今日9月1日は、指揮者・小澤征爾氏の誕生日。
75歳になられた。
だが、今年癌にかかり、そちらは回復したものの、
腰痛を伴ったということで
「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」の指揮を取りやめたという。
それでも、一曲だけ振るということだが、
氏とともにある音楽祭だけに、とても残念だ。
私の父と歳も近い。
父の年齢で、長い時間指揮台に立ち、演奏することを思うと、
かなりのハードであることには違いない。無理をなさらずに・・と願う。
私は合唱団にいて、それなりに著名な指揮者の演奏で歌ったが、
小澤征爾氏は、一度もご一緒したことがなかった。
まあ、アマチュアの合唱団の演奏で振るレベルの方ではないが、
今となっては、ちょっと残念だ。
その、合唱団にいた頃だったが、
東京・上野の、東京文化会館で練習をしたことがあった。
帰りに、仲間と上野駅近くのガード下の立ち飲み屋に寄る。
狭いゴタゴタした店だったが、多くのサラリーマンで賑わっていた。
その店は、「大和」という名前だった。
飲みながら、何気なくその店の
壁の小さな落書きを見て、私達は驚いた。
『大和さん、ごちそうさまでした。また来ます。 小澤征爾』
すると、近くにいた常連らしき男性が言った。
「店も、これを宣伝するわけではなく、そのままにしてるんだよね。
いいことだよね。」
こういった店で見かける、立派なサイン色紙ではない。
店長とのツーショット写真でもない。
世界の小澤の、壁の落書き。
素晴らしい足跡だ。
しかし、この「大和」は、もう無い。
今から20年以上前の話だ。
だが、小澤氏というと、この落書き・・いや、
実に粋なサインを思い出す。
小澤氏のご回復を祈るとともに、
ぜひ来年の「サイトウ・キネン」は、
指揮台に上がって颯爽と振って戴きたいと思う。
お誕生日おめでとうございます。