでしょう。
手前のICで降りたら何千円も取られるところを、水戸、白河ICで降りればタダ・・・。多少遠回りしても水戸、白河ICまで乗るわな・・・。
だから東京方面に折り返す道路はトラックで大渋滞??

ブレまくる民主党の高速関連政策。
一般観光客の料金体系はほぼ元のかたちに戻るので、多くの国民にとっては「高速無料化」から逆行することになる、あまりにわかりやすすぎる公約違反。

1000円高速で観光客数が増えたエリアのひとつは(たぶん)東北地方。
復興支援のボランティアだってこの制度に助けられた人が多い筈。

1000円高速で客足をとられたといわれる近隣観光地でも、無料化社会実験区間、たとえば中央道「大月~河口湖」間、東富士五湖道路などは元の料金に戻り、富士五湖周辺などはおそらく影響大。

ものごと、一旦値下げしたものが値上がりすると、反動で値下げ前より需要が減るのは世の常。
「被災地支援のためと言われれば、納得するしかない。」というのが世論の流れかもしれぬが、「『震災で予定がくるったのはわかるが、期日ぐらいはハッキリしてほしい。(1000円終了を知らずに)走ってしまって、後で請求書来たらブッ飛んだなんてことが考えられる』と思わぬ高額請求への警戒を強めた。」(J CASTテレビウォッチ)というのが本音のところか・・・?
はやくもWeb上では6/19までに行けるところ(観光地)に行っておく。(でもって、その後は行かない・・・)というカキコ多数。

関東周辺の温泉地でずいぶん増えていた関西方面ナンバーも、6/20以降はめっきり少なくなるでしょう。
ホテルや旅館の廃業ペースがふたたび速まらなければいいですが・・・

----------------------------------------------------
確定情報 (国土交通省発表2011/06/08)→ 詳細

1.上限料金制を廃止(休日1,000円)
2.実施中の無料化社会実験は一時凍結
3.通勤割引、夜間割引、休日割引(大都市圏3割引、他5割引)などは継続
4.平日上限制度(2,000円)は導入せず
5.エコカー割引は導入せず
6.本四とNEXCO乗継割引は導入せず
※ 廃止日:平成23年6月20日(月)午前0時

ま~、休日5割引が残ったのはまだしもだけど、首都圏から離れた観光地への影響は避けられないわな・・・。 
それにしても、しょ~もない条例ひとつ通すのにも1ヶ月近い周知期間を確保するこの国で、どうしてこんな重要な施策が6/8公表の6/20施行???
政策の整合性もガタガタ・・・。

つ~か、そもそも日本の高速道路って、償還主義(料金収入=費用)をとってるので、建設費や金利が償却された時点で無料になるはずなんですが・・・(→ 資料
※ 厳密には維持管理費分は残る、それとネックはプール制

追記、各地の反響 (6/10収集)
■ 北陸3県、1000円高速終了で観光客の反動減懸念(→ 日経新聞 2011/06/09 6:12
・無料化実験による効果で観光客数が1割増えたというだけに、天橋立観光協会(京都府宮津市)は「(無料化終了で)遠距離からの観光客に旅行を手控える動きが出るのでは」と警戒。

■ 四国知事会議、福島第一原発事故を受けての国の防災基本計画の早期見直しや、高速道路の「休日上限1000円」の継続など、5項目の緊急アピールを採択。(→ YOMIURI ONLINE 2011/06/09
・四国支社管内の通行台数は、09年9月で前年比29%増の約19万2千台。四国の3区間で無料化の社会実験が始まった10年6月以降はさらに増えて今年4月には21万8千台。3年前に比べると41%増えていた。(asahi.com 2011/0609)

■ 船もう1隻もない 高速上限廃止 フェリー業界"恨み節" (→ 産経経済 2011/06/02

『滴』 今井美樹 (Chorus:川江美奈子)
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■ 困ったときはお互い様

〔ご案内〕
このデータは、平成23年3月に発生した東日本大震災に関連する情報です。
令和元年6月18日夜に発生した山形県沖を震源とする地震に係る情報ではありません。
ご注意願います。


2次避難の動きもしだいに活発化し、新規の受入情報も減ってきた(発表すべきところはもう発表している?)ので、1ヶ月以上つづけてきた「温泉地の被災者受入情報」の更新をひとまず休止します。(ただし、大きな動きがあったときは適宜更新します。)
この情報提供に賛同し、多くの情報をいただいた”一郷一会”メンバーの協力に深謝します。

