駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

今は先達の賜物

2017年10月30日 | 小考

 

 台風一過の秋晴れで今日は青空が広がっている。毎週末台風で風と雨にたたられっぱなしだったので、月曜日だが秋晴れが嬉しい。

 昔、武士道が生きていた頃、こういう若武者が居たと聞く。戦に敗れ敵に追われて同士と逃げる道すがら、腹が減って辛くなった。偶然、神社の供え物を見つけ、しめたと貪り食っていたところ、独りだけ、じっと見守るだけで手を出さない若武者が居た。「何で、お前は食わないのだ」「拙者はしんがりを務める覚悟です。切られて腹から供え物が出てはわが軍が笑いものになります」。

 仲間の名誉を守るためとはいえミーラーストというのは、最近はついぞ聞かない考え方だ。

 都民ファーストアメリカファーストに続きカタルーニャファーストが聞こえる。

 世の中は回りまわっている。ミーファーストが結局はミーファーストに繋がらないことはじっとしばらく考えればわかりそうな気がするけれども、十の投資が遠い先の二や三の見返りでは納得できず我慢できないのだろう。しかしそれでは大成できないのはあらゆる仕事に共通した法則と思われる。身近なスポーツを見ればすぐわかるだろう。

 若者は安定安全志向と聞く、実はその安定安全は目先でなく遠くを見て下された先達の判断の賜物でもあることに気付いてほしい。安全安定な青春からは大したものは生まれない気がする。見苦しく恥ずかしい青春がジャンプに繋がるホップステップのように思う。

コメント
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