1980年 5月5日発売
自身初の海外録音アルバム。
79年篠島でのオールナイトコンサートが終わり
年末大晦日日本青年館でのイベントで
「70年代の歌は歌わない!」と宣言し、80年を迎えた。
自らの課した縛りは
予測させる80年代の荒波を乗り切るためと
…自己変革を予期し実現していかないと刻一刻と変わりゆく音楽界に
立ち止まったままのスタイルは
それだけで隅に追いやられてしまって、
最前線で風を受けてきた者からすれば同じスタイルを貫くことは
生優しく、
刺激のない屍といっしょだと…いう危機感のもと
吉田拓郎の選んだ新たな挑戦は
原点回帰。
ザ・バンドのドキュメンタリー映画
『ラストワルツ』の舞台になったロス郊外マリブの
(シャングリラ スタジオ)での海外録音に臨んだ。
プロデューサーには
ブッカー・T・ジョーンズ
レコーディングスタッフも全部
外国人で固めた。
その中に ザ・バンドの
ガース・ハドソンもクレジットされていた。
篠島のイベントから経つこと9ヶ月。
次のオリジナルアルバムは?
期待と興奮で針を落とした
ニューアルバムだった。
A-1
あの娘といい気分
別名「Fの歌」
79年秋のコンサートツアーでもう、披露していたと思うこの歌。年末の日本青年館でも
まだ曲のタイトルが決まってなく
「Fの歌」となっていた。
なぜFなのか?
歌のはじまりのkeyがFからはじまる事から…
本編最初のこの歌は
R&B調のブラスが効いた
いいものに仕上がっていた。
相変わらず詩の内容は女の子好きな
拓郎を見せる感じがチャーミングだと当時は思ったけど、今現在聞くには
ちょっとこっちが照れちゃうくらい
さすがに…
と思ってしまう。
でも曲はいい!
A-2
いつか夜の雨が
レゲエだ!
ここまでのあからさまなレゲエにするのは拓郎さんにして初めて。
海外録音andブッカー・Tをプロデューサーにした
意味が、答えが2曲目にある、
あの頃僕はまだレゲエに馴染みがなくたいしていい歌ではないと
思って聞いていた
しかし時間経過と歳を重ねていくと
この歌、じわじわ効いてくるんだね。
レゲエのリズムと岡本おさみさんの詩がよく馴染む。
演歌のようにね…
歳を重ねた僕は
いい歌だと認識が変化した。
A-3
Bay Bay yesterday
とりあえずR&Rを!と言ったところか?
本場のお手並み拝見のような
演奏に拓郎さんのボーカルが乗っかる。
A-4
帰らざる日々
同タイトルの歌が
アリスであるので最初は?
coverか?と思ったけど
僕はこのアルバムの中で1番今でも好きな歌だ。
8ビートのノリの中で軽やかに
自分を振り返るそんな内容。
西海岸をドライブしながら聴き流すのにちょうどいい感じ
イーグルスのようなあんな感じ。
♪人にはそれぞれの
生き方があるさ
例えば横道に逸れたとしても…
太陽にむかって
走っていればよい…
そう、吉田拓郎があの頃教えてくれていた。
A-5
愛の絆を
岡本おさみさんの詩で
正面きっての
Loveソング。
静かな夜の気配が
ベット側に訪れてる
から始まり
君身体が冷えてるよ
もっと側においで
ときたもんだ…
身体と身体
心と心
確かめよう
もう、想像すると
男女のそれしか浮かばない
また、拓郎さんのボーカルも今回のアルバムレコーディングには
お酒を抜いて、またボーカルのみに
徹していたから
チャーミングでセクシーに響く。
ブッカーの意向で
拓郎は酒の抜いた時の声の方がチャーミングだと言うことだったらしい。
聞きようによっては
借りてきた猫のような
牙を抜かれた獣のような
そんな感じも受けなくもないが
それもこれも
新しく船出すること80年代への
旅たちには
欠かせない
新しい水夫になる
条件だったのかもしれない。
愛の絆を
は
後
7月の日本武道館でのライブでの
熱唱と聴き比べると
明らかに
違いを見せつけているが
演奏では武道館ライブが最高である。
B-1
熱き思いを込めて
この歌も
借タイトルがついてて
「セイ-ヤング」でデモテープを流してたのを思い出す。
その歌をアルバムに採用されたようだ。
この辺の詩は物事を斜めから
切り取って見ている感覚がいかにも
拓郎さんらしい作品だと思う。
B-2
あの娘を待ってる街角
岡本おさみさんの詩で唯一
ロスっぽい雰囲気を感じさせる
8ビートのほんわかしたいい感じの歌です。
この雰囲気は、酒を断った甲斐もあり
柔らかくチャーミングなボーカルの妙が醸し出している。
B-3
ハネムーンへ
これもレゲエ!!
この詩にしてこの曲
曲調は
もう、レゲエでしか合わない
というくらいしっくり馴染んでいるレゲエのリズム!
80年のコンサートツアーでも
歌ってましたね。
B-4
街へ
ロスはやはり8ビートがより
軽やかに
感じるのか
日本の原宿のことを歌った歌なのに
演奏が乾いたこれがロスサウンドともいうものなのかなと
感じさせてくれた。
これも後々ライブでも演奏したこともあったが
やはり外国人ミュージシャンのロスの出す音からすると
ニュアンスの噛み合いからいくと
このアルバムの音がベストテイクなのかなと思う。
遠隔地から思う
青春を過ごして街
哀愁と郷愁がよく伝わってくる。
B-5
また逢おうぜ あばよ
作詞は岡本おさみさん
拓郎さんのコトバにあった
同化した
歌の世界になっている、
コンサートの終わりに歌いたい
と思わせる
そんな内容の詩が
いい!
また逢おうよ
ではなく
逢おうぜなのだ
そして
あばよ
なのである
あの頃もギリギリなのだが…
もう、あばよ
は使いません!
あばよ が似合うのは
柳沢慎吾さんくらいだよなぁ