スイスの画家、デザイナーのH・R・ギーガーさんが、先日自宅にて逝去された。
階段からの転落死とは、なんともあっけない・・・・享年74歳。
ギーガーといえば、世間一般的には映画『エイリアン』のクリーチャーデザインを手掛けたデザイナーとして知られているんだけど、私のような音楽好きメタラーにとってはやはり、セルティック・フロストやEL&Pのジャケットデザインを手掛けた画家としての方が馴染み深い。
私が最初に彼の画に出会ったのは中学生の時、中古レコード屋で見つけたCELTIC FROSTの『TO MEGA THERION』のアナログ盤だった。
当時下劣なものに恋い焦がれ、サタニックなものに傾倒していた私は、ギーガー描くこの冒瀆的なジャケに一目ぼれし、即レジに持っていったのを今でも覚えている。
アルバム内容も、ジャケットから醸し出される邪悪極まりない暗黒世界を見事に表した内容で、ジャケがややひび割れした劣化盤ではあったが、実にいい買い物をしたなと思った。
つっても、これはべつにギーガーがセルティックのアルバムのために画き下ろした絵ではなく、同じスイス出身であるフロントマンのトーマス・ガブリエル・ウォリアーがギーガーの家の近所に住んでいたらしく、アートワークをジャケットに使いたいと彼にデモテープを送ったところ、音源を気に入ってか、ギーガーから「どれでも好きなのをタダで使っていい」という快い返事が返ってきたという話は、セルティックファンの間では語り草となっている。
この絵の原題は『サタン Ⅰ』というらしいが、中央に描かれているキリストを棹にしたパチンコ(スリングショット)をかまえ、こちらを睨めつけるサタンの目があまりにもおぞましく(LPサイズだとなおさらだ)、今でも直視するのが怖い。
なお、セルティック脱退後、トム爺が新たに結成したTRIPTYKONのジャケ画にも再びギーガーのアートワークが起用され、その彼の暗黒画があしらわれた2nd『MELANA CHASMATA』は先月リリースされたばかりであり、トム爺とギーガーとの親密な交友関係は、つい最近まで続いていたことが窺い知れる。
トリプティコンは、セルティック・フロストのラストアルバム『NOMOTHEIST』で打ち出したズルズルと引きずるような陰鬱で暗澹たるドゥーム色の強い音楽性を引き継いだようなバンドで、ギーガーの描くウットリするような耽美的暗黒世界をまさに音で具現化したといってよい。
今回の『MELANA CHASMATA』も、その延長線上(女性コーラス多め)をいく良品である。
さて、プログレッシヴ・ロックに傾倒し始めた高校時代を経て、次に私がギーガーの画に遭遇したのは、浪人時代に近所のTSUTAYAの中古CDコーナーで見っけたエマーソン、レイク&パーマの作品『恐怖の頭脳改革』だった。
これはセルティックとはちがい、アーティスト側に依頼されてからギーガーが画き下ろしたものであることは、下部にELPのロゴマークがあしらわれていることからも察せられる。
私が当時購入したのは、旧規格盤のなんの仕掛けもないものであったが、近年紙ジャケリマスターで買い直したものはちゃんとLPジャケットを再現して観音開きになり、中からジャネット・ジャクソンみたいなドレッドな女性の顔が出没する仕組みとなっている。
CARCASSの『HEARTWORK』の造形デザインもギーガーが手掛けているのだが、発売当時は全く認識していなくて、最近もちょっと忘れていた。
『HEARTWORK』がギーガーのデザインであったと気づいたのは、学生時代に本屋の洋書コーナーで購入したTASCHENが刊行したギーガーの画集でだった。
その『HEARTWORK』の元と思われる造形の写真が掲載されていたからだ。
あと、私としてはギーガーとラヴクラフトやクトゥルー神話の関連性についても大いに気になるところである。
なにせ、『ネクロノミコン』なるギーガーの画集が2巻も敢行されているのだから!
このバフォメット神の表紙は、国書刊行会刊行の『定本ラヴクラフト全集』のカヴァーにも起用されている。
『エイリアン』の監督リドリー・スコットは、本書の中に描き出されたギーガーの驚異的な暗黒画をみて、「未曽有の宇宙生命体の完璧なプロトタイプ」を発見したのだという。
ということは、みんなの知っている映画『エイリアン』も、実はクトゥルー神話がベースとなっていると言えなくはないか!
