2022年冬至。
3年ぶりに『一陽来復』を手にできた。
東京・早稲田の穴八幡宮。
早稲田駅からすぐ、馬場下町の交差点の角にある。
900年前からの歴史を持ち、
商売や金融の神様として参詣客の絶えない神社である。
この神社で、期間限定で配布されるお守りがある。
毎年冬至の日から、翌年節分の日までのわずか40日ほどの間に出る
『一陽来復』というお守りである。
いちようらいふく。中国からの言葉で、
一年で一番昼の短い冬至は、運気も底辺である。
しかしこれからは日が長くなってゆく。
邪気を払い上昇していこう、という意味らしい。
お守りは、10cmほどの筒状の小さな紙。
写真のものだが、最初見た時は正直、
こんなものでご利益あるのかと思ったくらいだ。
しかし、その形や文字は独特で、
少し不気味なオーラを発しているようで
手荒に扱ってはいけない、と感じさせるものだった。
形もだが、さらにこれの祀りかたも独特だ。
その年の恵方に向かって、部屋の壁の高い所に貼りなさい、
つまりは、恵方と反対側の壁に貼りつける事になる。
さらに貼る「日時」まで決まっており、
① 12月22日の冬至の日の夜12時。(23日0:00)
② 12月31日の大晦日の夜12時。 (1月1日0:00)
③ 2月3日の節分の夜12時。(4日0:00) [2022年~2023年の場合]
このいずれかの日に、この時刻に先述の位置に貼りなさい、というものだ。
チャンスは3回。 貼りつけたら一年間そのまま。
それだけで金運上昇、というものだが、
午前0時まで起きてなさい。しかも②は、年が変わった瞬間に貼りなさい、
というなかなか厳しい祀り方を指定される。
最初が一番ご利益あるということで、
①の冬至の日に貼るケースが一番多いようだ。
配布初日の12月22日は、穴八幡宮は大混雑になる。
もし、貼りつけた一陽来復が壁から落ちてしまったら、
貼り直しは出来ず、穴八幡宮に納めに行ってその年はもう諦めなさい、
ということらしい。
ただ、まだ②と③の日に間に合えば新たに買い直して再度貼ればいい。
なので冬至の①の日に手に入れるのがベストだ。
これだけ厳しい但し書きがつくが、
神様との約束なので守りなさい、との事だ。
ちょっとレアなお守りには違いない。
4年前、私は初めてここに行き一陽来復を手にした。
その翌年、つまり3年前の2019年は驚くほど店の売上が良かった。
そして、その年の冬至にまた行って手にしたのだが、
翌2020年の春、貼りつけた一陽来復が落ちてしまった。
すぐに穴八幡宮に納めに行ったのだが、この年の売上は振るわなかった。
2020年は行けず、昨年は母が亡くなった直後だったので控えた。
そして今年、10月に一度穴八幡宮を訪れて商売繁盛を祈ったら、
その週、3日続けて大口のお客さんが来た。
やはりこの神社には何かある。
というわけで、昨日穴八幡宮に行き、
一陽来復を授かってきた。
店を閉めたあと、夜8時頃到着したが、
40分ほど並んだ。
しかし、これは例年通り。
朝から行くと、2~3時間待ちの時もあるらしい。
多くの人が、スマホを見ながら並んでいる。
歩きだしても目を離さない。
境内は暗いし、前の人が止まった時にぶつかったりすれば、
将棋倒しになるような状態である。
なにより神聖な境内で、
スマホをいじってお参りとはバチ当たりだろうと思うが。
私も昔から、神社や寺巡りは好きであるが、
「ここはご利益ある!」と本当に思えたのは穴八幡宮が初めてだ。
すべては気の持ちようだと思えるが、
そんなふうに、『ここは!』と思える神社があってもいい。
2023年の恵方は南南東。これは恵方巻き寿司も同じだ。
お守りは、対する北北西の壁に貼るわけだが、
南南東はちょうどうちの店の入口にあたる。
お客さんを迎える位置にある一陽来復。
昨年は母の死去、今年はその後の手続きなどで、
気分的にも商売繁盛ではなかったが、
来年は本厄を乗り越えて頑張ってみたい。