家の 片隅に小さな私のギャラリーを作っています。
家の中を ウロウロするたびに 横目で眺めるギャラリーです。
次に 何を作るか元気をもらうギャラリーです。
敗戦を迎えたのは 小学校一年生の夏でした。
私だけ 遠く離れた父方の祖父母のところに 預けられ 山奥の小さな分校に通学していました。
敗戦を機に 迎えに来た父とずたずたに切れた鉄道を乗り継ぎ乗り継ぎ しながら母のもとに 帰ったのはしっかり覚えています。
貧乏暮らしの我が家に 長女の私が生まれても ひな段など買える状態ではなかったようです。
縫物の 残り布で時々人形らしきものを作ってくれていた母 それで遊んでいた私がいます。
お雛様など無縁の貧乏暮らしでも やっぱり女です。
おばさんになって きれいなお雛様を見るたびに 心のどこかで お雛様が欲しいと思っている私がいました。
とうとう デパートで焼き物の立ち雛を買いました。
色気のない我が家に 春だけは このお雛様が 優しい空気を 漂わせています。
今年も 出さねばと思いつつ 忙しさにかまけて 今日になってしまいました。
三月三日が過ぎても 急いでかたずけることありません。
私だけの お雛様です。