原曲に忠実に
coverすることは
アーティストへの
配慮、リスペクトが
ある意味
手かせ
足かせになって
身動き取れずに
もがいてしまう
そんな感じを受けてしまうcover。
自由発想と
歌いたいから歌うという
軽いノリも手伝って
もう少し
インパクトが欲しいなぁとか
思うことも多々あり、
cover曲の難しさは、
歌うものと聞くものに
投げかけて
今日まで
きたような気がする。
この発売された
「今日までそして明日からも」は
2017年4月発売。
以前トリビュートアルバム
「結婚しようよ」が2008年2月に発売された。
その時のアーティストたちは
音速ライン「シンシア」
ガガガSP「人生を語らず」
熊木杏里 「夏休み」
ジェイク シマブクロ 「大いなる」
下地勇 「制服」
つじあやの「加川良の手紙」
怒髪天 「落陽」
中の森バンド「結婚しようよ」
平川地一丁目 「りんご」
ホフディラン「となりの町のお嬢さん」
真心ブラザーズ「流星」
LISA「ビートルズが教えてくれた」
といった参加アーティストと曲。だった。各々がそれなりにアレンジを変え
ある意味聞き応えのあるアルバムではあった。
しかし、音楽性というところでは深みとか渋さとか後味感とか
が少なく
今回の
「今日までそして明日からも」はサウンドプロデューサーが
しっかりその辺を束ねる力量を発揮されていて、
それこそ
聞き応えのある
ものになっている。
吉田拓郎を聞いてきた世代から
親世代が聞いていたその子供世代
そして、孫にあたる世代まで
幅広く
吉田拓郎のメロディを消化して
それぞれが昇華して、
まったく別物に変えてしまった
そんな
見事な仕上がりの吉田拓郎の作品をcoverしている。
このアルバムに参加しているアーティストの
もはや、持ち歌?と思わせるほど
吉田拓郎作品は手を離れ
coverした歌い手の色に染まって
みせた。
その事が素晴らしいのか?
素材が素晴らしいのか?
調理師が素晴らしいのか?
要素が相まって
出来上がりは
出来栄えは
上々だ!
M-1 今日までそして明日から
奥田民生
広島の高校の先輩後輩にあたる関係から
当然リスペクトはあり、
奥田民生さん自らも
「唇をかみしめて」をステージでもcoverしてる。
ギターを始めた時も
吉田拓郎をかじっているし、
あまりにも同じ匂いのするもの同士という感じはあるから
活動は井上陽水との絡みで
名を上げ
男を上げてきた奥田民生さん
吉田拓郎節、吉田拓郎の懐に飛び込んだ
感じのcoverは
広島つながり、広島のソウルを感じさせる
納得の人選と選曲。
M-2 結婚しようよ
Chay
ポップな歌声が
数ある結婚しようよのcoverの中選りすぐりの極めを感じさせる。
彼女でしか表せない
世界感。
もう、原曲にしばられない
女の子からの
今時の 結婚しようよ
のニュアンスが溢れている。
M-3 流星 Mrs.Green Apple
今回のアルバムのヘソ的な
聴きどころのグループ
目玉的な位置にある
「流星」
拓郎さん本人も納得のcover。
「あり」か?
「なし」か?
