goo

■ 伝説の熱湯

昨晩、なぜか下諏訪温泉の「旦過の湯」のレポがアクセスランキングに入っていたので、久々に読んでみました。

そのなかに「熱湯というと、高崎天神の湯(揚湯試験時の52℃)をはじめ、群馬鎌田温泉「千明旅館」、山梨「草津温泉」、新潟かのせ温泉「赤湯」、川原湯温泉「笹湯」、熱川温泉「臨泉閣」、湯河原温泉「若草荘」などが記憶にありますが、それらとくらべても遜色のない熱湯です。」というコメントがありました。

筆者は熱湯好きで、45℃くらいまではなんということもないのですが、さすがにこれを越えてくると思うところはあります。
熱湯といえば関東では那須湯本温泉の「元湯 鹿の湯」の48℃槽や湯河原温泉「ままねの湯」が人気ですが、これは人気がありすぎて浴客でしょっちゅう撹拌されているためか、さほどの熱湯とは思えません。

本当の熱湯とは、浴客もまれな小さな浴槽に無調整の熱湯源泉が滔々と掛け流しされているような場面で遭遇します。

こういうところはたいてい絞り投入されていますが、それでも優に50℃はあります。
投入量が多めに設定されていると60℃オーバーもあって、かなり危険な状況です。
ふつうは湯揉みで対応するのですが、湯揉みでは太刀打ちできず泣く泣く加水ということも・・・。

泉温はさほどでもなくても、掛け流し量が多い場合は湯揉みが効かず、これはこれで厳しい戦いとなります。


今回は、過去記事に埋もれている”伝説の熱湯”(筆者のなかでの)の記事を、3つほどまとめてそのままもってきました。
寒い冬に、きもちだけでもあたたまってください(笑)

なお、これらのお湯は現在、休廃業等により入れない可能性があります。
レポ内容はあくまでも入浴時点のもので、営業継続している施設も現在は状況が変わっている可能性があります。

こういう個性あるお湯が姿を消してしまった?ことは、熱湯マニア(笑)としてほんとうに残念です。
なお、壮絶な湯揉み対決をした熱川温泉「臨泉閣」が強く記憶に残っているのですが、これは未レポなので、近いうちにレポしたいと思います。


-------------------------
1.湯の小屋温泉 「葉留日野山荘」 (群馬県みなかみ町(旧 水上町))



<湯の小屋温泉 「葉留日野山荘」>
(群馬県みなかみ町(旧 水上町)藤原6289、9:30~20:00(厳冬期要事前TEL)、500円、0278-75-2210)
オフィシャルHP
紹介ページ (@nifty温泉)

北毛、藤原エリアの懐ふかく、湯の小屋温泉が湧いています。
かつてこの地は「葉留日(はるひ)の里」と呼ばれ、鎌倉時代に奥州藤原一族が隠れ住んだところと伝わります。

交通の便がよくなった今日でも、上越新幹線「上毛高原」駅からバスで80分、上越線「水上」駅からでも同じく60分、利根川づたいに奥利根の山々を分け入ってようやく到達。
ここより奥に集落はなく、名実ともに北関東最奥のお湯です。
ただし、道は悪くないので、厳冬期をのぞけばマイカーでも問題ありません。

湯の小屋にはいくつかの日帰り可能な湯宿があってここもそのひとつ。
廃校になった分校を改装した湯宿で、そこかしこに学校の面影が残っています。
母屋で受付し、別棟の湯小屋へ・・・。


【写真 上(左)】 浴場棟
【写真 下(右)】 浴室入口

ゆったりとした男女別の浴場は、清掃のいきとどいた気分のいいもの。
二面採光のあかるい浴室に、黒みかげ石枠鉄平石貼5-6人の渋い浴槽ひとつとシンプル。
かなりの熱湯浴場ですが、天井が高く通気がいいのでこもりはありません。


【写真 上(左)】 女湯
【写真 下(右)】 女湯の湯口

土曜の10時。前客がいなかったらしく、浴槽は47℃ほどもあるかと思われるゲキ熱湯で満たされていました。
カラン6(温泉?)、シャワー・シャンプーあり、ドライヤーなし。

加水はしたくなかったので、ひたすら湯もみに励みなんとかからだを沈めます。
石膏の析出がでた岩の湯口から熱湯を30L/minほども投入で、槽内注排湯はなく全量をオーバーフローのかけ流し。
ものすごいかけ流し量で内床は洪水状態。


