老々介護と言われる。しばしば老夫婦がお互いを介護しながら生きている様子を半ば自虐的にそう表現される。ただこれは一方がある程度元気でないと成り立たない。老いるには現実的には頭と身体があり、どちらも同じように衰えるとは限らない。嫁いだ娘が寄るとあんた誰などというお婆さんでも足腰は達者で買い物に出かけて迷子になったりする。歩行器がないと動けなくなっても頭はしっかりしており、嫁さんにあれこれ指図できるお婆さんも居る。お爺さんにも同じことが起きる。お互いの頭と身体を互いに補って何とか生活できているうちはよいのだが、いつまでもとは行かない。介護保険や訪問看護にデイサービスを利用していても、限界が来る。息子や娘が傍にいて面倒見てくれたり、金銭的な余裕があればなんとかなるのだが、どちらも望めないと本当に困ってしまう。避けられぬ終わりが近いということなのだが、エンドロールはとても難しい。