のcover論議をしけば
「あり」!のMrs Green Apple
「流星」のcoverでは
真心ブラザーズさんの肉薄した
軍配でこれまでかっ!と思いきや
Mrs Green Appleのそれは
次元の違う
「流星」
もはや
彼らのオリジナルになっている。
彼らの親世代が聞いていた
吉田拓郎。
世代のフィルターで
歌はいかようにも
変貌してみせる。
M-4 落陽 寺岡呼人feat竹原ピストル
あえて、
正攻法で男っぽく
竹原ピストルさんを起用
選曲でやはり原曲と、持ち歌アーティストを超えられない
見本なような歌。
これは
唸るのみの
感じ。
M-5 夏休み 鬼束ちひろ
意外と静かに、らしくないといったら失礼だけど
むしろ牧歌的なこの楽曲を
鬼束ちひろさんが歌う
そのギャップに
膝を打つ。
哀愁をにじませる
ボーカルに、
ある意味「夏休み」の選曲は
正しくもあったか。
M-6 メランコリー 一青窈
スパニッシュ風の雰囲気の楽曲が東京 乃木坂 70年代中期の雰囲気を見事にくずして、
どちらかといえば
一青窈さんも
70年代風に歌おうと思えば
歌える器用なアーティストなのだけど
そこにいかない、その上を表現した。
ソングライター吉田拓郎の作品群にあって
秀逸なこの歌を歌いこなすのにはやはり、年齢的に
一青窈さんあたりの
艶っぽく女性としての
脂ののった年齢のアーティストが
歌うことが見事に合致した。
M-7 リンゴ 井上陽水
既発音源
すでに自らのアルバムでcover
されてる井上陽水による
吉田拓郎作品。
歌うとなると
やはりこの歌
なのだろうと
納得の選曲。
井上陽水という人は
日常を遊びながら楽しんで
歌えるタイプのアーティスト。
なんの偏屈もない
男女のリンゴを食べる風景
だからなに?って事を
まどろっこしく歌う
原曲の吉田拓郎歌唱のトーキングブルース的な
「リンゴ」とは
違う、まったく品種の違う
「リンゴ」
になってしまった。
これももはや、井上陽水のレパートリーになり、
coverを越えてしまった。
ボサノバ風にするアレンジも
これしかないだろうって納得
できる
仕上げだ。
M-8 旅の宿 高橋真梨子
既発音源
これも既に発売されているcover曲。
高橋真梨子の世界に取り込まれた歌 すでに素材はさらに美味しく仕上がる要素を得て
cover曲から昇華したいい例だ。
高橋真梨子さんのオリジナルとなった感じの
「旅の宿」
M-9 やさしい悪魔 徳永英明
既発音源
昨今の徳永英明さんのcoverに特化した活動の中で
キャンディーズ風ではなく
吉田拓郎風の節回しを意識しながら歌われた「やさしい悪魔」
80年代中期からのシティーポップの雄だった徳永英明さんが歌うジャズテイストの
「やさしい悪魔」
大人の雰囲気を楽しめる
さすがcover慣れしてる余裕か?
M-9 おきざりにした悲しみは
織田哲郎
今回のアルバムの中にあって
原曲に忠実に、と
アーティストへのリスペクトが全面に出て
少し前までのcoverするアーティストの感じそのまま。
でも、あえてそこに持っていったところがこの選曲にあっている。
非常に難しく
表現しづらいcover曲だと思う
この歌さえもやはり、
「落陽」と同じように
重い歌なのだから
歌える、カバーできる
アーティストはかぎられてくる。
M-11人生を語らず The ALFEE
アルフィーの三方は
拓郎さんをリスペクトしていることは
常日頃を知るところに
感じられるけれど、
「やっちゃったなぁ〜」というのが第一印象。
人生語っちゃったなぁ
歌っちゃったなぁ
アルフィー…
そんな印象。
アコースティックでないアレンジでロックテイスト。
もっと正攻法でくるかと
思いきや
ガチガチの原曲忠実アレンジかと思いきや
アルフィー仕様。
なんだかなぁ〜という印象。
せめてアルフィーだけでも
と思ったけれど
アルバムコンセプトに準じてまとめ上げて来た。
どれだけ原曲から遠くなるか!
どれだけ各々のアーティストのものになるかの
coverだ。
M-12 永遠の嘘をついてくれ
ポルノグラフィティ
このアルバムの中で
一番二番の安定的で
僕的には高い評価。
アルバムラストにもってきたのも納得
広島つながりのポルノグラフィティ
奥田民生で始まり
ポルノグラフィティで締める。
このまとめが
聞き応えのある
聴き終えての
満足感を得られるものだ。
畳み掛けるような歌詞はポルノグラフィティの音楽性に近く
曲の価値に負けてないパワフルなボーカルが
アルバムラストを飾るにもっとも相応しく。
心地よい風に吹かれたあとのようだ。
トリビュートアルバム
の面白さ
意外さがいい面に出た
アルバムだと思う
おススメのアルバムです。