超人日記・作文

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

この演奏の無心の美

2019-09-03 20:04:27 | 無題
今日は街まで出かけ、アファナシエフのベートーヴェン三大ソナタ買って帰る。
アファナシエフの悲愴も月光も熱情も、無茶苦茶に遅い。
これが、浮世離れした尋常じゃない遅さである。
月光の第三楽章や、熱情の第三楽章まで遅い。
こうなるともう、うまい、下手の世界ではない。
娑婆の浮き世で極楽貰うてこれが楽しみなむあみだぶつ、の闊達さである。

夕方、ハイドン・オーケストラとグスタフ・クーンのベートーヴェン全集聞く。
これも実に浮き世離れしたのんびりテンポである。
グスタフ・クーンはドイツの古き良き演奏をよく知る指揮者。
この彼がハイドン・オーケストラというイタリアの地方オケを振る。
全曲、ライヴで曲が終わると割れるような拍手喝采が入っている。
この演奏もまた、うまい、下手を超越している。
重厚なチェロの低音、かすれた音のひなびた雰囲気、おっとりとした
止まりそうな演奏。
古き良きドイツの美とヨーロッパの地方オケのゆったり感に救われる。

柳宗悦は、民芸が成仏する、と言ったが、今日聞いた2種類のCDでは
演奏が、それに当たる。

言ってみれば、無心の美である。

束の間の休息に、この演奏で助けられた。

うまい下手思わず忘れ聞き惚れるこれが楽しみ音の純心
コメント
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