シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

50年前の鉄道の記憶

2022-10-14 09:17:47 | きょうは何の日?

今日は鉄道開通150年の日。

全国各地で記念のイベントが開かれている。

 

自分の最大の趣味であった鉄道。

でも歳を取るにつれて魅力が無くなっている。

元々、廃線やら昔のものに目が行く方だったので、

進化し続ける新しい電車や駅には関心が薄れている。

 

1972年(昭和47年)は私が鉄道を好きになった年。小3だった。

たまたま学校で、西武線の駅名を順に言ったところ

友達から「鉄道の神」扱いされたのが始まりだったと思う。

そしてこの年は、鉄道開通100年の年だった。

 

その100年イベントの一つとして、夏の小海線にSLが走った。

山梨出身の父は、突然このSLに乗りに行こうと言い出したが、

元来鉄道など興味のない父は、出かける数日前に時刻表を買ってきて、

小淵沢発が午前4時台と知って諦める。

が、11時台の普通列車に乗れば途中の甲斐大泉で

折り返しで戻ってくるSLとすれ違う事を知る。(これは私が見つけたのだが)

そして小淵沢までは車で行き、その11時発の普通に乗った。

 

時刻表通り、甲斐大泉では対向のSL「C56」が停車していた。

一番前で、運転席のすぐ横で立って見ていた私に運転士が

汚れた軍手のまま私の手をつかみ『ほら、SLだよ!』と声をあげた。

気動車だったこの列車は、今の運転室のような囲いがなかった。

この時の軍手の運転士さんへの感激は今も忘れない。

 

その2年後の夏には、親戚と北海道に行った。

鉄道好きな私のために、叔父は東北本線のブルートレイン「ゆうづる」や

函館からの特急の指定席を求めたが、どれも満席だった。

やむなく飛行機で行ったが(飛行機に乗ったのはこの時が初めてだった)

北海道の地平線が見え、飛行機も千歳に近づき高度を下げた時

その地平線と平行するように走るSLと白い煙が見えた。

室蘭本線の下り列車だった。

この年限りで、日本全国のSLが全て廃止になったが、

この光景は、今でも忘れられない。

 

 

その後は鉄道というものに近付いたり離れたり、

150年の鉄道だが、私はちょうど50年の歴史だ。

普通列車だけを乗り継いで青森まで行き青函連絡船に乗り

稚内まで行ったりもしたが、もうこんな旅は体力的に無理だ。

でも新幹線で一気に日本の端まで行きたいとも思わない。

やはり自分の中では、ディスカバージャパンのような旅が残っているのだ。

 

子供の頃感激したSL。

今は各地で走り、乗る事が出来る。

しかし、これまで生涯一度も乗った事はない。

観光用ではなく、普通に生活として走る列車が好きなので

SLにもそれを求めてしまっているのかもしれない。

 

 

撮り鉄やら指定席のネット予約やら

限定販売やら即時完売やら

そして次々に廃止される駅や線路と、やたら力の入っている『新幹線』。

どこか今の鉄道には付いていけない。

私はあの小海線と室蘭本線のSLの感動を忘れずに

今後も、失われた線路を見つける旅に出たいと思う。