駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

それはできません

2023年02月10日 | 診療

             

 

 S子さんは87歳になられるが、綺麗にお化粧をされ目も耳もしっかりしておられ、いつも楽しい雑談をちょっとして帰られる。年齢のわりに非常にしっかりしておられるのだが、以前の遊び仲間がデイサービスに行くようになりおしゃべり仲間が居なくなり寂しく感じておられたらしい。あなたもおいでと誘われ行きたくなったと言われる。ついては介護認定を受けたいが認定が取れるように認知があるように書いて欲しいと頼まれる。

 ちょっとそれは難しいのですが、まず認知の検査をしてみましょうと指示を出した。分からない振りしてお答えになりませんと看護師が言ってきた。やむを得ず私自ら参考にするだけですからと説得してやってみると殆んど満点だった。まあこれは参考にするだけですから、とにかく申請してみましょう。役所から検査の方が来ますのでそれを受けてみてくださいとお帰り願ったのだが、看護師には介護の認定が取れるような演技指導を聞いてきたそうだ。

 息子夫婦と暮らされまともな方と思っていたので意外な気がした。しかしこれはちょくちょくある依頼でいつもそういうことはできませんとお断りしているのだが、善良そうな市民もいろいろ考えるようだ。

コメント
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