シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

「ハレルヤ」での起立を考える

2013-10-30 12:13:14 | 音楽を聴く

12月14日、ヘンデルの「メサイア」を聴きに行くことになった。

 
二十数年前、合唱団にいた時歌った曲だ。
あまりにも長いため、合唱部分は何曲かカットされた。
しかし、思い出に残る曲だった。
 
この時、有名な「ハレルヤ」に進んだが、
客席のあちこちで、席を立って聴く人が現れた。
だいたい2~3割・・だったろうか。
私は驚いたが、とにかく歌い終えると拍手が起こり、
立っていた人々は、また着席した。
 
終了後、団の仲間に聞いた。
「ハレルヤで立ち上がった人、あれ何ですか?」
その時、初めてこの曲のエピソードを知った。
 
 
1743年、『メサイア』がロンドンで初演された際、
この「ハレルヤ」が演奏されると、客席で聴いていたジョージ2世が
感動のあまり立ち上がった。
これにつられ、聴衆も立ち上がった。
そして、拍手をもって讃えたという。
 
当時イギリスでは、 全知全能の神を讃える歌が演奏される時は、
起立して聞く習慣があった。
「ハレルヤ」は、それに匹敵した曲だったのだろう。
 
しかし、疑問もわく。
ジョージ2世が立ち上がったのは、曲の途中だったようだ。
なので、聴衆も次々に立ち、終了と共に拍手といういきさつだが、
・・初演である。初めて聴いた曲の途中で、
全能の神を讃えるにふさわしい、と判断できたのだろうか。
だとしたら、この王は大変な感性と耳の持ち主である。
結局今では、このエピソードも本当ではないといわれている。
 
 
だが日本では、これに倣って、
「ハレルヤ」の際は聴衆が起立するという現在に至っている。
おそらく、クラシックの曲の中で、
途中で聴衆が立ち上がる(しかも全員ではなく「希望者」)というのは
この曲だけではないか?
 
でも、エピソードの真偽はともかく、こういう倣わしがある曲もいいな、と思う。
立ち上がることで、「私は知識があるんです」と、
アピールする嫌味、と感じる人もあるようだが、
270年前の話が続いているのも良いではないか。
 
 
私は当日どうしようかな・・。
でも、あの二十数年前の、自分が歌ったときの驚きと感動を思うと、
そっと立って、じっと聴いて、拍手を送りたいな・・と考えている。
演奏者、合唱団と、私達聴衆が、
この曲の歴史を共にしていることを感謝して・・。
 

銭湯の日

2013-10-09 12:10:26 | きょうは何の日?
明日、10月10日は「銭湯の日」。

言うまでもなく、千と10のごろ合わせである。
さらに、もう一説として、
1964年の、東京オリンピック開幕日であり、
長く「体育の日」でもあった。
『運動と入浴は密接な関係』ということで、
この日に決まったという。

制定したのは、東京・江東区の浴場組合だという。
ここから、全国的に広まった。
一つの区の業者の提案から、というのも珍しい。

ごろ合わせにしても、
運動との関係の、ややこじつけにしても、
秋のこの季節は、銭湯への魅力を感じる時期でもある。


ところで、銭湯にはルールがある。
入った時に、どこのカランを使うかということだ。

その銭湯に初めて行った者は、
入ってすぐの、目の前のカランを使う。
入口近くで、人の出入りや扉の開け閉めなど、
一番落ち着かない場所に、
「新人」が座りなさい、という事だそうだ。

端の、大きな鏡のある列は、
そこの常連が使う。
もちろん、決まりではないし、
銭湯のカランなど、基本は「自由席」。
だが、言われてみれば一理ある。

昔は、こういった常連が、
ふざけている他人の子供でも注意したものだ。
銭湯を通じて、地域の人達のつながりを持ち、
叱ったり叱られたりの関係で、マナーを学んだのだ。


今は銭湯自体が減り、
スーパー銭湯や、レジャー施設のような店が増えた。
ルールやマナーなども希薄になり、
書いてあるのは、『入れ墨お断り』の文字だ。
そういえば、私も子供の頃銭湯に行ったが、
立派な入れ墨の人が、必ずいたように思う。
昔はおそらく、
そういう人は、銭湯でトラブルなど起こさなかったのだろう。
でも今は、お断りという時代になったのだ。

銭湯の日は、無料になる店も多いらしい。
かなり混雑する店もあるようで、
本当の意味で、銭湯の風情や良さはわからないのではないか。

江東区の知人の、中学生の娘さんも、
明日は友達と行くのだという。
中学生くらいが一番、風呂のマナーを知ってほしい頃であるが、
友達とワイワイ行くのも楽しいことだろう。


写真は、東京都内で一番古い銭湯だという、
江戸川区の「あけぼの湯」。
銭湯の日を制定したのも江東区だったし、
朝風呂の発祥は台東区の銭湯と聞く。


風呂の文化は、東の下町からやって来る。

OOTEMORI

2013-10-02 09:36:14 | お店紹介
大手町駅に直結の地下街に、
「OOTEMORI」が今日、オープンする。

毎日、通勤で大手町駅を使う。
丸の内線から東西線に乗り換える通路は、
長年、狭い連絡通路で結ばれていた。
通路は、本当に「通路」のみで、
途中、店などなかったのだ。

今年に入って突然、
この付近で工事が始まったと思った途端、
新しい広い通路に変更になり、
それに面して、広く新しい空間が広がり、
気がついたら、新ショップ街として生まれ変わった。
そして、今日のオープンとなった。

とにかく、こういう建設・開店は早い。
被災地で、復興が遅々として進まない中、
こういった建物があっという間に出来上る日本。
どこか、これでいいのか?という疑問も感じる。

もう何年も前から計画され、
地下鉄利用者にはわからない部分で、
工事は長く続いていたのかもしれない。
しかし、あっという間という感は持つ。


OOTEMORIは、
レストランがメインで、今風の店が多い。
女性をターゲットとした店舗は、
私のような者には、正直それほど魅力はない。

東京は、
新丸ビルや渋谷ヒカリエ、
丸の内オアゾにKITTE。
とにかく、お洒落な街や店が続々と姿をあらわす。
それぞれの地で働く人達にとっては、
レストラン街の開店は歓迎できることだろう。

ただ、東京も少し画一的で無機質な都市になっている感がある。
2020年の五輪も決まった。
来日した世界の人々が、
「トーキョーは、どこもコピーしたような街」
などと失望しないように、
もっと個性豊かな街、地下街を願っている。