関東周辺の温泉入湯レポや御朱印情報をご紹介しています。対象エリアは、関東、甲信越、東海、南東北。
関東温泉紀行 / 関東御朱印紀行
■ (塩原)大網温泉 「湯守 田中屋」 〔露天〕
(塩原)大網温泉「湯守 田中屋」〔露天〕
住 所 :栃木県那須塩原市塩原6番地(旧 塩原町)
電 話 :0287-32-3232
時 間 :13:00~20:00
料 金 :800円(内湯は別料金800円)
■ オフィシャルHP
※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。
大網温泉は、塩原11湯といわれる塩原温泉郷の入口に位置する歴史あるお湯です。
塩原は不思議なところで、上流の上塩原、中塩原あたりは平凡な山里をおだやかに流れていた箒川は、下流に向かうにつれしだいに険しさを増し、大網に至って幽邃な渓谷を展開します。この渓谷に面して、大網温泉の有名な露天風呂(日本3大露天に数えられることもあるらしい)があります。ここは以前3度ほど入っていますが、今回じっくり入ったのでレポします。みしゅらん、ナイジェルさん、めがねさんのレポあり。
【写真 上(左)】 300段の階段
【写真 下(右)】 階段から「仙郷湯」
ここは「湯守 田中屋」の一軒宿で本館フロントで受付。玄関よこの飲泉所では、芒硝味と鉄系だし味のきいたよさげな源泉が味わえます。
Pのよこから300段にもおよぶ急な階段を下っていくと、途中から木の間がくれに4つの露天風呂が見えてきます。
【写真 上(左)】 「河原湯」と渓谷
【写真 下(右)】 「美人の湯」
女湯「美人の湯」(鉄平石造4-5人、屋根付)と、そのよこにメインの「仙郷湯」、階段を下ると小さな「岩間湯」、さらに下った川面ちかくに「河原湯」があります。「美人の湯」以外は混浴。ほかにいくつか浴槽の残骸らしきものがありますが、お湯が張られているのは上の4槽です。
女湯にはちゃんとした脱衣所があるものの、男性は「仙郷湯」よこの目隠しもない棚の前でワイルドに脱衣します(笑)
この日は土曜ながら空いていて、12時で独占!~3人。アメニティ類はなし。
【写真 上(左)】 「仙郷湯」
【写真 下(右)】 「仙郷湯」の湯口
A.「仙郷湯」
石枠鉄平石敷20人以上。木樋の湯口から大量投入で、石のあいまから川に向けての放流。
高みにあるので渓谷の眺めが秀逸です。
適温のお湯は無色透明で茶色の湯の花を浮かべています。芒硝味+石膏味に石膏臭。湯口では弱い焦げ臭。弱いとろみときしきしがあり、湯中の手先が青白く発光するSO4泉ライクなお湯です。お湯はけっして悪くないですが、つぎの2槽にくらべるとややインパクトに欠けるような気も・・・。
【写真 上(左)】 「岩間湯」
【写真 下(右)】 「岩間湯」の湧出ポイント
B.「岩間湯」
木枠コンクリ&自然石敷+砂地底3-4人。側面の穴からの注入(自然湧出?)と砂地底からの自然湧出。側面に仕込まれているパイプからの注入はなし。
きもち青味を帯びた透明のお湯はかなり熱めで銀色の細長い湯の花浮遊。味不明、かなり強い焦げ臭+僅微イオウ臭+α。鮮度感が高く、しっかりしたとろみに肌に食い入るような力強い浴感と強い青白発光がある上質なお湯です。
【写真 上(左)】 「河原湯」と川面 露天
【写真 下(右)】 「河原湯」
C.「河原湯」
コンクリ&自然石枠、コンクリ&自然石敷+砂地底5-6人。アーチ状にコンクリの屋根が懸かっています。浴槽奥に黒い無粋なパイプが引かれていますが出ておらず、ひょっとすると全量足元自噴かも。
湧出は奥がメインで奥はややぬるめ、手前はぬるめ。きもち青味がかって微濁したお湯にはうす茶の湯の花が大量に舞い、鮮度感は高くありません。
それでも、奥の方は入り心地がいいので、前半はけっこうここにいました。
味不明、弱いながらおだやかなSO4泉系の湯の香が香ります。弱いとろみ&きしきし&青白発光。SO4泉としてのわかりやすさはA.「仙郷湯」のほうがあると思いますが、なんとなく、こっちのほうがあとを曳く奥ぶかいお湯。
以上3槽は趣がちがいそれぞれに楽しめますが、やはりダントツによかったのはB.「岩間湯」でした。石膏泉と重炭酸土類泉が絶妙にバランスしているような質感の高いお湯で、塩原でも上位に入るお湯だと思います。
とかくロケーションだけがクローズアップされがちな大網の露天ですが、なかなかどうしてお湯もすばらしいものがあります。関東に渓流露天は数々あれど、これだけのロケーションと湯質を兼ね備えたところは少ないのでは・・・?
ただし、帰りは300段の恐怖の登りが待っています(^^;)。硫酸塩泉のお湯は想像以上に身体に効いているので、あわてずゆっくり登っていきましょう。(途中に休憩所&「塩渓紀勝」という紀行文の木版もあり→みしゅらん参照)。
やませみさんの情報によると、田中屋は3本の源泉をもっています。
■大網4号泉 Na・Ca-SO4温泉 64.8℃ pH=7.1 総計=1.78
■大網5号泉 Na・Ca-SO4温泉 54.0℃ pH=8.6 ER=1.23
■岩間の湯 Na・Ca-SO4温泉 47.5℃ pH=7.2 ER=1.16
うち、内湯(男湯/後日レポします)は4号泉の単独使用。HPには「自噴する三つの自家源泉」とあるので、おそらく5号泉と岩間の湯もつかわれていると思いますが、利用浴槽が不明。露天は5号泉と岩間の湯利用では?。とくに「岩間湯」はあきらかに他の浴槽とお湯の感じが違ったので、ここは自然湧出する”岩間の湯”源泉かもしれません。
露天まわりに温泉分析書の掲示はみあたらなかったので、内湯掲示の4号泉データを載っけておきます。
Na・Ca-硫酸塩温泉 62.5℃、pH=7.7、150.01L/min動力揚湯、成分総計=1.512g/kg、Na^+=288.9mg/kg (63.66mval%)、Ca^2+=135.3 (34.21)、F^-=4.8、Cl^-=29.2 (4.05)、SO_4^2-=854.2 (87.39)、HCO_3^-=90.9 (7.32)、陽イオン計=438.1 (19.74mval)、陰イオン計=979.1 (20.35mval)、メタけい酸=89.7 <H19.3.5分析> (源泉名:大網4号)
■ここの一軒宿は、近年、「ホテルニュー大網」→「湯守 田中屋」→「温泉 宿小町」と改名を重ね、なにか経営的に不安定なものを感じていましたが、2004年末、産業再生機構の支援決定。再生機構のもとでリニューアルを実施し、翌年4月に営業を再開。2006年4月には大和証券&三井住友フィナンシャルグループ系列のファンドの傘下に入り、経営管理は同グループと再生機構その他で設立した、(株)旅館マネジメントサポートによりおこなわれています。
このところかなり人気のようで、週末の露天は若いカップルやグループ客で占拠されることもあるよう。しずかにゆったり入りたいならばオフシーズンや平日を狙うのがベターかもしれません。
〔 2007年12月4日レポ 〕
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