超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

日記短歌・導火線

2023-06-20 05:06:02 | 自作短歌
ビートルにコアな部分を叩き込むリトル・リチャードその高揚感
次々に多様な形に変わり行く雲の動きを写し取れたら
あふれ出るその旋律が止まらないドヴォルザークの交響曲群
進軍の臨場感を描き出すショスタコーヴィチそこまでやるか

街角のアートフェスから始まったその純心が今を支える
中庭に舞う秋風の白蝶草詩が降りてきた稀有な瞬間
学童に家出を配る旅一座行く当てもない子が後を追う
今一度書き直せない座標軸それでもせめて歌ひとつ足す

赤すぎる果肉を開く柘榴の実目をそらすほど諦めはなく
夜汽車にて筆を走らす若き日の歌人の指は詩の導火線
情報を学習しては組み合わせ創作をするAIを撃つ

この町の道あちこちに咲き乱れ人を惑わす紫陽花の青
襟を立て線路を歩く旅人が原稿を書き世を震わせる
原色で集合写真や滝つぼや探偵団の霊を絵にする
思うまま心の声に従えば小節数が伸び縮みする



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日記短歌・それとして

2023-06-16 05:09:36 | 自作短歌
キャラメルのクリーム入りのパン菓子のクイニーアマンうっとり食す
梅雨の朝くるみ割り人形バレエ観てイブの楽しい夢に釘づけ
梅雨寒に小説日蓮取り寄せて一切衆生成仏と読む
群衆のためによろける花火詠む三鬼は遠きイエス思ひて

次々にチェットベイカー掛けて行き青き大人のジャズに親しむ
公園や小径の花を撮り歩きマリーゴールドよき友とする
個人的思いはそれはそれとして今日一日を丁寧に生き

越して来た住まいは意外と心地よく静かに暮らす穴場みつける
近所にはきんつばファンが数多く何度行ってもまたも売り切れ

風邪気味で葛根湯を飲んだ後熟睡すれば一晩で治る
作文を交響曲になぞらえて数曲をただ書き留めて消え
別荘で新作を書くマーラーをお手本にして筆を進める

ひっそりと日々の深部に流れつつ思いもよらぬ現実が待つ


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日記短歌・夢うつつ

2023-06-10 05:04:12 | 自作短歌
メンブラン10CDは冗長で脱線があり注文をやめる
スピノザの初期論文は若書きで主張はいいが論証が下手
スピノザの往復書簡面白くお堅い人の肉声が読める

ルカーチは負けた側だと言うけれど歴史的には生き延びた側
スピノザの全集1冊5千円勿体なくて文庫でみな買う
NOT NOWチャーリーパーカー2枚組選び抜かれた演奏ずらり
近所には多彩な花の小径あり四季折々の花絵巻咲く

ロルフ社のチーズケーキを百円で時折買って空腹をしのぐ
幼少の多磨墓地前のケーキ屋にあったブッセを祖母よくお土産に
粉雪の色を思わす純白の渾身の舞いその透明度
詩的かつ宗教的な旋律を集めて人はピアノに託す

パンカフェでグルテンフリーのクッキーを食べる割にはこだわりはなく
長いこと手提げかばんのポケットに不思議の国の絵葉書が潜む
青髭の城の戯曲のヒロインは秘密暴くが剥製化する
近隣の郵便局にムーミンの絵葉書多くつい手が伸びる


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日記短歌・読書中

2023-06-07 05:16:06 | 自作短歌
ルカーチの詳しい伝記読んでみて著作集でもめくる気になる
スピノザの刊行中の全集は買えないけれど文庫数冊
興味ある思想家ざっと見渡すとユダヤ由来の知性ぎっしり

ルカーチの著作を奥から出して来てダイソー製の箱に並べる
Blu-ray全集で見るマーラーはパーヴォ・ヤルヴィの指揮で正解
NOT NOWシリーズにある2枚組チャーリーパーカーその疾走感
学び舎に通う途中に咲いている道のハマナス北の憧れ

ニンニクの香る明治の黒カレー今お気に入りレトルトの味
近所でもゴーヤは高くたまにある見切り品にて苦味楽しむ
ひと昔潤沢だった図書費さえ今は乏しく二の足を踏む

古本で歴史小説「日蓮」を参考のため取り寄せてみる
散歩中立ち寄る罠のブックオフ武道館でのハリスン入手す
年齢であきらめること多々あるが八起きするのが内心の軸



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日記短歌・夏模様

2023-06-02 05:28:20 | 自作短歌
ハンガリー革命時代の教育相バルトークやらコダーイを推す
洗礼者ヨハネの生誕半年後ファーストノエルに御子は生まれり
白鳥の湖目指し健気なるバレエ少女の乗るバスの列
数々の春夏ジャケの陳列の最終案はバックナンバー

小田原にういろう買いの留守番にぬいぐるみ居る卓で詩を書く
ご近所の散歩で通るブックオフ学生時代の旧譜また買う
仕事場の部屋に置かれていた本の「実験演劇」寝ころんで読む

盗作と言われるほどに読み込んだ三鬼の本に寺山が居る
スカートの花粉を掃う夏の日の映画の場面ふと思い出す
用事なく家を出て行き何もせず帰る啄木手は柔すぎて

ギロックの叙情小曲集を聞き町の景色が違って見える







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