個人的にこの情報をUPするきっかけになったのは、群馬県片品村の動きでした。
3/14に村の緊急会議で一億円の予算算出を決定、無料で被災者を受け入れるだけでなく、原発事故も重なって混乱を極める現地まで、バスを仕立てて被災者を迎えに行くというのです。(→ 報道 (5/2 東京新聞)
3/18には被災者を受入、そのスピード感と実行力は、まさに目を見はるものでした。
併行してみなかみ町など県内の温泉地で被災者受入が続々と表明され、これに触発されるかたち(?)で各地の温泉地でも被災者受入の機運が高まっていきました。

そのときに群馬県内の関係市町村首長がつかっていたのが「困ったときはお互い様」。
「福島とは尾瀬でつながっている。困ったときはお互い様だ。」(片品村 千明金造村長)
1億円の補正予算を組み積極的に被災者受入を打ち出したみなかみ町の岸良昌町長もこの言葉をつかわれていたのが、つよく記憶に残っています。

今回の震災では、日本国民の多くの人々がこの意識をもったのではないでしょうか。
たしかに、震災直後の混乱や復興にあたって、きれい事ばかりでなかったことは承知しています。
それでも、大きな流れでみると「困ったときはお互い様」の意識はいまも健在だったような気がしています。
ちなみに、江戸時代には”相身互い(あいみたがい)”という言葉がありました。
「同じ(困った)立場にある者は、互いに相手を思いやって助け合わねばならない」というほどの意味で、日本人が元来もっていた考え方のように思えます。

片品温泉の湯宿「子宝の湯 しおじり」のWebでは、被災者の方々を受け入れ、慣れない対応へのとまどいや、被災者の方々へのあたたかい気づかいがとてもよく伝わってきます。
一部引用させていただきます。
--------------------------------------------------
伝えたい事を伝えるのには、どう話せばいいのでしょうか"........ 
☆とにかく、健康で元気に帰宅してもらう。その為のお手伝いと、協力をする為の避難所として宿の提供をしています。皆さんと、私たち家族一緒になってがんばろう。が、なかなか伝わらない。
☆傷付けないで、励ます言葉...難しすぎて見つからない。
☆個人の人格を、尊重しながら仲良く。穏やかに過ごしてもらいたい。が、伝わらない。若者。元気な年配の方。元気なお年寄り。持病や大病でも、じっと耐えて頑張っている方。それぞれの歴史の中で華やいで活躍していたのが分かります。
毎秒の様に流れるニュースでは、広がる不安。それでも...すぐに帰れる!と心に強い意志を持って耐えている皆さんです。
◎片品にいろんなボランティアさんが入って来る。片品の人達も色々やってくれる。整髪。マッサージ。炊き出し。音楽系。語りべ...。物資もやっと揃い、足りてきた。これ以上は贅沢すぎる。現地に行って助けてほしい。テレビや迎えの人達からの情報では、別の色んな避難所の大変な状況が伝わる。現地には避難勧告が出ているのに、帰る人達。大丈夫ではないのに、家が有る人達は家が心配だと帰る。帰る人達に駄目だとは、言えない。何もしてあげられない。 
--------------------------------------------------

■これに絡んだ”一郷一会”のメンバーの意見を紹介します。
--------------------------------------------------
考えてみれば我々を動かしたのは、片品村の行動でした。
何を思ったか震災すぐに被災民の受け入れを表明し、バスを出して避難民を迎えにいくといった行動を起こしたことは、賞賛にあたいするものでした。
 
東電管内のエリアであって、福島県からの恩恵を得、福島県に隣接してるとはいえ、交流も少ない自治体総出で支援をしたのは凄いことだと思います。
実際には支援物資の受け入れや避難民の世話など通常業務のほかに、かなりの負担があると思います。
「困ったときはお互い様」こんな単純なことが日本人の最大の美徳だし、今回の震災で学んだことだと思います。
(参考) 雲仙普賢岳災害時の対応について

■また、”一郷一会”メンバーのおひとりは、宮城県に泥かきボランティアに行かれています。
「縁の下の泥かきは、狭い間隔の垂木下のヘドロかきで大変でした。スコップで掘って垂木の間を注意してスコップを通し、胸の高さになる一輪車に掬い上げます。一輪車も、初めはいいのですが、30分も経つと一輪車を通す道板がドロドロになり滑ります。もし、一輪車を押しながら滑ると、垂木の下に転げ落ち、大怪我をします。」
「最終日は雨だったので、海岸方面へ行ってみました。道路はかたづけてあるものの、甚大な津波被害に呆然となりました。テレビの画像そのままでした。戻る時に気づきましたが、私が泥かきをした地域は●●近辺で、この地区から海岸方向の集落は、住める家は一軒もありませんでした。」

