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沖 至のアルバムを聴く(3)(ユニット・ライブ、ウイズ・ストリングス/CD)

2020-11-12 | JAZZ (CD)
ヨーロッパを中心に活動していた時代に、帰国時を捉えて行ったライブ盤からの2枚で、1枚目は、日本の新進気鋭の若手奏者を交えての録音です。
「沖 至 ユニット・ライブ」 MTCJ-3015
 
1. BYE BYE BLACKBIRD
2. オンタケサン
3. ハイク
4. L FOR B
5. LIKE SOMEONE IN LOVE
沖 至 (tp, flh, etc.) 田村夏樹 (tp) 登 恵三 (ts) 藤井郷子 (p)
船戸博史 (b) 光田 臣 (ds) 白石かずこ (poem)
録音 2002年5月24日、2003年10月10日

これは、新宿Pit innで行われた2回に渡るライブを捉えたもので、このメンバーで演る「BYE BYE BLACKBIRD」は、聴衆を前にしての興味ある演奏です。
前回掲載した「しらさぎ」と同様に、最初はベースのソロにトランペットが絡む静かな出だしから、6分25秒あたりで藤井のピアノが加わった途端に激しい演奏に変わり、終盤は管楽器を中心とした合奏となり、最後の最後で曲のメロディが出て来るところなどは、AEOCの展開に似ています。
「オンタケサン」は、下記のアルバムでも演っている“木曽節”をモチーフにした曲で、演奏は自由な展開なれどアレンジもしっかりしています。
また「ハイク」では、白石のポエムを織り交ぜての演奏で「サミダレヤ、カエル飛び込むジャムセッション」との言葉が上手く溶け込んでいたり、「サミダレヤ、サミダレヤ」と連呼する場面もあります。
実は、このアルバムを聴くまでテナー・サックスの登のことを詳しく知りませんでしたが、「 L FOR B」で大きくフューチャーされている演奏を聴く限りでは、相当な実力者であると思います。
最終曲の「LIKE SOMEONE IN LOVE」は、4ビートのスマートな演奏で、藤井を中心としたピアノ・トリオからスタートし、管が入ったアンサンブルから各人のソロに移行し軽快に進行します。
なお、ここでの2人のトランペット奏者ですが、音色からしてメロディアックな沖と、強烈な音で迫る田村が主役を張っています。
余談ですが、過去に狭山ジャズクラブ時代に狭い部屋で、藤井郷子と田村夏樹に、独出身の女性ダンサーを交えての3人によるライブを行ったことがあり、この時に演奏した「枯葉」のメロディの、断片を織り交ぜながらの情景を思い出しました。

ところで沖は、日本でこんな録音も残しています。
「沖 至 6重奏団コンサート・ウィズ・ストリングス」 WN 1004
 
録音 1996年11月30日 三重県川越町
沖 至 (tp) 渋谷 猛 (p) 中牟礼貞則 (g) 翠川敬基 (b) 望月英明 (b) 芝垣安洋 (ds)

ジャズミュージシャンは、パーカーを始め一度は弦を入れたオケで、バラードを演奏したいという願望があるようで、トランぺッターにおいても、クリフォード・ブラウン、ウントン・マルサリス、日野皓正等々・・・、
そして、このアルバムにおいては沖自身がプロデュースに当っていることから、この企画を意識して行ったものであることが分かります。
このアルバムは、ストリングスの他そうそうたるメンバーが揃っていて、弦をバックに中牟礼のギターも随所でソロを取っています。
スタンダードは「I REMEMBER CRIFORD」を始めとして、出来る限りアドリブを封印し、美しいメロディを淡々と吹いています。
沖の自作曲としている4曲は、「SUMMER TANGO」が美しいメロディに乗ったタンゴの演奏であったり、「生きる」は、マイナー調の壮大な曲となっています。
また、「TEA FOR ONE」は、“二人でお茶を”の断片も使ったリズミカルな曲で、「おんたけさん」は、“木曽節”そのもので、いずれもバックのアレンジが凝っています。
演奏は、全体のバランスを上手く取った曲順となっており、最終曲の「MISTERIOSO」で、渋谷の絶妙なアドリブを聴くことが出来ます。

コメント (2)
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