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私の愛聴盤(第148回)

2020-11-22 | 私の愛聴盤
下記は、沖 至の比較的初期の録音ですが、彼の数ある作品の中では聴く機会が多いことから、愛聴盤の第148回として掲載しました。
「幻想ノート」 OFFBEAT RECORDS ORLP-1010
  
1. 黒い鉄ねこ面
2. サン・ドニ通りの子猫たち
3. エスカルゴ
4. ほほえむ南里さん
5. 古代天文台
6. シーザーとカポネ
沖 至 (tp) 藤川義明 (as, fl) 翠川敬基 (b) 田中穂積 (ds) 吉増剛造 (poem)
録音 1975年12月9, 11日

これは沖 至が、日本とパリを拠点として往来している時に生まれたアルバムで、藤川のアルト・サックスが加わったことで、サウンドが華やかになり、時には優しく、時には激しい演奏の中で、ストーリー性が見え隠れするアルバムであり、各々の曲名からも、沖がロマンチストであることが想像できます。

演奏について、
「黒い鉄ねこ面」は、アップテンポで軽快に飛ばす沖に、後半は藤川が絡んで来ますが、後半でフェイドアウトしてしまう惜しい内容です。
「サン・ドニ通りの子猫たち」は、翠川の不気味なベース・ソロに続いて、ドラムスをバックに藤川、それに沖の絶妙なソロを聴くことができます。
「エスカルゴ」は、沖と翠川の対話形式の演奏に続いて、後半は藤川の耳をつんざくようなソロに、沖のトランペットが加わる激しい内容です。
一転して「ほほえむ南里さん」は、沖至が少年時代に神戸で南里文雄から直接指導してもらったことから、8月4日に亡くなった南里の訃報に接し、彼に捧げたトランペット・ソロで哀愁を誘う演奏です。
このソロ演奏を聴く度に、彼が2011年秋にツアーのため帰国した際に、渋谷で開催された副島輝人のフィルムコンサートにゲストで出演した際に、トークの途中で組み立て式のトランペットを取り出して「枯葉」を演奏したことを思い出します。

また、「古代天文台」では、吉増が自作の詩を読む部分もあり、沖はトランペット、藤川のフルート、翠川のボーイング、それに田中のタムタムを多用したドラミングが、吉増の発する声に同化しています。
「シーザーとカポネ」は、完全なフリー演奏で、沖のトランペットが主力を張りますが、翠川のベースと丁々発止の激しい一戦を交える展開において、その後方で、藤川の強烈なサックスが最後まで緊張感を維持して迫ります。

このアルバムは、各楽器の「音」がクリアで生々しく収録されている好録音盤です。

コメント
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