あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

チタン

2013-07-04 23:34:03 | Weblog
2カ月ほど前に手術した方が、術後の微熱が下がらずに内科で入院して全身検索されたが、血液培養も陰性続きで原因が分からずじまいでしたが、先日、心窩部が腫れてきたとのことで来院、2ヶ月たってようやく熱の原因が顔を出してきました。
右房に置いたリードでしたが、リードに拍動と抵抗を感じたので術後は皮下で離断して残してきてていた方です。内科の先生方のカンファレンスで話題になっていて、WBCは上昇せず、CRPだけが1桁でくすぶっている様な経過でしたので、感染ではなくアレルギーの疑いも否定できないとの意見が出ました。
もう一度、ご本人にしつこく確認したところ、指輪でかぶれる、若い時に掌蹠膿疱症の既往あり、その際に入れ歯の金属が原因かもしれないと言われたことがあると。
早速、切開してリードを抜去、あまり膿とかはたまっておらず、炎症により瘢痕化した脂肪組織が主であり、培養とともに、リードの成分のパッチテストも行ったところ、チタンで皮膚炎あり、ただ、培養から黄色ブドウ球菌も出ており、両方なのかと。
そのままVAC開始して、熱も下がり、CRPも陰性化してきました。

こんなことってあるのですね、初めての経験ですが、パーマネントであるのだからテンポラリーでもあり得るわけで。

2ヶ月間、患者さんも私も熱の原因に苦しまされました。