AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

アンドゥトロワ踊ってワンツースリーHipHop

2013年05月15日 | まったり邦楽
Coccoの2010年作の7thアルバム『エメラルド』をいまさらながら購入。

前作のあまりの駄作ぶりに失望して(その前の『ザンサイアン』もなんかイマイチ)、それ以来Coccoにはほとんど興味を示せなくなってて、『エメラルド』がリリースされた当時も、本人描くジャケから漂う露骨な沖縄臭になんかイヤなもの感じてスルーしてしまった。
もともと沖縄出身だからっつって、三線の音色や島唄歌唱など、あざとい常套手段をいたずらにぶっこんでくるアーティストが好かんくて、Coccoはそういうのとは無縁の存在としてリスペクトしていたもんだから、先行の“ニライカナイ”や、ウチナーグチ全開の“絹ずれ”を聴いて、琉球民族原理主義的なイヤ~なものを感じて、もう知らんプイって感じだった。
おまけに、本作は音楽理論トーシローのCocco本人の全面セルフプロデュースっていうんだから、期待しろという方がムリってもんだ。

Cocco / ニライカナイ 【VIDEO CLIP SHORT】


で、どんなもんかと、軽く試し聴き気分で本作に臨んだわけでありますが・・・・・・・

沖縄の方を向いてCoccoに手をついて謝りたい気持ちです。
ゴメンソーレ?ほんと、彼女をナメてました。

ひとことでいうと、ウチナーグチ×オルタナティヴ時折ヒップホップ?
アコースティックで始まる「いきなりタイトルが人の苗字なのかよ!」とつっこみたくなる冒頭の“三村エレジー”からして、Coccoのやけに生々しく響く妖艶な歌い方に、なにかしら一種異様な魔力を感じた。これは、ひょっとしたら凄い作品なのではないかと。

本作は、かつてのCoccoの相棒、根岸孝旨氏がけっこうレコーディングに携わっているからなのか、割と活動中止前に近い感触があり、全体的には『ザンサイアン』のようなバラエティに富んだ作りとなっている。
シングル曲“ニライカナイ”も改めて聴くと、うん、これは琉球國祭り節が加味された“あなたへの月”だ。
やはり根岸氏がベースを弾いている楽曲はグルーヴ感が半端なく、根岸×Cocco共作の躍動感あふれる“Stardust”では、ベースが凄まじいまでのウナリをあげている。
そして、今回はやけに打ち込みのバックサウンドが目立つなと思ったら、RYUKYUDISKOという沖縄出身のクラブ・テクノユニットが数曲関与している。
エレポップなセンス爆発の“のばら”の中間でぶっ込まれる、Coccoがマイク・ミューア、えーとわかりやすく例えると、スキャットマン・ジョンばりに早口でまくしたてる「いろは歌」には度肝抜かれた。これをカラオケで歌える人っているのかなぁ?

で、本作のハイライトといえば、やはり“十三夜”になるのではないか。出だしこそいきなり黒人ラッパーがライムでもまくしたてるのかという雰囲気だが、Coccoのあの恨み節が再び戻ってきた渾身の1曲に仕上がっている。
とにかく雨乞いのような歌詞が強烈である。ラストの「てぃーち たーち みーち・・・・」の囁きなんて、“カウントダウン”の再来かと思た。彼女はやはりいまだに煩悶を抱え、何かと闘っているのだ。
Coccoの吐き出すウチナーグチは、まるで呪詛のような始原的な神秘性を内包しており、ヘタなブラックメタルバンドのサビの呪文なんかより凄味があって(なんせこっちはホンモノだからな)、言霊となってズシリと脳内に響いてくる。彼女はやはりユタの素養を持っているのかもしれない。
一方、ストリングスをフンダンに取り入れた“カラハーイ”では、沖縄の大地を包み込むような、Coccoのなんともしなやかで伸びやかなウチナーグチ節が爽快でたまらない。
う~ん、Coccoの凄まじいまでの琉球魂を確かに感じた。感じてしまった。

あと、小島麻由美の御株を奪いかねないメランコリックなワルツナンバー“Light Up”、エーデルワイス風のマーチソング“クロッカス”、おそらくライブ中の野放しタイムの時にバンドで作ったのであろうモンゴル800風の“あたらしいうた”など、いずれも秀逸曲で、音楽家Coccoとしての振り幅の広さと技倆を十二分に見せつけられた感じだ。
そして、彼女の詩的センスの相も変わらぬ秀逸さ。文学的であり、芸術的であり、民間伝承的であり、それでいてあまりにも洗練されている。
ピュアで感受性が強いからこそ愛憎もつれあう、生々しく痛烈かつ美しすぎる表現力。言葉遊びも利いていて実に巧みである。

いや~こんな傑作を自分で作ってしまうとは・・・・・・
Coccoにかなうシンガーソングライターって、もう日本にはいねぇんじゃねぇかと。



今日の1曲:『十三夜』/ Cocco
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インリンどん

2013年03月07日 | まったり邦楽
パッケージのかわゆさに思わずポチってしまった、Perfumeの最新シングル『未来のミュージアム』。
んー、私はいつからこんな浅はかなコレクターになり下がってしまったのか!?ん、前からか・・・・

今回のは、今週末ロードショーのドラえもん映画『のび太のひみつの道具博物館』のテーマソング。
Perfumeの持つ健全かつポップなテクノ感と、藤子・F・不二雄マンガの未来的ファンタジー世界がほどよく融合した、お子様も安心して聴ける当たり障りのないポップソングに仕上がっている。
テクノ的にはかなりモノ足りないが、ま、子供向け映画の営業ソングなんだからこんなもんだろう。
一方、カップリング曲“だいじょばない”は、表題曲とは対照的に、ヤスタカ氏のサンプリング技が爆発した“セラミックガール”あたりを彷彿とさせる無機質なテクノナンバー。