【写真 上(左)】 男湯
【写真 下(右)】 男湯の湯口

きれいに澄み切ったお湯にはうす茶の浮遊物。
微塩味に弱い石膏味と、ほこほことした石膏芒硝系の湯の香が香る鮮度感の高いお湯。
硫酸塩泉特有のとろみときしきしに、アルカリ泉系のヌルすべをまじえたすこぶる入りごこちのいいお湯です。

個性はさほどないものの、奥行きを感じるなかなかにいいお湯で、浴場の雰囲気も捨てがたいものがあるのでおすすめ。
なお、湯の小屋周辺の多くの施設はおそらく1号泉か1.2号泉混合泉を使用していますが、ここは貴重な2号泉単独使用です。

藤原~照葉峡~湯の小屋~坤六峠~尾瀬戸倉とぬける道は、とくに紅葉の時季にはすばらしいドライブコースとなるので、これとからめて入浴するのもいいかもしれません。(紅葉の盛りは例年10月中~下旬)

アルカリ性単純温泉 63.4℃、pH=8.2、湧出量不明、成分総計=0.479g/kg、Na^+=114mg/kg、Ca^2+=21.8、F^-=4.7、Cl^-=95.2、SO_4^2-=110、HCO_3^-=54.4、CO_3^2-=10.0、陽イオン計=144.09、陰イオン計=274.3、メタけい酸=95.3、メタほう酸=9.4 <H12.6.20分析> (源泉名:湯の小屋温泉2号泉)

<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:なし 循環ろ過:なし 消毒剤使用:なし

〔 2009/12/04 (2006/07入浴) 〕


E139.5.34.090N36.52.10.140


-------------------------
2.草津温泉 「凪の湯」 (群馬県草津町)



<草津温泉「凪の湯」>
(群馬県草津町泉水区、無休?、24h(清掃等で不可時間あり)、無料、0279-88-0001(草津町観光課))
紹介ページ (草津観光協会)
紹介ページ (@nifty温泉)

共同浴場は観光用ではありません。地域住民の生活のお風呂です。
つねに“もらい湯”の心を忘れずにご利用下さい。
(草津観光協会HPより)

草津を代表する有名浴場、「西の河原露天風呂」
ここでは当然、「西の河原源泉」をつかっていると思っている人も多いかと思いますが、じつはここでつかっているのは現在の草津の主力源泉で湯量の多い「万代鉱源泉」。
「西の河原源泉」をつかうお宿は意外にすくなく、共同浴場ではここ「凪の湯」のみです。


【写真 上(左)】 西の河原公園-1
【写真 下(右)】 西の河原公園-2

やませみさんの情報によると、ここは以前「凪の湯」という自家源泉をつかっていましたが、「凪の湯泉源」は低温化により封鎖され、現在は「西の河原源泉」が引湯されています。
ちなみに「凪の湯」の泉質は、酸性-Al-SO4・Cl泉でpH=2.3、TSM(溶存成分計)=1.06g/kg(出所:同上)


【写真 上(左)】 住宅地図
【写真 下(右)】 まんじゅう攻撃と「凪の湯」への曲がり口

草津の目抜き通りのひとつ、湯畑から西の河原公園へ抜ける「西の河原(公園)通り」で、ひときわ有名な「まんじゅう攻撃」(^^;;)
そのまんじゅう屋さんのすぐ脇の路地を入ったところにあります。

観光客でごったがえす通りからすこしく入っただけなのに、あたりは落ち着いたたたずまい。
草津でも好きなポイントのひとつです。


【写真 上(左)】 外観
【写真 下(右)】 脱衣棚

石積み木造の趣ある湯屋建築。建物の両側の階段をおりると浴場です。左が男湯、右が女湯。
脱衣所、浴室ともさして広くなく、上部に湯抜き用の連子窓があるだけなので昼間でも暗く洞窟風呂のよう。


【写真 上(左)】 湯気にけむる冬の夜の凪の湯
【写真 下(右)】 湯口

木造2人ほどの浴槽がひとつ。これは草津の共同湯のなかでもっともこぶりなもの。
奥の金属パイプから熱湯源泉をこれでもか!というくらいの大量注入で切欠からの大量流し出し。
わたしが入ったときはいつもコックがロックされていて、絞ることさえできませんでした。
当然、お湯はゲキ熱、ふつうに47℃ほどはあります。
まるで「どうじゃ、入れるもんなら、入ってみい!」とばかりに、しゃかりきになって熱湯をキープしていると思えるほどの湯量&湯温であります。

気合い入れまくって湯もみだけで入ったこともあるし、あきらめてホースで加水したこともあります。
ま~、いずれにしても、すぐに入って出る、ということはとうていできないのでしばらく浴場にとどまることになります。

