物価ウオッチ:パン値下げ、カップめん据え置き…小麦下落、恩恵限られ - 毎日jp(毎日新聞)
毎日新聞 2009年5月10日 東京朝刊
政府が4月から輸入小麦の国内売り渡し価格を平均14・8%引き下げたことを受けて、小麦を原料とするパンに値下げの動きが出ている。新興国の需要増などを背景に高騰が続いてきた国際穀物相場が昨年末から下落に転じたのが要因だ。ただ、小麦を使う製品でも価格据え置きのものもあり、分野によって違いがある。また、原油相場に上昇の兆しが見え始めたことを受け、ガソリン価格はじわじわ上昇し始めており、消費者にとって値下げ一色というわけにはいかないようだ。
(中略)
◇ガソリン、じわり上昇
ガソリン価格は昨年夏をピークに年末まで下落してきたが、今年に入って反転している。産油国の減産効果などでの原油価格の上昇や石油元売り各社の減産が影響しており、今年1月から4カ月連続で上昇している。
石油情報センターによると、レギュラーガソリンの全国平均価格は4月27日時点で1リットル当たり115・9円。横ばいだった週を含めると、1月中旬から15週連続で値上がりしており、この間の上げ幅は10円近くになる。
最大の要因は石油元売り会社の卸値に影響する原油価格の上昇だ。年明けに1バレル=40ドル前後だった原油価格は4月には月間平均で50ドルにまで上昇。元売り各社はこれに連動して卸値を引き上げ、新日本石油が4月出荷分を3月より1リットル当たり3円値上げしたほか、出光興産も7週連続で値上げしている。
ただ、業界では原油価格は1バレル=50ドル前後の水準で安定的に推移していくとの見方が強い。昨年度はガソリン税の暫定税率を巡る国会での混乱や記録的な原油価格の乱高下によってガソリン価格が80円近くも変動したが、同センターは「昨年のようにガソリン価格が乱高下することはない」と分析。しばらくは小幅な値動きが続くとみている。【三沢耕平】