スイスにあるというギーガー・バーにも、死ぬまでに訪れたい。
R.I.P. H.R.GIGER
今日の1曲:『Boleskine House』/ Triptykon
階段からの転落死とは、なんともあっけない・・・・享年74歳。
ギーガーといえば、世間一般的には映画『エイリアン』のクリーチャーデザインを手掛けたデザイナーとして知られているんだけど、私のような音楽好きメタラーにとってはやはり、セルティック・フロストやEL&Pのジャケットデザインを手掛けた画家としての方が馴染み深い。
私が最初に彼の画に出会ったのは中学生の時、中古レコード屋で見つけたCELTIC FROSTの『TO MEGA THERION』のアナログ盤だった。
当時下劣なものに恋い焦がれ、サタニックなものに傾倒していた私は、ギーガー描くこの冒瀆的なジャケに一目ぼれし、即レジに持っていったのを今でも覚えている。
アルバム内容も、ジャケットから醸し出される邪悪極まりない暗黒世界を見事に表した内容で、ジャケがややひび割れした劣化盤ではあったが、実にいい買い物をしたなと思った。
つっても、これはべつにギーガーがセルティックのアルバムのために画き下ろした絵ではなく、同じスイス出身であるフロントマンのトーマス・ガブリエル・ウォリアーがギーガーの家の近所に住んでいたらしく、アートワークをジャケットに使いたいと彼にデモテープを送ったところ、音源を気に入ってか、ギーガーから「どれでも好きなのをタダで使っていい」という快い返事が返ってきたという話は、セルティックファンの間では語り草となっている。
この絵の原題は『サタン Ⅰ』というらしいが、中央に描かれているキリストを棹にしたパチンコ(スリングショット)をかまえ、こちらを睨めつけるサタンの目があまりにもおぞましく(LPサイズだとなおさらだ)、今でも直視するのが怖い。
なお、セルティック脱退後、トム爺が新たに結成したTRIPTYKONのジャケ画にも再びギーガーのアートワークが起用され、その彼の暗黒画があしらわれた2nd『MELANA CHASMATA』は先月リリースされたばかりであり、トム爺とギーガーとの親密な交友関係は、つい最近まで続いていたことが窺い知れる。
トリプティコンは、セルティック・フロストのラストアルバム『NOMOTHEIST』で打ち出したズルズルと引きずるような陰鬱で暗澹たるドゥーム色の強い音楽性を引き継いだようなバンドで、ギーガーの描くウットリするような耽美的暗黒世界をまさに音で具現化したといってよい。
今回の『MELANA CHASMATA』も、その延長線上(女性コーラス多め)をいく良品である。
さて、プログレッシヴ・ロックに傾倒し始めた高校時代を経て、次に私がギーガーの画に遭遇したのは、浪人時代に近所のTSUTAYAの中古CDコーナーで見っけたエマーソン、レイク&パーマの作品『恐怖の頭脳改革』だった。
これはセルティックとはちがい、アーティスト側に依頼されてからギーガーが画き下ろしたものであることは、下部にELPのロゴマークがあしらわれていることからも察せられる。
私が当時購入したのは、旧規格盤のなんの仕掛けもないものであったが、近年紙ジャケリマスターで買い直したものはちゃんとLPジャケットを再現して観音開きになり、中からジャネット・ジャクソンみたいなドレッドな女性の顔が出没する仕組みとなっている。
CARCASSの『HEARTWORK』の造形デザインもギーガーが手掛けているのだが、発売当時は全く認識していなくて、最近もちょっと忘れていた。
『HEARTWORK』がギーガーのデザインであったと気づいたのは、学生時代に本屋の洋書コーナーで購入したTASCHENが刊行したギーガーの画集でだった。
その『HEARTWORK』の元と思われる造形の写真が掲載されていたからだ。
あと、私としてはギーガーとラヴクラフトやクトゥルー神話の関連性についても大いに気になるところである。
なにせ、『ネクロノミコン』なるギーガーの画集が2巻も敢行されているのだから!
このバフォメット神の表紙は、国書刊行会刊行の『定本ラヴクラフト全集』のカヴァーにも起用されている。
『エイリアン』の監督リドリー・スコットは、本書の中に描き出されたギーガーの驚異的な暗黒画をみて、「未曽有の宇宙生命体の完璧なプロトタイプ」を発見したのだという。
ということは、みんなの知っている映画『エイリアン』も、実はクトゥルー神話がベースとなっていると言えなくはないか!
スイスにあるというギーガー・バーにも、死ぬまでに訪れたい。
R.I.P. H.R.GIGER
今日の1曲:『Boleskine House』/ Triptykon