今朝は秋風が吹いた。台風一過の秋風はまるで八月の後半のようで、異常気象を切々と感じる。目を転じ異常国政に自然な感性からの適切な評価を見付けた。
diamond online 政権ウオッチ 田中秀征 を丸ごと引用する。田中秀征氏は私が評価する数少ない政治評論家だ。
{ “なでしこ”の壮挙が国内だけでなく、世界中に大きな旋風を巻き起こしている。
なでしこの活躍には、私もこの10年ほど目が離せなくなっているので、深夜の決勝戦もつぶさに観戦した。
アメリカが先行し、宮間選手が同点ゴールを決めるまでは、もう私は早々に勝利を諦めていた。「負けてもよい」というのではなく、「決勝まできたから立派」という気持ちであった。また、逆転の期待が強いと彼女たちに負担だろうという妙な心境でもあった。
延長戦でまたアメリカに加点されて後半戦になると、またもや「無理しなくていいよ。よくやった」という気持ちになっていた。
だから、残り3分そこそこで澤選手が同点ゴールを決めたときは信じ難い気持ちになった。
そして、その後は、あの世界最強のアメリカチームがなでしこの勢いに押されて茫然自失になったように見えたのである。それは、そのままPK戦まで続き、アメリカはなすところなく敗れ去った。
それにしても、澤選手の同点ゴールはどうだろう。私は映像や写真を何度も確認し、専門家の解説を聞いてもなかなか理解できない。一体どんな経路を辿って、ボールがゴールに入ったのか。後ろ向きで後ろに蹴ったに違いないが、あの土壇場で、そんな奇跡が起こるのか。澤選手が言うように、サッカーの神様の仕業としか思えない。
選手たちは、大会前には、「なでしこの活躍が少しでも被災者の皆さんを勇気づけることができれば」と語っていた。
しかし、優勝後の感想はかなり大きく変化していた。
「被災者の皆さんが頑張っているので、その勇気をもらったから勝つことができた」
被災者の人たちは、後者のコメントのほうがはるかにうれしく元気も出るだろう。
多くの人たちが、歴史に残るコメントを発したが、私が特に気に入ったものを挙げると次の2つである。
まずはアメリカの美人GK(ホープ・ソロ選手)の試合前の言葉。
「日本選手は、試合より何か大きくて高潔なもののためにプレーしている」
そして、敗れた後、彼女はこうつぶやいたという。
「何か大きなものが彼女たちを引っ張っていた。私たちは、素晴らしいチームに負けた」
このコメントはたまらなく感動的で涙さえ出てくる。
もう1つは、三浦和良選手の言葉だ。
「日本の良さは1つにまとまれることと自己犠牲できること」
そしてカズは、澤選手を「ゴッド」と呼ぶことを提唱した。
「なでしこの粘り強さ」に自らを重ねる
菅首相の途方もない勘違い
さて、優勝直後に、私はふと1つの不安に襲われた。
それは、菅直人首相が、なでしこ人気に便乗しようとするのではないかということ。もしそんなことをしたら、壮挙の後味も悪くなるし、何よりも世論から総スカンに合うだろう。
菅首相には、人気ある人に対し先頭に立って拍手し、不人気な人に対し先頭に立って石を投げる周知の性癖がある。それによって政治家として生き抜いてきた印象が強い。
案の定、彼は、なでしこの壮挙に満面の笑みを浮かべて「粘り強く諦めないで頑張ることが大事」とコメントした。自分も、どんなに叩かれても諦めないで頑張るということだろう。困ったものだ。
これは途方もない勘違いである。
なでしこが一丸となって、自己犠牲もいとわず奮闘したのは、佐々木規夫監督を心の底から信頼しているからだ。
菅首相は政権の監督だが、チームの選手(閣僚や党役員)からも強く辞任を求められている。もしも菅首相がなでしこの監督なら、チームがバラバラで大会の予選リーグにも出られなかっただろう。
菅首相がなでしこの壮挙の本質を真に理解するなら、彼女たちに国民栄誉賞を贈ったら直ちに退陣するはずである。}引用終わり。
まさに同感である。