駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

今はもうなくなった仕事

2020年11月15日 | 世の中

             

 

 Tさんは十一月生まれの 年女で八十四歳になる。小柄でおしゃれ薄っすらと化粧されて七十台に見える。頭もしっかりされており、自力で通ってこられる。若い時は電話の交換手をしていたと言う。もうね、自動になったから仕事ないのね。昔の職場は機械ばかりになって入れてくれないと駅前の窓の少ないNTTビルの話をされる。電話交換手はほとんどが女性、仲の良い仲間がたくさんいたようで懐かしそうに話をされる。在の人なのだが、父親がお前は映画が好きだから町の仕事が良いと電話局に勤めたらしい。その頃は女性の仕事としては働きやすい良い職場だったらしい。

 十歳ばかり若い私は電話交換手といっても、国際電話などの時に話したくらいでお世話になった記憶はあまりないが、通話の接続や切り替えをしていたのだろう。今度受診の際に聞いてみよう。

 しかしまあ、電話の通話接続などはそれこそコンピュータで自動化しやすい仕事で真っ先に自動化が進んだ分野だろうと思う。おそらくかなりの数の交換手が仕事を失っただろうと思うのだが、さほど話題になった記憶がない。うまく配置転換されたり雇用を止めたりして処理されたのだろう?。今は窓の少ないNTTビルの中では数人の監視員が画面を見て機器の管理しているのだろうと想像する。重さや形のない通信と違うけれども分配は同様の論理回路で可能なのでアマゾンなどの通販の分野も人海戦術でなく、ロボットによる自動分配が導入されている。日本は自動化が遅れているようでまだ外国人労働者による人海戦術のところも多いらしい。残念ながら半世紀前の電話交換手と違い楽しい職場ではないようだ。

 気が付かないうちに色々な仕事が自動化機械化され、人間の出番が減っている。街中の医療は機械化しにくい仕事も多いのでさほど厳しいとは感じていないが、それでもキーボードが打てなくては仕事ができなくなっている。最先端の病院ではずいぶん変わっているのだろうと思う。一番遅れているのは政治の分野だろう。しかしこの分野ではそれが人間的で懐かしく良いこととは言えない感じがする。

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インフルエンザなぞ罹ったことはない

2020年11月14日 | 診療

                                                     

 

  今年のインフルエンザワクチンは院長の方針で、かかりつけの患者さん一人一人に打ちますかと聞いている。そのせいか例年より打つ人が二百人ほど多い。今までは単に希望者に打っていたので気が付かなかったのだが、一度も打ったことがないからやんない、一度もインフルエンザに罹ったことがないんでやらないと言う高齢者、男性が多い、が結構居る。初めてだけど今年は打ちますという人も居るが、これはやや女性が多い。

 風邪なんか引いたことがないと威張る人が居るが、そういうのは危ない、与太郎の場合は別だが、そうでなくて引いたことがないと威張る人は、結構ころりと逝ったり、進行がんで見つかったりする。健康自慢というのはほどほどにしておいた方がいいと申し上げたい。逆に心配性の人、女性に多い、の相手をするのは疲れるが、こういう人達は病気がちのように見えて長生きされることも多い。本当に致死性の病気になったら大騒ぎで困るなあと思っていると、長生きされて認知が出てきて意外に大騒ぎすることなく終わられる。暴れたり手がかかるのが長いと困るが、認知は終末のための天の配剤かもしれないと思うこともある。

 ちなみに私は病院勤めの頃に一度罹ったことがあるが、開業三十年インフルエンザに罹ったことはない。毎年スタッフは一人二人罹って休むので、人のやりくりに苦労する。どういうわけか同じ職種で二人同時はなかった。まるで感染させてやろうかというように面と向かって咳をする患者さんが居るのに、なぜ感染しないのだろう。だいぶん与太郎になってきているので与太郎効果かもしれない。

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税金の行方

2020年11月13日 | 小考

            

 

 一昨年人並みに一度だけふるさと納税をしてみたことがある。いくらか得したような気はしたが、目移りする品々、餌に釣られて余計なものを買ってしまう気分がして、以降していない。