--------------------------------------------------------------------------------
■ これまでUPしてきたリストやコラムを下記にまとめておきます。

【 メインリスト 】 被災者受入れ先情報 (from 2011/03/19)
全国共通情報 (国の対応など)
温泉地リスト-1 / 東北・北海道
温泉地リスト-2 / 関東・新潟
温泉地リスト-3 / 中部・北陸以西

【 サブリスト 】 主要温泉地のリンク集
■ 主要温泉地のリンク集-1 (北海道~北東北)
■ 主要温泉地のリンク集-2 (南東北~関東)
■ 主要温泉地のリンク集-3 (東海~甲信越)
■ 主要温泉地のリンク集-4 (北陸)

【 コラム 】
01.片品村などで被災者受け入れ (3/19)
※.温泉地や温泉旅館を被災県の指定避難所指定(災害救助法適用)することを提起 (3/19)
※.観光庁「県境を越えた被災者の受け入れ支援」で災害救助法の制度活用 (3/24発表)

02.3/19~3/21の情報
03.東北地方の温泉地の日帰り情報
04.どうなる? 温泉地への避難 (4/3)
05.なにこれ・・・?? Part-2 (経産省「西へ旅行を」呼びかけを受けて・・・)(4/10)
06.秋田方式 & 長野方式 (4/17)
07.GWは観光地に・・・ (4/18)
08.どうなる? 二次避難 (4/20)



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■ どうなる? 二次避難

〔ご案内〕
このデータは、平成23年3月に発生した東日本大震災に関連する情報です。
令和元年6月18日夜に発生した山形県沖を震源とする地震に係る情報ではありません。
ご注意願います。


〔 報道 〕
宮城県石巻市は19日、学校や公民館など現在の避難先から仮設住宅ができるまでの2次避難先として、県内外の公営住宅やホテルなどを提示したところ、避難者約1万2000人中793人が応募したと発表した。
行き先は県内が青根温泉(川崎町)や遠刈田温泉(蔵王町)など。県外は秋田や兵庫、長崎など計9都県にわたる。
県外を希望した人は272人で、秋田県170人、山形県56人、長崎県19人など。入居期間は2~6カ月が大半だが延長・短縮も可能。市は滞在1週間以上の「お試し避難」も勧めている。(→ 4/19 時事ドットコム

宮城県内の避難所に身を寄せた被災者のうち、ホテルなどに2次避難したのは19日現在、7市町の1543人にとどまることが20日、分かった。1次避難者4万人のうち、県は2万人が2次避難対象とみており、移転率は7%と低迷している。
移転先は県内が1449人と94%を占める。最も多いのは大崎市の528人。次いで美里町223人、栗原市196人、登米市157人など。県外は一関市に76人、秋田市に8人が避難した。
県はホテルや温泉旅館を中心に県内で3500人分、秋田県内で4300人分、山形県内で1万人分の避難先を確保。
一方、被災者への2次避難の意向調査は石巻市、女川町、南三陸町など6市町で実施しているが、集計作業が膨大なため受け入れ先との調整が停滞。移転率低迷の原因となっている。(→ 4/21 河北新報

-----------------------------
〔 一郷一会メンバーの意見 〕
散々な状態ですね。地震から1ヶ月が経ち、これから被災者の心や集団避難所の衛生状態が悪化したり、支援する自治体の負担の大きさなどを考えると、最悪の状態です
今回の震災は被災者の数が半端でなく、広範囲ということもあって仮設住宅の入居も半年、1年とかかる人もいると思う。

これから被災者はもちろん、それを支援する人の限界点も訪れるかもしれない。今から対策を講じれば間に合うかもしれないのでちょっとだけ自分の考えているものをまとめてみました。(政府が動かないので・・・)

石巻市をはじめ三陸地方の復興シナリオは、避難 → 仮設住宅 → 自宅の再建といったものではないでしょうか。
まずは仮設住宅の抽選方法に工夫をする。
一般的には高齢者優先とか、全ての人を均等に抽選するといったように、住民に対して公平なサービスをするといった考え方が根本にある。

それは普通の考え方だが、一刻も早く住民を平常時に戻さなければならないといった今回の様な非常事態には、それでは対策が
遅すぎる、(緊急時の)時間の概念がない。
なので、思い切ったビジョンを住民に提言しなければならないと思う。

