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『たまらなく、アーベイン』 ~1980年代前半の音楽の空気感~
シティ・ポップが再評価される昨今ですが、シティ・ポップ全盛期の当時、POPミュージックがどのような聴かれ方をしていたかを如実に示す本があります。
書名は『たまらなく、アーベイン』、初版は1984年。
1984年といえば洋楽ではアダルト・コンテンポラリー(AC)、アダルト・オリエンテッド・ロック(AOR)やブラック・コンテンポラリー(BCM)、邦楽ではいまでいう「シティ・ポップ」がピークを迎えた頃です。
この本は1990年に『ぼくだけの東京ドライブ』と書名を替えて、いま筆者の手元にあるのはこちらですが、超ひさびさにつらつらと読み拾ってみました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/6c/2347df6a2fbf23dbe3e035ee85550359.jpg)
「何度でも読み返されるべき異形の、 二度とやって来ない時代のライフスタイル読本」 by 菊地成孔氏
------------------------------------
前文の「田中康夫からあなたへ」してからすでに、この時代の音楽感が語られています。
「音楽は常にその時代の気分を伝えてくれます。」「五木寛之氏の時代がジャズの気分で、村上龍氏の時代がロックの気分だったとしたら、今の僕たちは、アダルト・コンテンポラリーやブラック・コンテンポラリーの気分の中に生きているのではないでしょうか」
「アダルト・コンテンポラリーやブラック・コンテンポラリーの音楽も、僕たちが信じられる物のひとつです。ジャズやロックと違って、ストーリーやメッセージを持たない”気分の音楽”は、ドラマのないのがドラマになってしまった僕たちの生活、そのものです。」
”気分の音楽”。
言い得て妙です。確かにそんな聴き方をしていました。
「メロディが美しいから聴いてしまう、ただ、それだけのことで、他の理由も持たない僕たちは(以下略)」
この頃の音楽好きはおおむね洋楽メインにシフトしていて、歌詞よりもメロディやサウンド志向でした。
(洋楽の歌詞はよほどの意訳のセンスがないとその本意が捉えにくく、とても日本人には”刺さる”ものではないから・・・、それに歌詞なしのフュージョンも1ジャンルをつくってたし・・・。)
だから「メロディが美しいから」(サウンドが心地よいから)聴いてしまうという流れは、いま思い返してもそうだったと思う。
「朝・昼・夕方・夜」と四つの時間帯にアルバムを分けて、それぞれ、どんな時間帯の、どんなシチュエーションで聴いたら、ピッタリくるかというエッセイに仕立てました。」
「アルバム」です。「曲」じゃなくて「アルバム」。
アルバム1曲通して聴く、あるいは気に入りの曲だけをテープにピックアップする。
そんな聴き方がふつうでした。
そして「シチュエーション」。
この頃、音楽(洋楽も邦楽も)は家だろうが外出先だろうが常に聴き手につきまとっていて、人々は「シチュエーション」によって音楽を巧みに聴き分けていたように思う。
田中康夫氏は1980年に『なんとなく、クリスタル』を発表し、これをきっかけにいわゆる「クリスタル族」が生まれたともいわれます。
この小説は映画化されましたが、そのサントラはACやBCMで固められ、この流れがのちの『たまらなく、アーベイン』につながっていったとみられます。
『なんとなく、クリスタル』サントラ収録の名曲2曲
■ 99 - Toto(1979年)
■ You Can Have Me Anytime - Boz Scaggs(1980年)
『たまらなく、アーベイン』は田中氏手持ちのAC&BCM系の3000枚のアルバムから100枚をセレクトしてエッセイにしたもので、とりあげられているアルバムはかなりとマニアック。
自分でもとうに忘れていたアルバムやアーティストがつぎつぎと出てくるので、いっそのことこの本に沿ってこの頃の曲をご紹介してみたいと思います。
じつは、AC&BCM系は専門なので・・・(笑)
まずは動画をUPし、コメントはじっくり調べてあとからいれます(と、また逃げる・・・(笑))
『たまらなく、アーベイン』には当時の「シチュエーション」を語るキーワード(モノや場所など)が散りばめられているので、そのワードも拾い上げてみます。
また、関連するアルバムや曲も紹介されているので、併せてピックアップしてみます。
ちなみに田中康夫氏の小説やエッセイに含まれる情報量は質・量ともにもの凄いのですが、かなりクセのある文体なので好き嫌いははげしく分かれると思います。
まずは「朝」の1枚目です。
Alessi – 『Long Time Friends』(1982年)
■ Still In Love (B-3)
〔キーワード〕
・目黒区八雲の彼女、文京区本駒込の彼氏
・玉川通りの真中交差点、首都高浜崎橋
・自動車電話
【関連アルバム(曲)】
■ Love Is the Answer - England Dan & John Ford Coley(1977年)
■ Open Mind - Richie Lecea(1978年)
■ Come Back to Me - Leslie, Kelly&John Ford Coley(1980年)
