★祈りの幕が下りる時(講談社文庫)
著者:東野圭吾
出版社: 講談社
加賀は体格がよく、精悍な顔つきをした人物だった。
三十歳前後だろうか。彫りが深く目つきが鋭い。
いかにも正義感が強そうな印象を受けた。
差し出された名刺には、
警視庁捜査一課という職場名が記されていた。
(本文より)
映画《麒麟の翼》での阿部寛そのものである。
阿部寛の姿が頭から離れず、本を読んだ。
登場人物の視点がそれぞれに重なりあい、
《過去の記憶》が濃密に炙りだされる。
《人の想い》が重なることで
《物語の時間》が生まれることを改めて認識。
ねっちりした人情物を読んでいる感覚。
浪花節みたいな。
東野圭吾はやっぱり大阪人やなぁ。
とくに東野ファンというわけではないが
《東野圭吾恐るべし》と再び納得した一作。
ちなみに、
いままで読んだ東野作品の中では、
『容疑者Xの献身』が深く身震いする。