★ミツバチのささやき
監督・脚本:ビクトル・エリセ
出演:アナ・トレント、イザベル・テリェリア、フェルナンド・フェルナン・ゴメス
1973年/スペイン
ビクトル・エリセの記念すべき長編第1作
1973年のフランコ政権下という社会情勢とは裏腹に、
映像と音は繊細な感性と純粋極まりない簡潔さ。
ラストは映画館でしか味わえぬ神秘の光が溢れる作品。
ため息がでるほど美しい映像。
無駄な音や不必要な動きが一切なく、
ひたすら静寂が映画の中に漂う。
闇と月明かり、
炎の揺れが、
見ている者の心を溶かす。
静かで豊かな映像。
この映画は子どもが主人公である。
でもただ子どもの成長を描いているだけではない。
「子どもの眼から見た世界に徹底的にこだわっている」
つまり「幼年期の混沌」を幻想的にシュールに、
ノスタルジーがこみ上げてくるくらいに、
美しい光り輝く魂の塊として捉えている。
アナが森の中で、精霊と出会う。
「フランケンシュタインの姿」をした精霊と出会う。
月明かりがたまらなくシュール。