初回限定盤は、コミック本仕様となっており、藤子・F・不二雄タッチにマンガ化されたPerfumeがヒト型ロボットとして登場する、ドラえもん風冒険ストーリーが展開している。あくまでドラえもん風であり、内容は面白くもクソもなく、のび太もどきのかぶり物キャラクターもかなりイケてない。せめてイラストは藤子・F・不二雄先生が描いて、『のび太の海底鬼岩城』ばりのドキドキワクワク大長編だったらなぁ・・・って、それじゃCDケースが分厚くなってしゃーないか。
“Per・f・ume”という表記はなんのこっちゃい?と思っていたが、“藤子・F・不二雄”の表記を模したものらしい。こういったところの芸は細かい。



特典DVDには、コミックと同内容のコマ式アニメーションで展開するPVが収録されており、メンバーたちがマンガ世界を駆け巡るファンタジックな内容となっている。
“Spring of Life”のPVで使用された研究室シーンや、モンスターを撃退するシーンでは、かしゆかが“Spending all my time”のPVで行っていた同じサイコキネシス技を繰り出すなど、ファンなら思わずほくそ笑んでしまうギミックが所々で確認できる。




とまぁ、こういったマンガ風ジャケットや、付録つきの遊び心のいき届いたアイテムは、このデータ化されてゆく世の中において、私のようなコレクターにとっては、購買意欲を大いにそそられ、この荒んだ物欲心を十分に満たしてくれる。
もちろんこういったものは、自分の好きなアーティストに限定されるが。

コミックジャケットの傑作といえば、やはりBIG BROTHER & THE HOLDING COMPANYの『CHEAP THRILLS』。
このジャケットアートを手掛けたのは、アメリカの破廉恥アングラ作家ロバート・クラム氏。
1コマ1コマにメンバー紹介や、曲タイトルにちなんだイラストが描かれていて、見ていて楽しいことこの上ない。



あと、ジャーマンスラッシュメタルバンドHOLY MOSESのSFコンセプトアルバム『THE NEW MACHINE OF LIECHTENSTEN』には、バンドメンバーたちが登場するミニチュアコミック冊子が付録で付いていた。2000円という廉価な紙ジャケリマスター盤にして、にくい心意気である。



んで、アーティストがマンガの中に入ってしまうというPVの先駆けといえばコレ!
このPVは今見てもよくデキた傑作映像ですわなぁ。


今日の1曲:『Take On Me』/ a-ha
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君から離れられない

2012年12月29日 | まったり邦楽
先日購入したツェッペリンの『祭典の日』は、もう3周くらい鑑賞したろうか。
本作を観るにつけ、ツェッペリンが今年私がライブ観戦した大御所プログレバンドたちの比ではなく、世界最大級のライブバンドであることをヒシヒシと痛感させられる。

よく考えたら、私は今までツェッペリンのライブ関連作品には、あまり触れてこなかった気がする。ライブ盤もあんま聴かないし、『狂熱のライヴ』も『LED ZEPPELIN DVD』も実は持ってない。
だから、ツェッペリンのライブ映像をマトモにみたのは、今回が初めてかも。
でも、ツェッペリンライブの疑似体験的なことは、学生時代に2度ほど経験していたりする。
そう、CINNAMONというバンドのライブにおいて。

CINNAMONは、日本のツェッペリン完コピバンド。私はツェッペリンの魅力のほとんどを、彼らから学んだといってもいいかもしれない。

一番最初に観たのは、1994年。京都MUSE HALLでだった。
実はこのとき人生初の逆ナンにも遭ったことを記憶している。入り口でチケット買おうと思ったら、女の子が突然「あの、サイフ忘れたんでチケット代貸してくれませんか?」と話しかけてきて、かなり困惑した。なんとか断ろうとやりとりしてるうちに「もう、ライブやめて飲みにいきませんか?」と、わけのわからん展開になって「いや、中に友だち待たせてるんで」と、なんとか振り切ることができた。
実際ツレと中で待ちあわせていたので、誘いにはのっかれるわけもなかったのだが、当時女っ気がなかった私のことだから、ひとりだったらどうなっていたかわからない。

しかし、その日のライブは、その不埒な誘惑を振り切ってよかったと思えるほどの凄まじいものだった。
メンバーは容姿からして40手前くらいだったように思うが、とにかくその演奏力と再現力たるや、凄まじいものがあった。
ヴォーカルのジャパメタ風のハイトーンは微妙だったが、ギターの人は本人以上にジミー・ペイジしていたように思う。弓を駆使してのボウイング奏法はもちろん、“胸いっぱいの愛を”でのトリッキーなテルミン奏法は私にとって衝撃だった!こんなの見たことなかったから。
ベースは志村けん似の小柄なおじさんで、“貴方を愛しつづけて”でのキーボードを奏でながらのペダルベースってのをこの人の演奏で初めて知って、その見事な楽曲の再現ぶりには舌を巻いた。
ボンゾのドラムセットをほぼ忠実に組み立てたキットにドッカリと座ってる大柄のドラマーさんは、ひとりで司会進行を担当してて、とにかくよーしゃべらはる人だったが、ツェッペリンに対する造詣の深さとマニア振りはハンパなかった。
「今演奏した“移民の歌”は、何年何月何日の何々公演の時のジミー・ペイジがテンポをずっと間違えて弾いてたヴァージョンです。」とか、とにかく芸が細かい。
聞くところによると、どっかの薬局のぼんぼんらしく、まぁこのCINNAMONのバンド活動はほとんど娯楽感覚でやってはったのだと思われる。

アルバムも3枚ほどリリースされており、私は『CINNAMON Ⅲ』というのを1枚持っているのだが、ツェッペリンナンバーを58曲短縮メドレー式に延々演奏しているというもの。
間奏とか、いろいろなライブヴァージョンを再現したものが多く、“天国への階段”なんて4パターンくらいでてくる。本作を聴いていると、ツェッペリンのライブにおけるアレンジセンスの凄さやソロワークのメロディの良さに改めて気づかされたりする。
とにかく遊び心がきいていて、なかなかどうして退屈しない作風となっている。

さてはて、今後CINNAMONの「祭典の日」はやってくるか?



