超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

トーキングヘッズのSF短歌

2023-07-12 05:04:04 | 自作短歌
※実験的にトーキング・ヘッズの楽曲の、SF的な歌詞を並べて短歌にしてみました。

隣人のやけに優しいあの女性僕に砂糖を差し入れる気か
生き延びて川辺に立って未来だけ見つめていたい君の手を取り
恋人が消えた市街の火事現場燃えているのはどこの番地だ

あの人が決してこの先私にその言葉だけ言わないと願う
この私生きる高圧電流だ怪我が嫌ならすぐに手を引け
快適なコンビニもあり勤めある街に居るから俺は放っとけ

地上ではみんな悩みを抱えるが手を携える暇は今ない
警報が朝鳴り響きどの人も混乱の中気を落ち着けろ
この街の小学校も工場も監視を止めて少し休もう

所持品はみな上げるからこの俺を川に運んで水に投げ込め
全員が肩を落としたくだらないパーティのような楽園を去る
思い出すあのパーティの情景は過ぎ行くままに日々に埋もれる

目が覚めてここが私のあの家か判らなくなり水かさが増す
振動に我を忘れて立ち尽くし夜のコンビニ見慣れない町
変わらない見慣れた町の風景が豹変をする家の全焼
一回か何十回か知らないが家を飛び出せ道は教える
君の眼でよく確かめろこの場所が君の探した別天地かを
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日記短歌・文机

2023-07-11 05:08:49 | 自作短歌
新宿か札幌かさえわからない雑踏に立ち帰れない夢
詩人から賢人になり天に添うそうはいかない人生行路
今生きるこの私とのかかわりで世界の意味が開かれていく

罪深き定めに生まれ若年で世を去るはずがまだ生きている
思想家は40冊の著書残し20冊もの遺稿書き果て
父親や婚約者との葛藤が彼に多くの本を書かせり

実存の思想の本を杖として後半生を満たされて生き
きんつばやバナナカステラ頬張って静かな町で著述生活
黄撫子思わす刻に恥じぬようこの一瞬を無心で過ごす

高々と床に積まれた日記には悲喜こもごもの過去の結晶
七夕に夏の銀河を見に出かけ何も見えずに涼風と去り
始動する機関車の旅繰り返し反復しては筆を進める
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日記短歌・栞花

2023-07-01 05:04:44 | 自作短歌
風呂上りいいアイディアを思いつき知的遺産を熱心に読む
人類の知的遺産の一冊で新たな道のスタートを切る
千円の清水書院の入門書これも取り寄せその線で行く

当面は取り組む案が湧いたので進めるうちに頁めくろう
今までは潤沢だった図書費さえ月三千円を家計から出す
今一度見切り発車で走り出し独自路線でここを抜け切る

数年は独自路線を引き伸ばし持ち札を切り全力を出す
何度でもまた賽の目に従って振り出しに立ち歩み続ける
止むを得ず離れた土地の風景を思い浮かべて日々を乗り切る

迷うとき日々の背後に揺れている声なき声を逃さずにきく
晴れやかな花の栞に恥じぬようでき得る限り今日を生き切る
無意識が忘れた札を押し上げて何をすべきかふと気づかせる
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日記短歌・詩の十景

2023-06-23 05:04:09 | 自作短歌
友人がぜひお勧めのピアノ集イレーヌ・ルッソのリスト消え失せ
CDをごそごそ探しているうちにサンドール弾くバルトークあり
CDは例えていえば埋蔵経必要なとき不意に出てくる

ブリオッシュ・ホイップパンを食べてみる甘さ控えめはみ出ないほど
2枚組エイナウディのピアノ曲今の詩情が日々を支える
EМIリストのピアノコレクション10枚組が部屋に広がる

近隣のペルシャ料理のサーガルヘ行くか行かぬか今思案中
初夏に咲き秋までも咲く白蝶草俳句の季語にならぬよき友
夏物のジャケット友と会うときに日照り止まればまた着るつもり

ラジオから気球に乗ってどこまでも合唱曲で10代の空
学校をさぼって読んだ俊太郎今は赤子の語彙で詩を書く

7Pの顆粒の深いコクがあるアイス珈琲入れて飲み干す
白蝶草見かけるたびに思うのは詩の降りて来る秋の中庭
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日記短歌・導火線

2023-06-20 05:06:02 | 自作短歌
ビートルにコアな部分を叩き込むリトル・リチャードその高揚感
次々に多様な形に変わり行く雲の動きを写し取れたら
あふれ出るその旋律が止まらないドヴォルザークの交響曲群
進軍の臨場感を描き出すショスタコーヴィチそこまでやるか

街角のアートフェスから始まったその純心が今を支える
中庭に舞う秋風の白蝶草詩が降りてきた稀有な瞬間
学童に家出を配る旅一座行く当てもない子が後を追う
今一度書き直せない座標軸それでもせめて歌ひとつ足す

赤すぎる果肉を開く柘榴の実目をそらすほど諦めはなく
夜汽車にて筆を走らす若き日の歌人の指は詩の導火線
情報を学習しては組み合わせ創作をするAIを撃つ

この町の道あちこちに咲き乱れ人を惑わす紫陽花の青
襟を立て線路を歩く旅人が原稿を書き世を震わせる
原色で集合写真や滝つぼや探偵団の霊を絵にする
思うまま心の声に従えば小節数が伸び縮みする



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