そうこうしているうちに、たいてい何組かの観光客がものめずらしげにやってきます。
でもって、たいてい「ここは無料で入れるのか?」的なことを尋ねてくるので、「無料だけど、めちゃくちゃ熱いっすよ・・・」なぞと答えると、だいたいお湯に手をつっこんだあと、あきれた顔をしつつ退散していきます(笑)

草津の共同湯は熱いのがあたりまえですが、これだけコンスタントに熱いのは「凪の湯」くらいでは?
「草津でいちばん熱い共同湯」としてあげる温泉好きが多いのも、なるほどうなづけます。
(ただし浴客の増える夕方はさすがに入れる湯温になるのでは? ・・・ 夕方入ったことないので不明。)

ここも当然、アメニティ類はいっさいありません。


【写真 上(左)】 切欠からの大量流し出し
【写真 下(右)】 湯色

ほぼ無色透明のお湯には湯の花はほとんどなく、酸性泉系のつよいレモン味としぶ焦げイオウ臭にタールじみた臭いとよわい金気臭が混じります。
このタール臭+弱金気臭がこの源泉の個性かと思います。

酸性泉特有のぬるぬる感が強く、イオウより酸性が表にでたイメージのお湯ですが、おなじく酸性泉のイメージのつよい「万代鉱源泉」にくらべるとピリピリ感はよわくて、よほど奥のふかい浴感があります。
また、お湯の力感じたいは「湯畑源泉」より上かと思います。

熱いですが、個人的には好きな浴場のひとつ。
ただ、あのすさまじい注入量を絞ってもらえると、もっと入りやすくなるのですが・・・。

<西の河原源泉/草津温泉旅館協同組合オフィシャルHP「ゆもみねっと」より>
酸性・含硫黄-Al-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 49.5℃、pH=2.0、湧出量測定せず(自然湧出)、成分総計=2.00g/kg、H^+=10.0 (32.18mval%)、Na^+=81.4mg/kg (11.48mval%)、Mg^2+=41.4 (11.05)、Ca^2+=93.8 (15.19)、Mn^2+=1.45、Fe^2+=15.0、Al^3+=70.2 (25.32)、F^-=14.2、Cl^-=499 (45.34)、SO_4^2-=668 (44.79)、HSO_4^-=225、陽イオン計=348 (30.8mval)、陰イオン計=1406 (31.1mval)、メタけい酸=229、メタほう酸=13.2、硫酸=5.7、硫化水素=4.7 <H15.4.30分析> (源泉名:西の河原源泉(町有))

〔2009年10月18日UP (2006年から数回入湯)〕




-------------------------
3.湯河原温泉 「若草荘」 (神奈川県湯河原町)



湯河原温泉 「若草荘」
住 所 :神奈川県足柄下郡湯河原町宮上749
電 話 :0465-62-3576
時 間 :10:00~16:00(要事前確認) / 不定休
料 金 :500円
オフィシャルHP
紹介ページ (「どこどこ」by 社団法人小田原青色申告会)
紹介ページ (ぐるなびトラベル)
紹介ページ (神奈川の温泉宿(求人ジャーナル社))


【写真 上(左)】 右端の路地に入ります
【写真 下(右)】 県道からの分岐

湯河原の山手にある自家源泉の宿。
湯河原にはめずらしくPは広めで、温泉場からのアプローチも急坂なので車で攻めるのがベター。
温泉場に入る橋を左に分けてすぐの斜め右手に入る路地(入口に「亀屋」の看板、「光陽館」の裏手)を進み坂をのぼった先、住宅地のなかに見えてきます。


【写真 上(左)】 アプローチの途中
【写真 下(右)】 看板

建物の裏手に誇らしげに温泉櫓が立っていてはやくも期待が高まります。
こぢんまりとしたお宿でお宿の人も親切な感じ。


【写真 上(左)】 入口
【写真 下(右)】 ロビー

ロビーよこに浴室がふたつ。
HPによると浴室は3つ(1階の”狸の湯”(男女)と3階の”黎明の湯”)あるらしいですが、このときは「黎明の湯」には気づきませんでした。
また、ここは源泉を利用した砂風呂(2階)でも知られています。


【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 湯口のうえのタヌキ

1階の”狸の湯”のふたつの浴室は脱衣所共通だったような気がしますが、定かではありません。
正面の浴室は狭くて暗め。


【写真 上(左)】 禁断の(笑)ゲキ熱浴室
【写真 下(右)】 湯口

狭いうえに石造りのちいさな浴槽に超熱湯を大量投入しているので、もの凄い熱気の天然サウナ状態。
とてもさわれないほどの熱湯が内床にザンザンあふれだしていて、浴室に足を踏み入れることさえできません。
なんとしても湯口写真ゲットしたかったので、イスとオケを踏み石にして(^^;;)どうにか撮影成功。
浴槽に浸かるどころか、浴室に居ることじたいきびしいものがあります。
これまでいろいろなお湯に入っていますが、ここまで凄まじい浴室はここがはじめて(笑)