 お礼なのか景品なのか、沢山払える人がより得なのは確かだが、そういうことを言うと左遷される。怖くても、税務署にはふるさと納税の総括巧罪を正直正確に報告して欲しい。

 昨年までは高額納税者で、一体何に使われるんだろうと釈然としない気分で支払っていた。国民も税務署も取る取られるに意識が集中し過ぎている。税金が何に使われたかにもっと関心を持ちたい、何に使ったかを分かり易く提供するサービスが足りないと思う。調べるとわかるはずというのでは行政サービスとして不十分だ。分かれば政策にもっと興味が持てる。費用が掛かる?、安倍のマスクほどではないでしょう。

 日本学術会議の十億円は決して多くないと私は思う。学者という人達がどういう人達か世の中の人にもっと知って貰うようにしないといけない。今や優秀という言葉が不当に扱われるようになってしまったが、学者は優秀な人達で尊敬に値するということを世の中の多くに人に思い出していただきたい(勿論、尊敬できない人物も混じっているが、それはどんな職種も同じ)。

 学者の言うことは難しいかもしれないが、難しいから気に食わないでは国全体の多様性が失われ、能力活力が低下してしまう。

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夢の中で声を掛けられる

2020年11月12日 | 小験

             

 

 朝夕は冷え込むようになった。新聞を取りに出るとぶるっと体が震える。ガウンが必要な季節になった。北海道は雪が降り新型コロナが増えている。冬を迎えて新型コロナはどういうことになるか。政府は中々腰が定まらないようだが、菅首相は厚労省に任せきるつもりだろうか?。

 この頃時々夢を見る。五六十代はほとんど夢を見なかったように記憶する。脳細胞は減ってゆくはずだが一部が再活動を始めたのだろうか。夢の中には幽明の境がなく、亡くなった人がよく出てくる。夢の内容はよく覚えていないことがほとんどだが、昨夜は前の病院長が出てきた。私を君付けで呼ぶ人はそう多くない。**君と呼ばれたのでうっすら覚えているが話の内容は覚えていない。何かを伝えたかったのだろうか。

 病院と医院では規模が違うので経営の大変さは比べ物にはならないだろうが、私も三十年間ゼロから始めて町の風物になるまで医院を経営した。例外もあるが、多くの医師は経営者としての訓練は受けておらずその才能も乏しい。私もそうした一人で従業員のことでは結構苦労した。幸い経済的な苦労はほとんどなかったが、総合病院の院長は両方の苦労があり大変だっただろうと思う。果たしてそうした苦労話をしたかったのか、もっと個人的なことを話したかったのかはわからない。しばしば意見が違い、会議では議論になったが総体としては認めていてくれたと思う。院長らしい院長だった。

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何故支持されたのか?

2020年11月11日 | 人物、男

           

 

 なぜトランプがこれほどの支持を得たか。日本にも支持者が結構居るようだが私にはどうもよくわからない。トランプは利己的で狡賢しこく平気で嘘をつくので、とても尊敬できる人物とは思えない。支持する人は何に共感してどこを気に入っているのだろう。白人至上主義(表立っては言わない)で金儲け最優先、品行方正からはほど遠く浮気相手のポルノ女優に口止め料を支払っている。本当は借金が莫大で成功したビジネスマンとは違うとの指摘もある。

 どういうものか支持者達はトランプのこうした問題点を気にしないようだ。支持者は高学歴高収入な人達や大量に物を輸出してくる中国を嫌悪し、そうした人達や国をあしざまに言うトランプの言葉で溜飲を下げるらしい。私は悪くないのに私は恵まれていない、今の世の中はけしからんという感覚らしい。そういう気持ちはある程度分かるが、狡しても勝てばよいとは思えない、恨むだけでは問題は解決しないと感じる。

 トランプが本当に恵まれない白人の味方かどうか怪しいものだ。恵まれない人の不幸は資産を独り占めにする富裕層や低賃金で不当に安い製品を売り込む中国のせいだと焚きつけて、憎悪を支持の力にして票を集めようとしている。口が上手く乗りが良く、平気で嘘をついて自説を有利に響かせる。そうした才能はたいしたものだ。トランプの辞書には自分の非を認める項目はないらしい。

 トランプがやったことはなんでもオバマの反対、これからやることはとにかくバイデンを困らせること。そういう人物が47%の票を集めた。人種差別撤廃男女同権同性婚を認めるなどの進歩的な考えに馴染まない人達も含まれているので、熱狂的な支持者は35%くらいと言われるが、その事実は重苦しい。

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