夢のあと

釣りには夢があります。夢を釣っていると言っても過言ではありません。よって、ここに掲載する総ては僕の夢のあとです。

K-Cup

2015年03月07日 23時18分45秒 | 渓流釣り
 第一回は吉田毛鉤会と僕らの会の共同開催でスタートしたこの大会ですが、昨年は僕らの会で主催、そして今回の第三回は開催会場の東京トラウトカントリー(以下「TTC」)の主催となりました。これで本来の姿になれたと思えて嬉しい次第です。
 当初はTTCの支配人をしていた堀江氏の偉業を称えて『堀江カップ』として誕生したこの大会ですが、遺族の方々の希望で堀江氏の名前が使えなくなり、それで堀江氏だけではなく、渓流釣り、それも毛鉤を使った・・・と言うことから両方の頭文字を取って『K-Cup』として継続することになりました。
 で、この大会、今回は選手として参加させていただきます。個人的に堀江氏には沢山お世話になり、その恩返しが何も出来ていない僕ですので、少しでもお力になれればと考えた結果です。勿論、この『K-Cup』はすでに堀江氏だけを称える大会ではなくなっていますが、僕の個人的な気持ちとしてはやはり堀江氏なのです。ですから、僕にとっては渓流の『K』でもなく、毛鉤の『K』でもなく、渓愚の『K』なのです。

 ちなみに彼はアーバンテンカラを展開し、僕が目指していた古式てんからとはまったく別物でした。しかし、あれだけのものを作り上げた人ですので、古式てんからにもフライ・フィッシングにもその造詣度は半端ないものでした。そして僕の目指す古式てんからにも理解を示してくれて、彼が知るさまざまなアドバイスをいただき、今もそれらは僕のてんからの中に息衝いています。

 基本的に古式てんからはある程度の大きさの虫が飛びはじめるころからが盛期で、この時期(3月)くらいだとまるで釣りになりません。何せ匂いも味もなく、かつ虫にも似ていない毛鉤を操作して、その動きを虫に似せて魚を騙すわけですから無理もない話です。しかし、フライ・フィッシングなどではこの時期では雪虫みたいな小さな虫を模倣した毛鉤などを使って視覚的に魚を騙して釣るので、こちらは釣りになります。そして堀江氏が提唱したアーバンテンカラはフライ・フィッシングと古式てんからのいいとこ取りをしたものですからこの時期にはそれなりの毛鉤を使ってそれなりの毛鉤操作ができれば釣ることができるのです。

 明日はそのアーバンテンカラを駆使した方々と一戦を交えるわけですが、これで勝てるはずがありません。ただ一つだけこんな時期でも古式てんからで魚を掛ける方法はあるのです。しかし、かなり効率は良くない釣り方いなってしまいます。

 明日はミゾレから雨になる予報です。なおさら古式てんからには不利な状況です。どうにもならない明日の戦い。結果は判っているのですが、それでもこの大会に参加していたいと思う気持ちは僕の壊れた体(胃炎+ぎっくり腰)に鞭を打ちます。このことはまだまだ僕の中で堀江氏が生きている証でもあります。
 勝てなくてもこの大会に参加する意義を感じながら少しだけ竿を振って来ようと思っています。昔、彼とご一緒させていただいた渓に想いを馳せながら。

この本

2015年03月05日 00時58分41秒 | 渓流釣り
当方、主に渓流釣り、船釣り、タナゴ釣りなどを嗜好する遊び人です。
船釣りは他の二つの釣りに比べて、少々面白さに欠ける部分があります。
それは場所を探す楽しみです。
船釣りの場合、船頭さんが経験と情報と魚探を駆使して魚がいる場所に連れて行ってくれます。ですから、船頭さんから合図があれば、そこには必ず魚は居るわけで、釣れる釣れないは別にして、とにかくその場所はプロ(船頭さん)が太鼓判を押した場所で釣りをすることが出来ます。ですから、大きいのも釣れますし、数も釣れます。でも、ほんのわずかではありますが釣れても100%自分で釣ったという感じにはなれません。しかも船釣りの場合はそれほど大釣りも期待できません。たとえばいいポイントがあって、そこに沢山魚がいたとします。当然船頭さんはそこに船を着けて我々に釣らせてくれるのですが、ある程度釣ると移動してしまいます。本来ならそこを何度も何度も釣ればそれなりに釣果は伸びるわけですが、それはしません。ぢうしてかっていうと、我々はその日の釣りですが、船頭さんは明日も明後日もあるのです。今日根こそぎ釣ってしまったら明日のお客さんはほぼボーズになってしまいます。ですから、ある程度釣れたら場所を移動し、そこに残った魚はまた明日、他のお客様に釣ってもらわなければならないのです。こういうことが解って来ると少々面白さが半減してしまうのは仕方がないことでしょう。でも、やはり大きいのが沢山釣れるのでついつい行ってしまうのですが。
 一方、渓流釣りやタナゴ釣りは自分で場所を探さなければなりません。経験と臭覚と勘だけが頼りです。よってプロの人が最新鋭の機器を駆使して見付けた場所とは大違いです。よって、ほとんどの場合、釣果は控えめであることが多いです。しかし、こちらの方の釣った感は、場所を案内されて釣ったのとはかなり違います。つまり、釣りの楽しみの一つに場所探しがあるってことです。

