★ロベール・ドアノー写真展 ~パリ・ドアノー~
美術館「えき」KYOTO
ほとんど若い人たちで一杯だった。
一人で静かに写真を見つめる男、女。
互いに微笑み合いながら、写真を見つめる男と女。
モノクロームの写真が、
ギャラリーの壁面に所狭し、
これでもかーと飾られているが、
会場の雰囲気は非常に穏やか。
太陽の柔らかい光を巧みに利用して、光りと影のバランスが絶妙に美しい。
つい微笑みたくなるような一瞬の表情をうつしたもの。
人々の和やかな雰囲気を捉えたもの。
今からみれば、ノスタルジーを感じさせる人々の表情であり、街の景色である。
お気に入りは、
ギャラリーの内側でカメラを固定し、
ウインドウーの外側から、ヌードの裸婦の絵を見つめる人の表情をとらえたシリーズ。
びっくりしたり、にたっとしたり、
素知らぬ顔をしながら眼は輝いていたり、
ちょっと怒っていたり、考え込んだり、いろんな反応をしめす顔の表情がとても可笑しかった。
帰りに写真集を買った。
その本に収められているテキスト「イメージの釣り人」より引用。
「おそらく、瞬間で消え去るイメージを捉えたいという欲望、
あるいはもっと単純に、この世界に生きる喜び、
またそこで起こる出来事を目撃できる喜びを刻印する方法として、
私は写真を撮ってきたように思う」
「パリの空はアトリエの光りのようだ。
パリの人々、建物、モニュメント、家々を包み込む包括的な光りを提供してくれる。
それは、ディテールを強調する光ではない。
私は柔らかいパリの光が好きだ。
その光がすべてを語ってくれる。
物事が互いに解け合うとき、私は自分の世界にいる。
人々は情景の一部となり、背景は空の一部となる。
すべては神のご意志次第というわけだ。」
印象派の画家の言葉かと、
一瞬、戸惑うくらいです。