シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

還暦とは・・

2023-06-29 09:04:36 | 日常から

今日、60歳になった。

還暦である。

 

いや、それにしても、

還暦なんて、相当な年寄りの名称という気がしていたが、

実際に到達してみても、

自分で自分に違和感を感じる。

たしかに頭も体も、若い時と比べれば落ちているが、

そんなに自分が年寄りだなんて感じていない。

店では相変わらずお客さんから、『お兄さん』と呼ばれる。

喜んでいるわけではないが。

 

昔と比べれば、今の60歳はまだ若い部類だ。

私の周囲でも、3~4歳上の人が大勢いるが、

男性は皆若い、兄貴的な感じの人が多く、

女性は、まだ大学生くらいに見えるような人もいる。

そういう中にいると、

自分も精神的に老けないということか。

 

 

『村の渡しの船頭さんは   今年六十のおじいさん』

という童謡『船頭さん』。

この歌詞がずっと頭にあり、

60歳って大年寄り、人生終わり、のような感があった。

でも今は、60歳なんてまだ人生の半分のような気がする。

 

近所に『シルバー人材センター』がある。

ここは、60歳から入会可能だという。

しかし、実際にここに勤めている72歳の方に聞くと、

『最年少は私。』と答えられた。

ここはまだまだ、入門にも至らないようだ。

 

 

60代か・・。

音楽も楽しみたい。

色々な街も歩いてみたい。

そして、さすがに恋愛までいかなくても、

人を好きになり、心豊かに過ごせる人生も続けていきたい。

 

そう考えると、

還暦は、人生終わりどころか、

クラシックでいえば第三楽章というところか。

壮大なラストの第四楽章に向けて、

新しい旋律やリズムを刻み、

昂揚させるメロディが第三楽章にはある。

 

 

ならば、これからではないか。

第三楽章のタクトを振るのは、自分自身なのだから。

 


エッフェル塔から33年

2023-06-24 14:25:47 | 懐しい話

上のこの写真、

私のmixiのトップページに飾ってある写真だ。

mixiもしばらく書き込んでないが、

この写真はとても気に入っている。

 

夜のエッフェル塔と恋人のシルエット。

シチュエーションとしても最高だ。

こういう写真のサイトから見つけたものだ。

音楽の話題を中心に書いてきたmixiの、

トップの写真としてはミスマッチかもしれないが、

とにかくお気に入りの一枚だ。

 

 

今日は結婚記念日。

33年になった。

新婚旅行はウィーン・ザルツブルク・パリを二週間。

ツアーではなく、個人旅行だった。

私も妻も、英語や独語、フランス語など話せない。

でも、自分たちで行きたい所や観たい舞台、

ツアーでは出来ない体験をしたいと思った。

そして、ウィーンでミュージカルを観たり

朝食で一流ホテルのザッハートルテを食べたり

ザルツブルクでは、町の食堂のレバークノーデルを味わったり、

パリでは丸一日、ルーブル美術館を観たりした。

 

英語なんか話せなくても何とかなる。

二人で協力しあえば楽しめる。

その後の長い夫婦生活が続いたのも

この旅行があったからと考えている。

 

 

最終日。

ドゴール空港に向かうタクシーの中から

青空にそびえ立つエッフェル塔と

ゆったり流れるセーヌ河を見たが、

それ以来、パリには行っていない。

でも、行っておいて良かった、と思える街だった。

 

あのエッフェル塔を訪れたのが、

7月14日・パリ祭の日。

33年前のパリの街は

暑く、華やかで、素敵な光景に包まれていた。

 


父から母への手紙

2023-06-18 10:01:11 | きょうは何の日?

一昨年、母が亡くなった直後、

私は棺に納める品を選んでいた。

その中で手紙の山が出てきた。

かなり古い手紙も残っていたが、

その内の一通が目に止まる。

父が母に宛てた手紙だった。

 

結婚前の日付だったので、

お付き合いをしていた頃だったのだろう。

人の手紙を読むのは好きではないが、

さすがにこれは一読したいと思い、開けてみた。

 

白い便箋に万年筆のタテ書き。

この時代の典型的な手紙スタイルだ。

達筆でもヘタでもない父の字だったが、

目を通してみた。

 

 

母の事を「ちゃん」付けで呼んでいる。

『逢いたい』などという字も使っている。

そして、『今度お父様に挨拶に行きたい』という、

かなり最終章に近い状況での内容だったと知る。

 

ラブレターだのラブコールだの、

こういった言葉とは無縁と思っていた父の、

衝撃的な手紙である。

 

見てはいけないものを見てしまった・・。

と同時に、

この手紙を大切に保管していた母をも思う。

父からの手紙は、この一通だけだった。

 

手紙は棺の中に納め、

母と一緒に、差出した父の待つ所へ旅立った。

60数年ぶりの手紙を見て、おそらく父は、

『こんなの書いたっけな。覚えてないや』と

しらばっくれたに違いない。

 

 

父が亡くなって7年。

母は2年になる。

 

この話は、家族にも弟にも親戚にもしていなかったが、

父の日の今日、

ここでエピソードを残したい。