当時は、今のようにマークシートで馬券を買う方式がありませんでしたから、馬券は全て窓口で、口頭で言いながら発券してもらう仕組み。発券してもらった馬券は、その場で確認してもらい、違っていれば正しい馬券と交換してもらう形。
馬券の種類は、基本的には200円券(バラ券とも呼ばれていました)と1000円券(特券と呼ばれていました)の2種類。一部、例外的に100円券と500円券を売ってくれる場外売り場もありましたが、競馬場内でも、一般場外馬券売場でも、基本は200円券と1000円券でした。今でも、1レースにつき、200円ずつ5枚で1000円買う人が結構いますが、これは当時の名残だと思います。
ところで、当時まだ中学生~高校生だったワタクシは、窓口で馬券を買おうとすると、窓口のオバちゃんに「あんたは駄目よ!」と叱られてしまうので、大学生の兄に頼んで、買いに行って貰っていました。当時の法令では、20歳を過ぎた兄でも、学生は馬券が買えないという規則でしたが、さすがにそこは見逃して貰っていた時代でした。
しかし、困ったことに、実家の代々木から最も近い場外売り場は新宿にありましたが、新宿場外では、特に有馬記念などの大レースは、1000円券しか発売してくれないのです。とても高校生の小遣いでは買える水準ではありません。しょうがないので、兄には、わざわざ後楽園の場外へ出向いて貰って、200円券の長い列に並んで頂きました。
ちなみに、当時、馬券は長時間並んで、やっと買えるシロモノだったのです。特に日本ダービーや有馬記念、中山大障害などのレースは、夢馬券ということで、宝くじと同じく、普段は馬券を買わない人も、この日だけは買うという感じでした。
現在でも、金曜日発売とか、前日発売の仕組みが残っていますが、あの頃は、当日だと、列が長すぎて買えないことがあったため、比較的空いている土曜日や金曜日の夜に馬券を買う習慣が当たり前になっていました。現在のように、直前までネットで買える時代から考えると、隔世の感があります。(続く)