今日の1曲:『IN THE EVENING』/ CINNAMON
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ぱみゅぱみゅ

2012年11月01日 | まったり邦楽
あんあん・あ・あ・あん、 ぱびゅぱびゅ!!

はじめ、バイトマガジンのCMでこのきゃりーぱみゅぱみゅを目撃した時は、「またケッタイなんが登場したけど、なんでもこれが世界から注目を集めてるんだって?そっかー、ほっとこほっとこ」てな感じだった。
ところが深夜の音楽番組でたまたま見かけたPVの曲を聴いて「この感じは好きかもな」と思ったら、プロデューサーが中田ヤスタカ氏でなるほどなと。
店で見かけたCDの帯やポップ書きにも「中田ヤスタカプロデュース!」という文字だけがフューチャーされてて、やはりヤスタカブランドの本国における信頼度は絶大なのかと。

で、先日きゃりーの初フルレンスアルバム『ぱみゅぱみゅレボリューション』をレンタル。
Perfumeでは、エレクトロサウンドと同化させることによってアーティストの個性を抑え気味にしたのに対し、今回中田氏はきゃりーのガーリーなキャラを全面に引き出したかのような曲作りに徹している。
アーティスト名もそうだけど、楽曲もだいたい擬音語で成り立っており、ほんわかパッパーな歌が多く、歌詞も単純明快で楽しければOKみたいなノリで、それがまたきゃりーのキャラと見事合致している。
#4“みんなのうた”とか、ほんまにNHKの教育TVかポンキッキ用に作られたような楽曲で、オーディエンスをなめてるのかと思ったが、きゃりーのファニーなヴォーカリゼーションの実に心地よい響きがクセになってくる。CMで聴いた時はこれはないなと思ってた#5“きゃりーANAN ”も、全体像はヤスタカ節全開の凝りまくったブレキングナンバー。ただ、歌はただのバイトマガジンの営業ソング。
こういった深い意味のない音の響き、フレーズの気持ちよさが、言葉の通じない外人にもウケが良くワールドワイドな人気を博しているんだと思う。
まぁ、音楽とは元来そういうもんじゃないだろうか。

きゃりーぱみゅぱみゅ個人に関しては、媚び売りでもなく、ケツや胸を強調するでもなく、本人や作り手が“Kawaii”だけを突き詰めた結果、このようなポップモンスターが作り出されたって感じであろうか。テレビで見かけた限りでは装飾を除いてそんなに自己主張も激しくなく、けっこう常識人な印象を受けた。
彼女の歌の技量に関しては、“Drinker”など、わりとオーソドックスな楽曲でもソツなく歌いこなせる素養も持ち合わせてるようで余計な感情表現もなく、淡々とした歌の天然質な響きから自然と醸し出されるこのガーリーな雰囲気は、小島麻由美などにも通じるところがあり、私は昔からこういった女の子女の子したアーティストを好む性癖があって、やっぱヤバい人間なのかもしれない。

たしかネオ・ジオン軍にこんなヤツいなかった?


アルバム全体としては、オモチャ箱をひっくり返したような粒揃いの良質なポップチューンが矢継ぎ早に展開されて、7曲目までの流れはほんとうに秀逸である。
ただ、それ以降は徐々にネタ切れ感が濃厚になっていき、このほんわかポップなノリに食傷気味になってくる感は否めない。
#9“スキすぎてキレそう”はPerfumeのボツ曲っぽいし、ラストの“ちゃんちゃかちゃん”などは、クイーンの“MORE OF THAT JAZZ”と同じ走馬灯的手法を採用するといった工夫が施されてはいるが、人によってはおちょくられているようにしか聴こえないだろう。

ぱびゅぱびゅ!!



今日の1曲:『CANDY CANDY』/ きゃりーぱみゅぱみゅ
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暴走アイドル

2012年10月27日 | まったり邦楽
ブックオフの500円コーナーで見っけっちゃったのですかさず購入しちまった。
山瀬まみ89年作のアルバム『親指姫』。

いやいや、最近Perfumeとかきゃりぱみゅとかにハマってるらしいからさもありなんと思いたいが、いくらアイドルブームとはいえ、こんな20年前のイロモンめいた作品に手を出すとは、アンタいくらなんでも血迷い過ぎやろ!と、愛想つかされるかも分かりません。
でも、以下の釈明を聞いてもらえば、多分納得していただけるかと。

この作品、なんと全ての編曲を横関敦と三柴江戸蔵が担当しておるのです。
そして!2曲のみだが、DOOMの諸田コウ氏がフレットレスベースで参加しておるのですよ!
この面子を聞いて買うなという方が無理と違いますやろか?
作曲には奥田民生、矢野顕子、デーモン小暮など、贅沢すぎる著名なアーティスト陣が名を連ねている。
ラスト曲“恋人よ逃げよう 世界はこわれたおもちゃだから!”は、タイトル見ても分かるとおり筋肉少女帯の面々がプロデュースしている。

とにかく、アイドルくずれ歌手のパッパラパーソングに、不必要なほどの演奏力が投入されている。
横関敦のジェットフィンガーは全編に渡って炸裂しているし、随所で三柴江戸蔵の超絶ピアノも聴くことができる。
#6“I WANT YOU”、#8“YAMASEの気持ち”では、諸田コウ氏のあの歪んだブッ太いフレットレスが加わって、当時日本でトップクラスの御三方の極上プログレハードな演奏が堪能できる。
(この御三方は、1年後横関敦のソロアルバムで再集結している。)