ちょっとマニアック過ぎますかね・・・(笑)
書名は『たまらなく、アーベイン』、初版は1984年。
1984年といえば洋楽ではアダルト・コンテンポラリー(AC)、アダルト・オリエンテッド・ロック(AOR)やブラック・コンテンポラリー(BCM)、邦楽ではいまでいう「シティ・ポップ」がピークを迎えた頃です。
この本は1990年に『ぼくだけの東京ドライブ』と書名を替えて、いま筆者の手元にあるのはこちらですが、超ひさびさにつらつらと読み拾ってみました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/6c/2347df6a2fbf23dbe3e035ee85550359.jpg)
「何度でも読み返されるべき異形の、 二度とやって来ない時代のライフスタイル読本」 by 菊地成孔氏
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前文の「田中康夫からあなたへ」してからすでに、この時代の音楽感が語られています。
「音楽は常にその時代の気分を伝えてくれます。」「五木寛之氏の時代がジャズの気分で、村上龍氏の時代がロックの気分だったとしたら、今の僕たちは、アダルト・コンテンポラリーやブラック・コンテンポラリーの気分の中に生きているのではないでしょうか」
「アダルト・コンテンポラリーやブラック・コンテンポラリーの音楽も、僕たちが信じられる物のひとつです。ジャズやロックと違って、ストーリーやメッセージを持たない”気分の音楽”は、ドラマのないのがドラマになってしまった僕たちの生活、そのものです。」
”気分の音楽”。
言い得て妙です。確かにそんな聴き方をしていました。
「メロディが美しいから聴いてしまう、ただ、それだけのことで、他の理由も持たない僕たちは(以下略)」
この頃の音楽好きはおおむね洋楽メインにシフトしていて、歌詞よりもメロディやサウンド志向でした。
(洋楽の歌詞はよほどの意訳のセンスがないとその本意が捉えにくく、とても日本人には”刺さる”ものではないから・・・、それに歌詞なしのフュージョンも1ジャンルをつくってたし・・・。)
だから「メロディが美しいから」(サウンドが心地よいから)聴いてしまうという流れは、いま思い返してもそうだったと思う。
「朝・昼・夕方・夜」と四つの時間帯にアルバムを分けて、それぞれ、どんな時間帯の、どんなシチュエーションで聴いたら、ピッタリくるかというエッセイに仕立てました。」
「アルバム」です。「曲」じゃなくて「アルバム」。
アルバム1曲通して聴く、あるいは気に入りの曲だけをテープにピックアップする。
そんな聴き方がふつうでした。
そして「シチュエーション」。
この頃、音楽(洋楽も邦楽も)は家だろうが外出先だろうが常に聴き手につきまとっていて、人々は「シチュエーション」によって音楽を巧みに聴き分けていたように思う。
田中康夫氏は1980年に『なんとなく、クリスタル』を発表し、これをきっかけにいわゆる「クリスタル族」が生まれたともいわれます。
この小説は映画化されましたが、そのサントラはACやBCMで固められ、この流れがのちの『たまらなく、アーベイン』につながっていったとみられます。
『なんとなく、クリスタル』サントラ収録の名曲2曲
■ 99 - Toto(1979年)
■ You Can Have Me Anytime - Boz Scaggs(1980年)
『たまらなく、アーベイン』は田中氏手持ちのAC&BCM系の3000枚のアルバムから100枚をセレクトしてエッセイにしたもので、とりあげられているアルバムはかなりとマニアック。
自分でもとうに忘れていたアルバムやアーティストがつぎつぎと出てくるので、いっそのことこの本に沿ってこの頃の曲をご紹介してみたいと思います。
じつは、AC&BCM系は専門なので・・・(笑)
まずは動画をUPし、コメントはじっくり調べてあとからいれます(と、また逃げる・・・(笑))
『たまらなく、アーベイン』には当時の「シチュエーション」を語るキーワード(モノや場所など)が散りばめられているので、そのワードも拾い上げてみます。
また、関連するアルバムや曲も紹介されているので、併せてピックアップしてみます。
ちなみに田中康夫氏の小説やエッセイに含まれる情報量は質・量ともにもの凄いのですが、かなりクセのある文体なので好き嫌いははげしく分かれると思います。
まずは「朝」の1枚目です。
Alessi – 『Long Time Friends』(1982年)
■ Still In Love (B-3)
〔キーワード〕
・目黒区八雲の彼女、文京区本駒込の彼氏
・玉川通りの真中交差点、首都高浜崎橋
・自動車電話
【関連アルバム(曲)】
■ Love Is the Answer - England Dan & John Ford Coley(1977年)
■ Open Mind - Richie Lecea(1978年)
■ Come Back to Me - Leslie, Kelly&John Ford Coley(1980年)
ちょっとマニアック過ぎますかね・・・(笑)
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