生まれ故郷は残念ながら蕎麦も饂飩も冴えない所(美濃、一般論)なので、麺類の本当の美味しさは三十過ぎまで知らなかった。三十半ばで蕎麦の旨さに目覚め、週一回ほど蕎麦を味わうようになった。
饂飩は寒い時に蕎麦屋で番外に時々岡目や雑煮を美味しく戴いていたが、わざわざ饂飩を食べに出かけることは殆どなかった。それがどうしたものか、讃岐の文字に惹かれて入った丸亀のうどんに填まってしまった。この二ヶ月は週に一回は行っている。家内の方は美味しいとは言いながら「また」。と食傷気味である。
いつまで続く丸亀饂飩通いか分からないが、取り合えず全メニューを制覇した。どれも旨いが、肉牛蒡ぶっかけと釜揚げが気に入っている。ちなみに本場讃岐で讃岐の饂飩を食べたことはないので、本場はもっと旨いかどうか知らない。チェーン店なのが少し引っ掛かるところではあるが、市内のどこの蕎麦屋の饂飩より旨い(口に合う)。
江戸っ子は蕎麦は噛むなと言うらしいが、私は饂飩をはふはふと二三回噛んだだけであっという間に食べてしまう。これが正しい食べ方かどうか知らないが、家内の三倍の速度でいつもあきれられている。
はて、丸亀の讃岐うどんを食べて、「やっぱ、讃岐うどんは旨いねえ」。と嘯けば、讃岐の人はそうでしょうと言うだろうか、あんなんはと言うだろうか。