まぁあの鼻づまりぎみのしゃべり方からなんとなく想像はできたけど、歌はなかなかのヒドさである。いや、モーレツというべきか。
山瀬自身が作詞した“芸能人様のお悩み”の歌詞内容にも顕れているが、彼女の当時のアイドルとしての迷走感、ヤケクソ感が、このパンキッシュなヴォーカリゼーションに込めてビチグソのごとくブチまけられている。
とにかくこのカイ・ハンセンばりの暴走感は、せっかくの演奏力を無にしてしまうほどの破壊力だ。

でも、エディのアヴァンギャルドなピアノ伴奏がフューチャーされた#5“ヒント”でのヴォーカルの感じなんかは戸川純を彷彿とさせるものがあり、この路線でいけばかなりディープな世界を追求できたんじゃないかと。
ラストの筋少ソングなんかも、オーケン以上にこの歌の世界観をうまく表現できているかと思われる。

まぁ演奏陣が凄いからといって、真面目なハードロックファンが無理して聴くシロモノでもないかな。



今日の1曲:『恋人よ逃げよう 世界はこわれたおもちゃだから!』/ 山瀬まみ
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ひとりでできた。

2012年10月17日 | まったり邦楽
昨年制作されたsalyu × salyuのアルバム『s(o)un(d)beams』での仕事ぶりにいたく感銘を受け、小山田圭吾氏個人の作品も聴こやないかと、中古屋でコーネリアスの最高傑作と誉れ高い2001年作の『POINT』を入手。

リリース当時から折り紙つきの評判を得ていた話題作で、まぁその時はこの作品に全然気が回らなかったんだが、やはりなんとなく想像してた通りの構築しつくされたアンビエントなエレクトロサウンドが詰め込まれていた。
小山田氏が自身で奏でた楽器音をエフェクト加工し、丁寧につないでいくという、いわゆるひとり録音モノで、スピーカーから溢れ出すこの尋常じゃないほどの立体的音像は驚異的というほかない。
水のほとばしり音、鳥のさえずりループなど、どれもとてつもないヒーリング効果があって、聴覚を強く刺激し脳内に響いてくる。
“I Hate Hate”では、スレイヤーばりのディストーションリフが展開したりと、やはりメタル(あるいはハードコア)を通過した人なのであろうという小山田氏のちょっとしたルーツを窺い知ることもできる。

ただ、salyu × salyu同様にこの作品にハマったのかというと、そういうワケでもなくて、ヴォーカルを含め小山田氏固有のこのさわやかポップ感はちょっと自分の趣味ではない。
あまりにも個人的でアッサリしすぎてるというか、もうちょっと多方面からの要素をかりてカラフルな作風に仕上げてくれた方がよかったかも。

エフェクトが掛かりすぎていて小山田氏本人が歌っているのかどうかはよく知らないが、結局本作で一番シックリきたのは、ボサノヴァ曲“Aquarela do Brasil”のカヴァー。




今日の1曲:『Brazil』/ Cornelius
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世界で一番冒涜的な

2012年09月12日 | まったり邦楽
私はとうとう、Perfumeの映像作品にまで手を出してしまった・・・・

Perfume史上最大規模で初のアリーナツアーとなった『Perfume 3rd Tour「JPN」』から、今年の4月1日、彼女たちの地元である広島グリーンアリーナでの凱旋ライブの模様が収録されたDVDである。
Amazonで安価だったというのもあるが、なによりもこの冒涜的な角度を持つ三角体の集積物の浮遊するジャケットに心騒がせられるものがあり、なにか得体の知れぬ緒力によって突き動かされるがままポチってしまったのだ。

過去にファーストライブDVD『GAME』を鑑賞し、(まだ良質の楽曲も少なかったこともあり)「やっぱ所詮はアイドルのお遊戯レベルのキャピキャピライブやな」と、全く感銘できず、今年大阪城ホールで実際Perfumeのライブを目の当たりにしてもあまり集中することができなかったことから、彼女たちのライブに対しかなり懐疑的であった私であるが、ダンサンブルなエレクトロサウンドと、トリッキーで正確無比なる三人娘のダンスパフォーマンス、そして彼女たちの思惟によって連動するサイコミュシステムであるかのような舞台装置を、的確なカメラワークと編集によって構成された映像を通して、様々な角度から(いや、スケベな目線ではなく)改めて鑑賞してみると、チームPerfumeの緻密に計算しつくされたこの音と光の見事なスペクタルショーに、驚異的なものを感じないではいられず、「Perfumeの音楽は、ライブで演奏されて初めて完成する」という格言もあながちデタラメではないなと思えるようになった。
やはり、彼女達はアイドルという領域を遥かに超越した存在であり、オーディエンスに媚を売ることよりも、この壮大なるショープログラムを完璧に演じきることへのハイレベルなプロ意識というものを固持しているように思われた。

腑に落ちないところといえば、今時テクノライブのDVDで、5.1chにもドルビーサラウンドにもしないという日本音楽業界の体たらくぶりくらいか。


オオオ・・・上空より角度ある光る螺旋状の物体が三本同時に降下してくる!
もう、間もなくだ。間もなくこのステージに彼方からのエレクトロ三人娘が降臨し、我々を想像も及ばぬ角度ある朦朧とした領域へと導いてくださるのだ・・・イアイア。




オーディエンスのこころをシュワリと突き刺す虹色の羅舞ビームが一斉に放たれた!
地球上で知られるどんなリズムとも異なる狂おしいエレクトロサウンドをバックに、この光を目にした者は、麻薬常習患者のように恍惚と破滅の彼方へといざなわれるという。




