シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

貨物列車への憧憬

2013-08-14 10:35:55 | 世の中あれこれ
子供の頃なりたかった夢。
なんだか、たくさんあったような気がする。

小学校の卒業文集には「高校の先生」と書いたし、
中学の時は、「国土地理院で地図を作成したい」
高校の時は、「旅行会社で添乗員」
大学では、「証券会社」。

で、結局自営の印鑑・印刷業を営んでいる。

ただ、
幼児の頃、私の記憶では一番最初に持った夢。
これだけは、ずっと変らず持ち続けている。
それが、「貨物列車の機関士」だ。

私の幼児の頃といえば、
東海道新幹線が開通し、絵本も新幹線が主流。
しかし、私は貨物列車に興味があり、
特に材木や家畜(牛など)を運ぶ貨車に興味があった。


今、もし一ヶ所だけ就職できるとしたら、
JR貨物に勤めたいと思う。
最初に抱いた夢を、まだ持ち続けている。

貨物は一時衰退したが、また持ち直した。
今は、桃太郎や金太郎といった機関車も人気があり、
往年の貨物の威厳と威容を、再び感じさせている。

しかし、貨物はコンテナが主流で、
貨物の代名詞でもあった有蓋車(ワム)も、昨年全廃された。
材木だの牛だのは、もはや伝説のようだ。
長編成の貨物を見るとワクワクするが、
結局、最初から最後まで同じコンテナ、という現在は寂しいものがある。

石油(タキ)に書かれている、「○○駅常備」という文字も魅力だった。
根岸、安善、新興、郡山、沼垂・・。
新興のように、今はもうない駅もあり懐しかった。

それでも、貨物を見ると嬉しくなるのは、
その一瞬だけ、私は子供に戻っているからかもしれない。


私が一番好きなのは、写真のEF66。
いかつい感じの顔が魅力である。

夜空のトランペット

2013-08-04 12:28:51 | 音楽を聴く

ニニ・ロッソの名曲、『夜空のトランペット』を聴いた。

 

子供の頃、夏休みを山梨県甲府市の母の実家で過ごした。

その頃、市内放送のスピーカーからは、

午後6時になると、『夜空のトランペット』が流れた。

この曲が流れると、祖母は夕食の支度を始めた。

四方を山に囲まれた甲府市の、山の稜線と夏の夕方の風景、

そしてこのメロディが、 今も私の中で思い出に残る。

 

それから何年後か、 ある記事を目にする。

日航機が、成田に到着する際、

機内でこの『夜空のトランペット』を流しているという。

着陸前の慌ただしさと、緊張感をほぐすために、

小音のBGMとして流しているらしい。

しかし、これが米国人乗客からのクレームになった。

米国では、戦時中に、 亡くなった兵士を荼毘に伏す際、

星条旗の半旗と共に、この曲を流したという。

『タップ』という、弔意を表す厳粛な曲だったのだ。

乗客は、『一番危険な着陸の時に、縁起でもない』と抗議した。

日航は、「国際線として配慮が足りなかった」として、 この曲をやめている。

 

飛行機の到着時。 死者を弔う音楽。

考えてみれば、この曲はどちらにも合う。

ただ、それに伴う各国の歴史や背景などは、 ともに理解しなければいけない。

 

幼い頃の私の名曲。

今はもうさすがに、 甲府市でも流れていないだろう。

私にとっての、夏の遠い記憶である。