次は「ゲートウエイ」のアナウンスで席を立つ人、電車が速度を緩めると席を立つ人、電車がプラットフォームに掛かると席を立つ人、電車が止まると漸く席を立つ人。電車の降り方にも色々な個性がある。私は電車が速度を緩めると席を立つのでせっかちな方だろう。同じ駅で降りる職人風のお兄さんはプラットフォームに入るとおもむろに席を立つ、通い慣れればこれが普通だろう。
人間にはいろいろな個性がありこれが組み合わさって相性が生まれる。毎月千人、年間では数千人の患者さんを診ている。診療は分け隔てなくどなたにも最善を尽くしているが、会えてほっとする患者さん、又この人かと楽しくない患者さんと色々だ。この会えてうれしい方が相性のように思う。苦手な患者さんは、多分何処に行っても嫌われるタイプの人で、当院へ流れ着いた?ような人が多い。元市議会議員のAさんは受付で威張るので女性陣に嫌われている。診察室ではさほどでもないがあそこの橋は儂が作った?などと吹かれる。免許を返納し以前通っていたM先生の所に通うのが大変と転院されたのだ。幹事会でM先生に会うのでAさん又引き取ってよとからかうと「それだけは勘弁してください」といつもは気軽に大抵のことは引き受けてくれるM先生が断られる。Aさんと私の相性が悪いという訳ではないようだ。
相性はどちらかというと馬が合う方に働くような気がする。敬遠する場合は角が立たないように相性が合わないと表現することがあるようだ。そうして相性が良い、診察が楽しい患者さんが日に何人か来てくれるので、長く診療を続けて来られたような気がする。診察は仕事だろ、あれこれ言うなという方はおそらく人間相手のお仕事ではないだろう。