私は彼女たちの頭上に浮遊するこの三角体を目にし、角度ある領域から顕れるという“ティンダロスの猟犬”のことを思い浮かべると同時に、先月、米子の皆生温泉旅館の縁側にて私が一心不乱に興じていた、木製パズル“The T”のことをも思い出していた。




そして城ホールのライブで、私が最も興奮させられた“JPNスペシャル”と名づけられた(もうちょっとマシなタイトルなかったんかい)中田ヤスタカ氏によるインストナンバーでの目くるめく三角体イルージョンはやはり圧巻であり、映像でもそのスピード感と突き上げるようなブっ太い四つ打ちビートの凄まじさがビンビン伝わってくる。
これだ!・・・・現地でのあの言いしれぬ興奮が再びフツフツと蘇ってくる!
この驚異ともいうべき映像を見るために、私はこのDVDを購入したといってもいいかもしれない。
とにかく、この時のパフォーマンスは映像作品として、もっと多くの人に配信されるべきであるかと。


巨大なピラミッド型のスクリーン連続体の彼方より出でし崇高なるも不自然なガールズ。



最高の神聖なる甘酸が律を編むのだ!
動のみならず静までも!

最高なる三竦みが支えてこそなせる技
その三竦みとは・・・・

ノッチデンス、ウシュムガル・アーチャン、カシュ=カ

おお、偉大なる三竦みよ 最初にして最後なるものよ
全能なりし 最も活気溢れる連続体よ・・・


「ラン・ラン・ラン・・・・・」という幻惑的な響きと共にはじまる“シークレットシークレット”の、漆黒の地下世界から浮上する彼女たちの非人間的な動きのロボットダンスパフォーマンスは恐ろしくも神秘的であり、その緊張感たるや凄まじいものがある。



ただ、そのイントロの後突如“不自然なガール”に切り替わり、肩透かしを食らわせられるという、信じ難い冒涜的展開に!そこからは怒涛のPerfumeナンバーメドレーへと一気になだれ込む。
なんという狂気!なんというカオス!
願わくば、この気を狂わさんばかりの悪意あるねじくれた展開を目撃した小心な女子たちが、ショックのあまり“心不全なガール”と成り果てたまわらんことを・・・・・


ただ、私がどうしても受け入れ難いのが「P.T.A.」のコーナーで、娘三人が強要してくる背徳的な振り付けと、呪詛めいた掛け声にはどうしても抵抗を感じ、不快感を禁じえなかった。

「ソト・ウチ、ソト・ソト、ウチ・ウチ、ヨグ・ソト、ヨグ・ヨグ、ヨグ・ソト・・・ヨグ=ソトホース!!」

その時、わたしはその連祷の意味を悟ったのだった。
戸口だ。アルハザードが円柱都市イレムで開けた最初の門。
時空間の最下のさらに彼方、核の混沌のただなかにおいて、原初の粘液として永遠に泡立っている、有害きわまりないヨグ=ソトホースが潜む彼方へと我々をいざなう連祷だったのだ!


角度!角度!




今日の1曲;『My Color』/ Perfume
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青春レゲエ

2012年05月17日 | まったり邦楽
と、まぁシンプルなタイトルのこのアルバムは、Little TempoのTicoと、元Determinationsのicchieがタッグを組み制作された、なんか聞いたことあるようなタイトル通り、彼らが青春時代に流行っていたのであろう80年代の名歌謡曲をシットリとレゲエ風にアレンジしたカヴァー曲集。
女性ヴォーカルで統一されており、エゴ・ラッピンの中納良恵やTICAの武田カオリなどが参加しているほか、ゲストプレイヤーにはギターで元Dry & HeavyのThe K、TICAの石井マサユキ、キーボードにicchieの嫁のYOSSY、そして仕上げに内田直之氏がダビィにミックスを手掛けるという、その筋のミュージシャンがズラリ勢揃いしている。
オマケにジャケットをイラストレイター兼ジャズシンガーの水森亜土に描かせるという贅沢な作り込みよう。

まぁこれだけの著名ミュージシャンが参加しているので、その辺のしょーもないレゲエカヴァー集なんかよりは耳障りもよく、クオリティの高いアレンジ作に仕上がっている。
ただ、なんか無難というか、各曲のカラーが弱いというか、聴き応えに乏しい。

たぶん、楽曲の題材があまりにもベタすぎてつまらないというのがあると思う。
本作では荒井由美作曲のナンバーが多く、確かに私も幼少の頃に耳にした覚えのある曲ばかりで、誰の耳にもスッと入ってくる印象深い歌メロは、ヒットメイカーというかメロディメイカーという側面で非常に優れているのであろう。特にこの時代のは独特の憂いがこもっていて深みがある。テイノウなラップとかも入ってこないし。
でもそれは逆に実力のないアイドル歌手が歌ってもそこそこいい感じに聴こえるという、大衆向けソングということだ。それがいわゆる歌謡曲なんだろう。
私の場合、幼少時代から青春時代(80年~90年代)にかけて、歌謡曲というものにほとんど興味を示したためしのない人間なもんだから、思い入れもクソもなくピンとこないのも当然というわけである。

本作の中で注目に値するのは、やはり今やCMソングの女王といっても過言ではない武田カオリさんの歌うナンバーが一番シットリ感も際立っており、やはり彼女のカヴァーセンスと透明感のある歌声には感銘を受けずにはおれない。
ただ、カオリさんにはこのような無難な歌謡曲は歌って欲しくないなというのが、いちファンとしての心情である。

まぁ今どきのJポップとかではモノ足りない、30代前半くらいのオシャレなOLとドライブデートする時に流すBGMとしてはうってつけかと。



今日の1曲:『セカンド・ラブ』/ Tico & icchie feet.武田カオリ
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浴室