ということで、この浴槽の攻略は断念。


【写真 上(左)】 浴槽
【写真 下(右)】 湯口

右手にやや広めで明るい浴室。こちらは窓があけられていて熱気が抜けています。
鉄平石貼4-5人の浴槽がひとつとシンプル。
水カラン2、シャワー・シャンプー・ドライヤーなし。
土曜11時で独占でした。

白い石膏の析出がでた岩組みの湯口からゲキ熱湯を絞り投入で、槽内注排湯はなく全量をオーバーフローのかけ流し。
湯口のうえには信楽焼のタヌキが居座り、よこにはコップがおかれています。
こちらはかなり熱めながら、多少の湯もみで入れる常識的な(^^;)熱さでした。


【写真 上(左)】 洗い場
【写真 下(右)】 石膏の析出

お湯はかなり個性的なものです。
きもち緑がかってうすく懸濁し白とうす茶のこまかな湯の花が舞っていて、湯中の指先がつよく青白に発光しています。
芒硝石膏味で塩味はほとんど感じず。
芒硝臭に独特な鉱物臭がまじって、なんとよわいながらくらぶち相間川的な香りになっています。
硫酸塩泉的なきしきしとアルカリ泉的なヌルすべを感じ、後者のほうが卓越しています。
つよいとろみは、メタけい酸&硫酸塩由来か?

熱湯ということもありますが、お湯に勢いがあるのであたたまりがハンパではなく、ときおりカランの水を浴びながらの入湯。
浴槽からすぐに追い出されるが、水浴びしてひとごこちするとまたぞろ入りたくなるあと曳き湯でもあります。
濃度感もしっかりとあって、温泉場の源泉よりクセもの系で、湯河原では「南明園」とならぶキャラの立ったお湯だと思います。

しかし、浴室脇で湧く82.5℃の高温源泉を加水しないで提供するとは気合いが入っています。
お湯に対するお宿の見識は、HPの案内(下記)からもしっかりと伝わってきます。
また、こういうお宿がしっかり残っているのも湯河原温泉の底力なのかと・・・。

4ケタあたりまえの湯河原で500円は良心的だし、お湯も個性あふれるものなので温泉好きなら一浴の価値ありかと。
ただし、熱湯が苦手な方にはおすすめしませんが・・・。

〔源泉名:若草源泉(台帳番号 湯河原第156号)〕
Na-塩化物泉 82.5℃、pH=8.3、湧出量不明、成分総計=2.89g/kg
Na^+=797mg/kg、Ca^2+=170、Fe^2+=0.08、Cl^-=1290、SO_4^2-=350、HCO_3^-=57.0、メタけい酸=142、メタほう酸=15.5、遊離炭酸=0.47 <H14.11.18分析>
 
<温泉利用掲示>
加水:なし 加温:なし 循環装置等使用:なし 消毒処理:なし
コンコンと涌き出づる良質な源泉を濾過も追い焚きも循環もせず、
40数年間一度も止めずに使用しています。(HPより)

〔 HPより 〕
みかんの木が映える若草山の中腹に、良質で豊富な源泉のお宿がございます。
薄めず、濾過せず、巡回(ママ)せず、昔ながら、湯治旅館の本分を違えず
岩風呂・家族風呂・砂風呂と、歴史のある本物のお湯をご用意しました。

ようこそ若草荘へ。
その昔、元湯湯治旅館として多くのお客様に愛され、頑なに守られた温泉を
より多くの方に解放し、お手軽な料金でご利用いただける事が私達の本望です。

■ブランドグルメ
〔 湯河原の担々やきそば 〕
湯河原の開湯伝説にあらわれるたぬきにちなんで産み出された湯河原のご当地麺、“担々(タンタン)やきそば”。
食べたことないのですが、Web情報によると「練りごまやトウバンジャンなどを主原料とした香ばしいピリ辛の味つけが特徴」だとか・・・。
湯河原柑橘系と温泉玉子系の2系統あるのも斬新。
B級グルメブームの昨今、ひょっとして大ブレークするかも・・・(もうしてる??)

〔 2010/11/27UP (2008/11入湯) 〕


E139.4.27.830N35.8.49.328
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ■ 名手揃いの... ■ コードづか... »