まず、被災者一人ひとりの状況を考慮すること。
まずは就労可能者と非就労者に分ける。
就労者は現在の分散している一次避難所を極力集約してこのままの状態でいく。
そして仮設住宅を優先的に割り当てる。(当然抽選もある)
そのうえで就労可能者は職場や支援復興のための仕事につき、地域の復興に貢献する。

高齢者、学生生徒、その他非就労者は他県移住を含め、原則として移動(二次避難、集団疎開など)の対象とする。
このような大胆な計画を持って当たらないと現状は打破できない。

長野方式、秋田方式ともに、学校や医療のケアの整備の体制が整っているのだから、就労者を除く被災者には原則として半強制的に移動してもらう。
家族を離れる人もいるだろうし、納得できないひともいるだろうが、地域復興のため、全ての人に理解してもらう。

ちょっと大胆なことを書いたが、日本には伊豆大島の噴火の際、1万人の住民が集団移転した前代未聞の実績がある。
今回は未曾有の非常時で、被災地全ての人の負担が軽減できるよう願っています。
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きびしい環境が伝えられる一次避難所での粘り強さは、東北人ならではの忍耐づよさもあるのでしょうが、やはり、長期にわたるとなるといろいろとムリが生じてくるような気もします。
それは、被災者の方々もそれをサポートする側もです。
家族や親族がいまだに行方不明、自宅のそばを離れたくない、近所の人たちと離れたくない、復興関係の最新情報が得られなくなるなど、移動されない理由はいろいろあると思います。

↑のご意見は、わたしもうなづけるところがあります。
ただ、どこまで強制的にできるかは、それがいいのか悪いのかということも含め、外部にいるわたしには正直いってよくわかりません。
また、移住なのか、集団疎開なのか、疎開だとしたらいつ戻れるかという点が大きなポイントになるかと・・・。
(原発被害の深刻でないところは、離れた地への移住希望はすくないような気がします。)

私個人としては、いつでも被災地の避難所に戻れるという前提のもとで、まずは、逗留、ないしは「お試し避難」という形で心身を休め、気持ちを整理していただくのがいいような感じもしています。
(あくまでも地域単位の移動を前提とし、被災地にいるのと変わらない行政サービスや復興関連情報を提供する。移動先の学校に通学する場合は「転校」ではなく、被災地の学校の「疎開分校」というかたちをとるなどの配慮が必要かと・・・。)

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■ GWは観光地に・・・

〔ご案内〕
このデータは、平成23年3月に発生した東日本大震災に関連する情報です。
令和元年6月18日夜に発生した山形県沖を震源とする地震に係る情報ではありません。
ご注意願います。

ここに来て、観光地、温泉地関連のニュースが目立っています。

<日光>
日光市の斎藤文夫市長は石巻市役所を訪れ、石巻市の亀山紘市長に対し、仮設住宅ができるまでの一時的な避難先として、被災した人たちを日光市の旅館やホテルなどで受け入れたいと申し出た。
石巻市では、今も1万3000人余りが避難生活を続けているが、日光市内では7、800人を受け入れ可能で、宿泊や交通手段などを無料で提供するほか、医療や介護、子どもの就学支援も行うという。
日光市では、震災の影響で観光客が震災前の10分の1以下まで落ち込み、被災者を受け入れることで、国から補助を受けられる制度を利用したい考え。
日光市の斎藤市長は「観光客が激減している状況をなんとかしたいという思いもあるが、大変な被害を受けている石巻市を支援できればと思う」。(→ 4/18 NHKニュース

<鳴子>
宮城県大崎市の鳴子温泉は南三陸町の住民約500人を受け入れている。
温泉側はきめ細かい支援策を講じ、住民からの感謝は絶えない。
受け入れにあたり、温泉地側は、通常朝夕2食の食事を3食に増やしたり、近隣病院への送迎車を準備、洗濯機を新規購入するなどサポート体制を充実させた。
その一方で、震災前に入っていた一般客の予約は、5月の大型連休の分も含めて軒並みキャンセルになるなど、客足の減少は深刻。
同温泉の関係者は「例年に比べ客数は半分以下。このままでは、旅館がバタバタつぶれてしまう」と懸念する。
避難者を受け入れた施設には、1人当たり1泊5千円が国から支給されるが、一般客の客単価が1万円台なのに比べると採算はぎりぎり。
鳴子温泉観光協会の菊地理事は「紅葉の始まる10月は稼ぎ時だが、今年は自粛ムードが広がっていてどうなるか…。秋以降も集団避難先として提供した方がいいかもしれない」と話している。(→ 4/18 産経ニュース