2012年03月17日 | まったり邦楽
なんでか知らんが椎名林檎が夢に出てきた。おそらく初登場。
東京事変が解散するっていうことに対しての、世間のわけのわからん過剰な反応のせいだろうか?
しかし自分は東京事変の音源なんてひとつも持っとらんし、解散のニュースを聞いても「なんかワザとらしいな」って思ったくらい。


夢の中ではなんかのフェスティバルを観戦していて、シンガポール在住のツレ夫婦も横にいたりなんかした(まぁ実はこの二人を通じて椎名林檎の音楽に触れたという経緯があったりする)。
そのフェスティバルは室内だったんだが、なんかセットチェンジにやたら時間がかかっていて、けっこう中弛みを覚えてるところに林檎が登場。
しかし、観客がシラけてしまっていて一斉に去って行き、こともあろうにファンだったツレ夫婦まで席を立って行ってしまうではないか!
私はというと、「観んと損やんけ!」という持ち前の損得勘定が働き、頑としてそこを動かなかった。
林檎は“アイデンティティ”かなんかを歌っていたと思う。




椎名林檎の2nd『勝訴ストリップ』は、林檎のドスのききすぎた歌唱を苦手としていた割には結構気に入ってよく聴いていたアルバム。

この作品を聴くキッカケとなったのは、100円ショップのBGMで突如流れてきた「浴室」を聴いてビビっときたときだった。
4つ打ちビートに、諸田コウばりにウネリまくる亀井誠治氏のフレットレスベースが聴き手を溺死させるかのような陶酔感を与え、そこにトリップ感タップリのノイズギター音にSE効果を絶妙な感覚で盛り込み、林檎の巻き舌ヴォーカルが乗っかることによって混沌としたとてつもないケミストリーを生みだしている。
亀井氏のベースワークに関しては、#10“サカナ”なんかも聴き応えバツグンである。



今日の1曲:『浴室』/ 椎名林檎 
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喫煙版

2012年02月28日 | まったり邦楽
ブログで同じアーティストの(それも異性の)記事ばっか連続投稿するのって、なんか気持ち悪がられてるような気がするんですよね。
「アンタ、あの娘のなんなのさぁ?」ってね。
で、今回もSalyuの新譜のレビューなんですがね。
だってしょーがないじゃないか~(えなり調で)今月いっぺんに2つもリリースしはるんやから。


再び小林武史主導のもとで制作されたSalyuの4thアルバム『photogenic』。
ま、salyu×salyuの直後ということもあり、一聴目のインパクトは極めて薄かった。こりゃ失敗作だな~とさえ思った。
確かにアルバム全体としては薄味であるし、RIOTの「Thundersteel」ばりのインパクトの強い楽曲もないという、キラーチューンイーターを軽く突き放す内容に仕上がってる。
しかし、何回か聴いているうちにふと気付くのである。
そう、どっかの胡散臭い歌手の歌でよく似たスレーズにもあるように、「なんでもないような曲が、ええ曲だったと思う」ということに。


春風のようなしなやかさがアルバム全体を包み込むといった優雅さに溢れており、実はいままでで一番まとまりのあるポップアルバムなのではないかと。
従来のSalyuの張り上げるような高音がだいぶと抑えられていて、シングル曲“青空”のサビのハイトーンなんかも今までで一番の耳当たりのよさである。

曲を提供したのはミスチルの桜井和寿氏。まさに桜井ナンバー。



軽やか4つ打ちビートの「パラレルナイト」の透き通るようなSalyuのハイトーンヴォイス、ブルース調の「ブレイクスルー」でのまったりとしたアダルト・オリエンテッドな歌唱を聴くにつけ、Salyuはまた一回り歌手として進化したような気がする。
「dramatic irony」調のハイテンポな「悲しみを超えていく色」も、Salyu史上に残る名曲と言って差し支えないだろう。
なによりも全部通して聴いても、全く疲労感が溜まらなくなったのが今回最大の収穫やね!


で、今回もまた特典DVD付なのであるが、2011.11.30に東京国際フォーラムでおこなわれた“minima”とかいう小林武史とSalyuの2人だけによるライブの模様がフルで収録されているという太っ腹内容。

今作の新曲を織り交ぜながらも、今までのシングル曲をピアノ伴奏やシーケンスのみをバックにSalyuが歌い上げるというもので、小林氏のナルシズミックな佇まいや、いやらしい笑い方に嫌悪感を覚える場面も多々見受けられるが、Salyuの突き抜けるような歌声がより全面に押し出され、楽曲の持つメロディの良さを改めて再確認できる。Salyuの歌唱も前作特典ライブDVDの時と比べて驚くほど安定感がある。
まぁ相変わらずMCはグダグダで、「いきなりタメ口かい!」ってツッコミたくなる場面もあるし、アンコール時にはかなり高音にバテが見えて、やっぱ全編通すと疲労感が溜まる。




今日の1曲:『camera』/ Salyu
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サリュージョン

2012年02月26日 | まったり邦楽
2011年のAMASHINレコード大賞の第1位に見事輝いたsalyu×salyuのアルバム『s(o)un(d)beams』であるが、あの多重録音のトリッキーなハーモニーと、立体的なエレクトロサウンドを生ライブでどう再現するのか、非常に興味深いところであった。
で、今月早くもリリースされたライブDVD『s(o)un(d)beams+』を購入、そして鑑賞。

本映像は2011.11.1によこすか芸術劇場にておこなわれたsalyu x salyuのワンマンライブの模様を、プロデューサー小山田圭吾氏の監修のもとパッケージ化したもの。
コーネリアス小山田氏(g.b)を始め、Bufallo Daughterの大野由美子(b.key)、そしてASA-CHANG(ds)など、この手の音楽のブレーン達が一度に大集結したバンド編成に、Salyu、そして同じマッシュルームカットで統一された3人娘から成る“salyu sisters”というコーラス隊で構成された、なんともゴージャスでエキセントリックな演奏会といったところだ。
このシスターズがまたタダモノではなく(全員音大出身者?)、時にハープを奏で、いろんな種類のパーカスを操り、ギターを掻き鳴らすといった小技を次々と繰り出す。Salyu自身も“続きを”ではピアニカを弾いたり、自分のスキャット、ヴォイスパーカスをその場で多重録音していくヴォイスリピーターみたいな機械をいじることを習得していたのには驚かされた。

