あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

porcelain aorta

2013-07-22 18:30:57 | Weblog
本日は透析をやられている方の弁置換でした。
透析のASは恐ろしいということを、改めて知った症例です、半年前はEF44%あったのに、porcelainでrisk高いからと言って、逃げ回っていたら、先日、苦しくなってきたとのことで、半年ぶりに外来に来られたら、もうEF17%、MRmoderateにまでなってしまって、、、、。
とりあえず、やるしかないとのことで、早めの入院で、心カテやってもらったけど、予想通り、冠動脈病変なく、ウエッジがめちゃくちゃ高い、、、こりゃ普段の透析で引ききれてない、、、2というか、もう引けなくなってしまったのね。オペまでに、無理しないようにDW下げてもらって、手術に持っていきました。
送血は弓部の隙間で、遮断は一部、1/4周ぐらいの部分的な石灰化の部分があるので、そこで板に沿って併行に遮断です。
porcelainは、それなりに見てきましたが、何やっても脳梗塞起こすときは起こすし、起こさないときはおこさない、何やってもそんなに変わらないと考えていますので、飛び出したやわらかいものがなければ、やはりシンプルが一番。ただし、遮断の時はちょっとだけ頸動脈もブルドックかけてますけどね。頭だけにはいかせない。
大動脈切開がこれまた不思議なんですが、なぜか上行はPA側で、STJのレベルでは前面が石灰化がない場合が多いのよね。
だからだいたいが自然とJ切開になります。開けてから視野トリに必要な分だけ、石灰化を外します。
とうぜんSTJのあたりはまったく開かないので、いつものようには行きません、針も16mの小さな針で、結ぶのもノットプッシャーの活躍の場であります。弁は初めての登場ですが、現在ある弁の中で、こういった症例に最も適していると思われるMITROFLOWを選択しました。これはストラッドが柔らかいので、糸を結ぶときに押しても曲げても大丈夫、こうした症例では大動脈に結ぶ指が当たると、それだけで石灰化の強い大動脈壁は裂けてしまうので、大動脈壁というより生体弁の方に押し付けて糸を結ぶことができるのであります。いちおう海外では20年以上の実績がありますしね。もういっこの外巻きよりは、はるかに使い勝手が良いかと、ごめんなさい。
今日は逆行性心筋保護必須と思っていましたが、案の定、左の冠動脈孔からゴミがわいてきたのが見えて、あるんだなーと関心。

こうした症例に、みんながキューサーがいいよというので、キューサーを準備していましたが、本日も出番なしで、クラシカルな方法でこすって剥がす石灰化は外れてきました、いい層に入ればね、意外とするっとね取れます。
特に補強なく、フェルトだけで大動脈の出血もなく、ラッキーでした。まー、リークせずに血が出なければOK、TEEではリークなし。
あとは、目が覚めてくれるかどうか、祈るだけと思ったら、30分で目覚めて手足を動かしてくれました。
うーん、とりあえず、弁輪拡大とか上行置換とか、基部再建とかにならずに、普通に終わってよかったです。

透析症例に手を出し始めると、思わぬところで足をすくわれることが、多々あるので、まだ油断できないですが。
とりあえず、今週一例目、なんとかスタート。

裂けるのだけは

2013-07-22 18:20:58 | Weblog
先週は最後にAVR+MVP+TAPがありました、TAPがあるので経中隔で行きましたが、まず頭側に切り込み過ぎて、中隔を超えて、右房と左房が嘴状に開いてしまった。さらに、非常に組識の弱い方で、左房鉤をかけたら、中隔をはじめ左房の内膜が裂けて、ずたずたになり、ちょっと焦りました。やはり、糸で中隔にステイをかける方が無難かな、原法は確か、ステイをかけるはずだった。
それでも何とか、修復に修復を重ねて、自己の組成のみ、補てんはせずに修復、3弁終えて、2時間ほどで無事抜管です。
頭側へ行き過ぎたため、今回は洞結節動脈はちょんぎってません、房室解離となりましたが、本日は1度ブロックまで改善してます。
右側左房で左房が裂けてくのは慣れていますので、何とも感じませんが、経中隔で中隔がずたずたになったのは、これで2回目かな。あとは右房切開が裂けて、右室まで裂けたこともあったな-、いろいろあるな。
まだCSは破ってないけど、、、、話はよく聞く。