ある大型観光ホテルはGWたけなわの4月末までに、従業員の3分の1を解雇することを決めた。社長は「震災以降のキャンセルが7月分までで既に7000人分に上る。従業員には『好転したら一番に再雇用するから』としか言えなかった」と無念さをにじませる。(→ 4/21 YAHOO!ニュース

<群馬>
県内に180カ所以上の温泉地を抱える群馬県の温泉旅館のおかみたちが18日、東京・銀座の群馬県のアンテナショップで群馬の観光をPR。
「群馬県女将(おかみ)の会」の旅館のメンバーで伊香保、草津、水上、谷川、赤城山、四万、老神の各温泉から約30人がバスを仕立ててやってきた。
会長で伊香保温泉「塚越屋七兵衛」の塚越裕子さんは「きょうは『観光安全宣言』に来ました。日本人の中に自粛は美徳という考え方があるのはわかりますが、いまは温泉に泊まりに行くということも含めたすべての経済活動が、復興と被災地への支援に直結している、ということをわかってほしいのです」と話す。(→ 4/18 asahi.com

<箱根>
東日本大震災の影響で、「箱根温泉旅館協同組合」加盟の旅館やホテルの3~6月の予約をキャンセルした宿泊客は約28万8500人に上り、経済的な被害は約54億8千万円と推計されることが、同組合が行ったアンケートで分かった。
キャンセル客の大半は国内からの観光客。地震発生直後は自粛ムードのほか、計画停電による交通機関の乱れが懸念され、キャンセルが相次いだ。
福島第1原発の事故が大きく報道されるようになってからは、放射性物質の拡散を心配したとみられる外国人観光客がほぼ全てキャンセルに。「町から外国人観光客がいなくなった」(同組合)という。
町観光協会の村上政司専務理事は「観光業は昔から景気、天気、人気に左右される『3気商売』といわれてきた。近年は、病気(新型インフルエンザなど)、狂(凶)気(戦争や災害など)も影響する『5気商売』になっている」と話す。(→ 4/17 産経ニュース) / (→ 4/18 YAHOO!ニュース


土曜の午後なのに人影のまったくない蓼科・プール平(4/9)
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震災で空前のキャンセルラッシュに見舞われた各地の観光地は、GWの予約も低調で、被災者の方々を受け入れる一方、先行きの不安に頭を抱えています。

原発事故が長期化の様相を呈し、一時避難所から各地の旅館やホテルへと避難の動きが活発化する可能性があります。
観光庁が進める「県境を越えた被災者の受け入れ支援」では災害救助法の制度が活用されるため、原則1泊3食付1人当5,000円以内であれば、国が被災県に対し補助金などで講じる財政措置により被災者の負担はありません。
しかし、1泊3食付1人当5,000円というのは、ふつうの旅館では利益が出ないか、ヘタをすると持ち出しになります。

前からの疑問ですが、観光庁が施策を発表するまえに予算措置を講じ、たとえば1人1泊当3,000円の補助を出すとしていた市町村があるとします。
すると単純計算で、宿側は災害救助法(5,000円)+市町村補助(3,000円)=8,000円の宿代設定ができるような気がします。
1泊3食8,000円ならば、料理やリネンサービスを工夫すれば、若干の利益を出せるお宿もかなりあるのでは?

あと、よくわからないのが、災害救助法の1泊3食付という規定。これはマスト条件?
昼食を提供するというのは、宿側の大きな負担になるし、コストもアップします。
1泊2食でもOKならば、被災者は現地の飲食店で昼食をとり、それが観光地全体の活性化につながっていきます。
「被災者に1食でも食費負担をさせるのはけしからん!」という意見があるのなら、昼食は支援物資や義援金を活用し、自炊をお願いするという方法もあるのでは?

ただ、いずれにしても、被災者受入だけでは観光地本来の姿は復活しません。
一般観光客の力がどうしても必要です。
まして、当面インバウンド(外国人観光客)需要がほとんど見込めない状況ではなおさらです。

ひとごこちついて、さて旅行にでもと思ったら、温泉地や観光地が消滅していた。
まちがってもこんな事態にならないように、自粛はほどほどに、GWは観光地に出かけませんか。

今までもいろいろな打撃があったが箱根は必ず立ち直った。まずは県民の誘致にも力を入れて『人の動き』を創出したい」と復活を期している。(箱根町観光協会)

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