とにかく、カンカンカンカンっと打ち鳴らされるメトロノームが一種の緊張感をもたらすという、この斬新すぎる出だしの段階で一気に映像に吸い込まれ、もうその次々と繰り出される目くるめくイリュージョンに終始魅せられっぱなしであった。
あの原盤での再現不能かと思われた緻密な音像を、アコースティッキーに再構築し、さらにスケールアップさせるこのマジックとも言うべきバンドアレンジには脱帽。
個人的にはキング・クリムゾンのライブDVD『Neal and Jack and Me』、あるいは、ポーティスヘッドのライブDVD『roseland new york』を鑑賞した時ぐらいの衝撃だった。

この映像を見て、ビョークのVespertineツアー時のライブDVD『Live at Royal Opera House』を思い浮かべる方は多いだろう。しかし、あまりにも寒冷として、白と黒しかないようなやや肩のこる厳粛過ぎるビョークの映像より、Salyuの多少粗がありながらも色彩豊かで、時折緩やかなポップ感を見せる温かみのある本映像の方が遥かにいい塩梅なのである。
なによりも、Salyu本人がいつものソロライブよりも伸びやかで、とても気持ち良さそうにライブを楽しんでらっしゃる姿が微笑ましい。

息もつかせぬ緻密な構成美と、和やかムードなパフォーマンスに彩られた無駄のない完成度の高過ぎる音像。
Salyuファンに限らず、音楽ファンなら一見の価値ありの驚異的な映像作品といってしまおう。



今日の1曲:『ただのともだち』/ salyu×salyu
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ヘィヤヘェ~ロトヒィ~イヤっ

2012年01月16日 | まったり邦楽
ひき続き、2011年アルバムベスト5の第5位決定戦第2弾。
今回ノミネートされたのは、TICAのヴォーカリスト武田カオリさんのソロ作品『Magalog』でございます。
ちなみに副題は『-kaori takeda CM song book-』。

いや、昨年テレビ見ててホンダLIFEのCMで山口百恵の“ロックンロール・ウィドウ”のカヴァー曲が流れ、画面下に武田カオリさんの名前がクレジットされてたのを見てギョっとなってなんや妙な気分にさせられたのだが、実はカオリさん、ここ数年かなりのCMソングを手掛けてらっしゃって、その集大成が今回のソロ作品となったというわけなんですな。

たとえば、これなんかも彼女が歌ってたって、ひえええ~~~って感じ。


あのヱビスビールの“第三の男”シリーズにもカオリさんヴァージョンがあったなんて、このアルバム聴いて知りましたわ。
まぁ「ふんわりなのにしっかり~ しっかりなのにさらさら~♪」みたいな露骨に商品の説明を歌っている小曲なんかもあるんだけど、英詩の歌なんかも多く収録されていてこれらは普通にポップソングとして十分楽しむことができる。
にしても、TICAでのダブサウンドにのせてシットリと歌う透明感溢れるカオリさんの歌しか聴いたことなかったもんだから、これほどまでにいろいろな表情を見せるカオリさんの底知れぬ歌唱技倆の豊富さに度肝抜かれた感じだ。
活動が地味ながら、やっぱカオリさんの声には業界がほっとけないなにかしらの魅力があるんだろうな。
サッポロのCMでよく使用されてるバート・バカラックの“雨にぬれても”は、カオリさん特有のあのシットリ感が顕れていてかなりよかった。

この作品はいわゆる企画モンの部類に入ってしまうんだろうけど、企画モンといってしまうにはクオリティーはすこぶる高いし、まぁ誰もが一度は聴いたことのあるなじみ深い楽曲が数多く収録されているので、TICAの作品よりかは世間一般ウケがいいかもしれない。

ただこのアルバムが昨年のベスト5に入るかというと・・・・・う~ん。
あんま悩んでたらそのうち動脈硬化性疾患発症して死ぬんとちゃうか俺。
ロトヒィ~イヤっと。



今日の1曲:『Pleces of My Heart』(Panasonic エコナビCMソング)/ 武田カオリ
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ジャパーン

2011年12月06日 | まったり邦楽
限定盤はピンクケースを外すと、JPNのくり抜きから覗いている、
かしゆか・のっち・あ~ちゃんのキュートな顔が現れる。

DOOMやゆらゆら帝国など、語り継がれる偉大なアーティストにはスリーピースが多い。
しかし、今の日本の音楽シーンにはもはやそういったアーティストたちは存在しなくなってしまった。人間椅子がかろうじて残ってはいるが、彼らもすでに飽和状態にあり、これ以上の音楽的向上は望めない。
よって、この先はもうテクノポップユニットPerfumeに日本音楽シーンの未来を託すしかないのではないだろうか。
そう、彼女たちもスリーピース。




日本人向けに改良された国家戦略的K-POPや、もはや露骨に風俗化してしまっている大人数のコスプレアイドルは、同じようなんが節操もなくアホみたいに湧いてくるが、テクノアイドルという新境地を開拓し、各方面のファン層からここまで支持を受けてる清潔感を持ったアイドルグループはPerfumeぐらいのもので、しかもこの手のジャンルで他の追随を全く許してないというのはやはりスゴイというほかない。


