あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

プリマプラス

2006-03-02 21:19:33 | 術者、勉強になった症例
今日は久しぶりに、M県M市の病院に麻酔かけに行った。今日の症例は64歳のASで弁輪20mmの狭小弁輪。そこで登場したのがプリマプラス、なんかハムみたいな名前だけど要するにステントレスの生体弁である、プリマって語源は豚と関係あるのか?。一年ぐらい前に神戸市民の岡田先生が来て、実際に豚でやらしてもらい使用許可書?みたいなのをいただきましたが、なんも覚えてねー。うちのボスはやらないのでまじまじと見たのは初めてであり、なかなか楽しましてもらった。確か俺の記憶だと大学病院で研修してた頃、ダンディな香水つけてるS野先生が好んで使っていた気がするが、そうでなかったかい医局長殿?。
今日はmodified subcoronary法であったが、豚のA弁直下には筋肉が飛び出ており、その部分は布切れで代用されている、そんなんで右の冠動脈入口部は高くなっており、subcoronary法のときはそこは閉じて左を右に持ってきてずらして使うとのこと、そしてbaselineの糸はhorizontalにかけなくてはならないので、どの高さにするかが問題である、nadirにかけるとわかりやすいがnonとrightの間でHis束をやっつけてしまう可能性があるので、nadirよりやや上にずらすこともあると。あとは、二尖弁などでcoronaryの位置がずれているときが問題になるらしい。
ただ、弁口面積が稼げるし、非常に生理的であり逆流も無く、入れる手間さえ惜しまなければいいものである。そう思うと、なんとなく普通の生体弁より耐久性もありそうな気がしてくるし。ただ、今は有効弁口面積の稼げるSJMのRegent Valveとか、ワーファリンのいらない機械弁も出てきてるし、廃れていくかもしれないが、、、。そんなこんなで今日は麻酔そっちのけで、見入ってました、そう思うとほんと俺が片手間でできてしまう麻酔科医って入らない気がしてくる、、、。