読書の秋であるが、
そういえば最近、スマホばかり見ていて、
まともに本、小説など読んでいない。
過去に、夢中になって読んだ小説がある。
江國香織&辻仁成さんの『冷静と情熱のあいだ』。
結構真剣に読んでしまった。
冷静と情熱のあいだは、
順正とあおいという男女が、30歳の誕生日に、
イタリア・フィレンツェの大聖堂(ドゥオモ)で再会しようという話。
でも、色々あってダメかと思われたが、
10年後、二人は約束を果たして再会する。
約束した日に再会するなんて、
なんとドラマチックな話か。
私は高校生の時、
当時、武蔵野美大に通っていた女子大生と
ちょっとだけお付き合いをした。
彼女は、絵の勉強のためフィレンツェに行き、
そこでお付き合いは終わりとなった。
その後は何度か、フィレンツェからの絵葉書も貰ったりした。
冷静と情熱のあいだを読んで、
ふと、この彼女を思い出し会ってみたくなった。
その後、色々な手順を踏んで彼女と再会した。
16年前。2007年だ。 彼女は日本に帰っていた。
その時が、高2の時以来 27年ぶりという再会だった。
今現在も、この彼女とはメールのやり取りをしている。
16年前に再会した時、
まさに冷静と情熱のあいだのような気分になり、
その話をしてみた。
しかし彼女は『私、読んだことないのよ』
まあ、再会したのはフィレンツェのドゥオモではなく、
渋谷の居酒屋ではあったが、
今も会話が続けられている事を、幸せに思っている。
もし、冷静と情熱のあいだを読んでいなかったら、
彼女の事を思い出さなかったかもしれない。
その後の再会もなかった。
今、お互い60代で、時々メールで近況を伝えあう。
それだけでも安心できる。
一冊の本が人生を変えるというが、
私は、この本がその後の人生を豊かにしてくれたと思っている。