さて、前作からなんと2年4ヵ月振りとなる、ほぼシングル曲の寄せ集め的な構成のPerfumeの最新作『JPN』。
プロデュースはもちろん新進気鋭のサウンドクリエーター中田ヤスタカ氏。
Amazonで通常盤より安い値段で売っていたので、今回思わずの初回限定盤で初めて彼女たちの作品を購入してしまった。
上の写真の構図は、人生で初めてアイドルの作品をこの歳で購入してしまったことへの照れと受け取ってもらえばと。


前作『⊿』のようにアルバム全体の流れが実にスマートに構築化されてるとか、「edge」のようなマジメなEDMファンをも唸らせるクールな楽曲はほとんどなく、サビのわかりやすさ、ポップ性に重点を置いたようだ。
で、これまでのシングル曲やカップリングをパンパンに詰め込んだがゆえ、楽曲の良し悪し抜きにややバランスを欠いた全体的に散漫とした仕上がりになってしまったかなと。

ダフト・パンクっぽいしんみりとした序曲は必要性があまり感じられなかったが、のっけからハイテンションなハジけるエレクトロループが心地よいM2「レーザービーム」(キリンチューハイ氷結のCMソング)でドーパミンが噴きまくる。




前半シングル曲群は、ハッキリした歌が多すぎてちょっとうるさすぎるきらいがあるが、彼女らの生歌を個別にフィーチャーしたアコースティッキーなM6「時の針」は注目に値するかと。

5・7・5という古典的な形式にこだわった(といっても途中でラップが入る)タイトルそのままなM9「575」のエレクトロなシットリ感もグー。
575の歌詞と言やぁ人間椅子の「平成朝ぼらけ」が思い起こされるが、あの曲の場合、枕詞まで徹底しているかなり凝った楽曲だったなぁ~、和嶋氏は本当に天才!って、今はそれ関係ないか。




後半はcapsuleからのお下がり的な曲もあるが、シングル曲含めテクノ的に楽しめるエレクトロナンバーが目白押しで、クオリティも高く電子音嗜好癖のある私のツボを見事についてくる。
歌詞にメールがどうのとかいう、女子高生レベルの陳腐なフレーズが頻繁にでてくるのがどうもやすっぽくてアホくさいが、それさえガマンすれば全体的にそこそこイケてるアルバムなんじゃないかな。


今日の1曲:『575』/ Perfume
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サリュ連続体

2011年09月14日 | まったり邦楽
経済的にマシになったので、やっとこさsalyuの新譜を購入。
いや、これはsalyu×salyuっつー彼女の別プロジェクト。
salyu自らがCORNELIUS=小山田圭吾に直談判して、実現した意欲的コラボ企画らしい。
で、約2年の共同作業の末、完成したのが本作『S(o)un(d)beams』。
もちろん従来のsalyu作品とは全く異なる内容に仕上がっている。

音を楽しむと書いて音楽。
本作はまさに、その言葉の意味を具現化したようなアルバム。
「この歌詞、私の心を代弁してるぅ~」みたいな音楽を歌でしかとらえられない勘違いリスナーには、実験的で抽象的な冒頭からして理解し難いシロモノかもしれないが、こういった曲構成や音色をユニークだな、心地よいなと思えればしめたものなんじゃないかと。

コーネリアスの音源は実は1つも聴いたことがないのだが、多様なヴァリエーションを持つsalyuの歌声を自由自在に合成加工し、アーティスティックに仕上げるこの小山田圭吾氏の繊細緻密なサウンドアレンジメントにはかなり目を見張るものがある。とにかく心地がよい。
一見前衛的エレクトロニカとも捉えられるが、salyuの歌の持つポップ性が柔軟に作用しているため、Bjork、Buffalo Daughterばりに抽象的な音楽というわけでもない。
salyuがエレガントに歌う“レインブーツで踊りましょう”や、ファンキーなベースラインの“Mirror Neurotic”など、実にバラエティーに富んだ楽曲群が全編にわたって配されているので、集中力がそれほどとぎれることはない。
ちなみに#10“Hostile To Me”はドイツのエレクトロニカ/インディーポップ Lali Punaのカヴァー。
作詞には、元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎、いとうせいこう、七尾旅人などの著名人らが携わっているのも興味深い。

しかしまぁ、この作品を聴くにつけ、salyuってやっぱBjorkを目指してはるんかなぁ~って改めて思った。



今日の1曲:『ただのともだち』/ salyu×salyu
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節電野郎

2011年08月06日 | まったり邦楽
みなさん節電とかしてますか?
私はそんなにやってません。

もともとケチな野郎ですんで何をどう節電していいのやら。
「エアコンをなるべく使わず扇風機を使いましょう」って、俺は生まれてこのかたエアコン付の部屋に住んだことないんだよー!首をフリフリ扇風機人生じゃ!
ま、節電どころか最近PCもテレビも部屋の電気もつけっぱなしで眠り込んじゃうことが多い。

これじゃいかんなーっと思って自分を戒めるため上のようなTシャツを買ってみた。
てゆーかネットで見つけて一目ぼれしてソニーミュージックショップで衝動買いしてしまったんやけど。

結構オシャレデザインのTシャツだから街中で着ても違和感ないかもしれんが、ちょっとシャレが利き過ぎてて旬だから指さされそうでなんだかちょっぴり恥ずかしい。
学生の頃カンニバル・コープスのゾンビTシャツやレッチリの精子Tシャツとか着て平気で校内を闊歩してた俺が今さら恥らうのもなんだが。

しかし電気グルーヴのセンス・オブ・ユーモアには毎回感心させられる。
一回ぐらいライブ行っとかないとね。


電気グルーヴベスト盤フライヤーが同梱されてることは書いてあったので知っていたが、節電気グルーヴキャンペーンステッカーに缶バッヂも付いててなんだかちょっぴり幸せな気分になった。




Denki Groove - [Live at FUJI ROCK FESTIVAL 2006]



今日の1曲:『富士山』/ 電気グルーヴ
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