ヘンデル『メサイア』を聴いた。合唱団にいた時にも歌った曲だ。
メサイアは、ソプラノよりもアルトのメロディが好きである。
宗教曲は、低音の支えの部分に美しい旋律が多い。
メサイアも、アルトの力が大きい曲だ。
ソプラノとアルト。
ソプラノはどうしても華やかなイメージが強いし、アルトは地味な印象を受ける。
テノールとバスの関係とは、少し違う気がする。
女声の差は、聴いていて大きいのだ。
合唱団にいた時、 ソプラノに大学生の女の子がいた。 (ちなみに東大の子だった)
この子が学業のため何ヶ月か休団し、 また復帰した時、
団の規則により、ボイスチェックのパート試験を受けた。
ところが、高音域が綺麗に出なくなっていた。 そしてアルトに決まったのである。
するとこの子は、
「ずっとソプラノでやってきたので、アルトなら行きません。 このまま退団します」 と言ったのだ。
これを聞いたアルトのパートリーダーが怒った。 「アルトに来るのが、そんなに屈辱的なことですかっ!!」
まあ、この子の気持ちも解らなくもないが、 アルト側の気持ちもよくわかる。
ソプラノとアルトというと、この子の一件を思い出す。
第9を歌った時、 アルトのソリストが言った。
「第9では、アルトのソリストは『ギャラドロ』と呼ばれています。 そのくらい、ラク~な歌なんです」
そう言って笑ったのだ。
たしかに第9のアルトソロは目立たない。
ところで、 私はテノール、妻はソプラノをやっていた。
今、高1の娘も合唱部に入っているが、 なぜかアルトなのだ。
パートまでは、遺伝は関係ないのか・・??
娘は言う。
「アルトは楽。ソプラノなんてしょっちゅう怒られてるしぃ。
屈辱的? ぜーんぜん。なんでそんな考えになるのかしら」
ギャラドロで、なおかつ怒られない。
アルトは得なのか・・?
いや、私は昔いた合唱団の会報誌に、
『差し入れのお菓子はソプラノから回される』とコメントしたら、
どちらの女性方からも大笑いされた。
でも、今でもそのイメージは持っている。
とにかくソプラノとアルト。どちらが重要などという話ではない。
両方なければ、合唱にならないのだから・・。