こんな時に頼りになる本がこういう本です。
この本は、昨日いただいたものです。長野の渓流のガイド本です。
数人の共著で構成された本ですが、その内の一人が知り合いなので本人からいただきました。
僕の場合、行く渓は決まってしまっていたのでこのテの本は久しぶりに手にしました。
ざっと見たのですが、やばい場所が満載です。中には僕がよく通った渓もあったりして・・・。ここは書かないでほしかったなぁ・・・なんて場所が写真入で掲載されちゃってたりして。。。いいのかな?こんな所出しちゃって。
まぁ、場所探しの楽しみを求めない初心者の方はこういう本を頼りに、まずは魚を釣って釣りを楽しんでください。でも、それで釣れても100%のやったり感はなくなって行きます。で、そのレベルまで達したら最終的には自分で渓を開発して行きましょう。
これじゃー魚が減っちゃいます!今年は長野の渓は割愛しかないでしょう。

尚、この本はシリーズで他の県も出すらしいので・・・全国的に魚が減るかも。

一枚の羽根から

2015年02月23日 00時11分02秒 | 渓流釣り
環境省では、捕獲禁止期間が平成14年10月31日までとなっているメスヤマドリ、メスキジの捕獲禁止期間の延長を行う意向があって、現在パブコメを募集しています。

ところで一作日、犬の散歩中に一枚の羽根を拾いました。
キジの羽です。それもメスキジの。
 上記のように、昨年の10月末までメスキジは捕獲禁止になっていました。メスキジの胸羽根は職漁師たちがこの羽根をさかんに毛鉤に使ってきました。誘いを掛けた時の水中で動きがとてもいいからなどと言われていますが、実のところ、彼らがこの羽根を好んで使ったのは一番手に入れ易かったのがその理由のようです。てんからは最小限の経費(支出)で最大限の収穫を得ることを目的としていますから、今のてんから師のように羽を買って来たのではその分収入が出て行ってしまいます。よって、身の回りにあって使えるものはどんどん利用して経費(支出)を押さえていました。職漁師の全盛期である昭和初期、山奥でもっとも食されたと思われる鳥はニワトリとヤマドリやキジです。で、そのほとんどが肉だけを食べて後は捨てていたのだと思います。ですからこれらの鳥の羽を利用することは、ある意味廃品利用とも考えられます。スズメなどの鳥と違って大型ですから一羽食べたら相当量の羽根が取れるわけです。ちなみに糸もバス(馬の尻尾の毛を撚った物)を使ったのも、それが一番良かったわけではなく、それが一番手に入れやすかったというのが正しいようです。でも、最高の道具ではない道具を使っても、今の最高の道具を使った釣りが敵わないことに少し不満を持つ僕です。
 僕もこの純国産のメスキジの胸羽根を使ってみたことがあります。とても素直な羽根で巻き易く、確かに水中での動きが微妙に違っているようにも思えたのですが、それは僕の気持ちに“これは純国産のメスキジの胸羽根だ”と思っていたからと思われるほどの微妙なもので、その微妙さを魚が感知するかと言うとこれまた微妙な感じでした。しかし、この羽根を使ったのはかなり前のことですので、もう一度使ってみたいと思っていました。現在は捕獲禁止ではありませんから自由に手に入るのではないかと思われますが、先にも書いたようにその違いは高麗キジや養殖キジと比べて微妙ですから無理して手に入れることもないと考えていました。
 ところが、冒頭に書いたように犬の散歩をしていて偶然一枚の羽根を拾ったのです。それがメスキジの胸羽根だったものですからなんだか嬉しくて。ちなみに今は草刈りされてしまったのであまり見かけませんが、草があったときには一羽の雄キジに8羽の雌キジが一緒に・・・うらやましいハーレムを作っていて、僕がワンコと近づくと一斉に飛んで逃げて行ったりする光景が見られる場所です。羽根の一枚くらい落ちていても何の不思議もありません。これからは地面をキョロキョロしながらワンコの散歩をするようです。
 この一枚の羽根を使ってどんな毛鉤を巻こうか?毛鉤巻きは大の苦手にしている僕ですからどんな素晴らしい羽根を使ってもそれなりの毛鉤にしかならないと思います。でも、それでもこれからこういう羽根に出会う機会もないでしょうからこの羽根に夢を託してみたいと思っています。

第3回 K-カップ 開催のお知らせ

2015年01月22日 19時00分37秒 | 渓流釣り
TOKYOトラウトカントリーより下記の発表がありました。
以下はその掲載です。



第3回 K-カップ 開催のお知らせ

【大会要領】
・開催日 2015年3月8日(日) 雨天決行
   悪天候等、開催者が危険と判断した場合は中止とします。
   中止の場合は前日19時までにTTCのWebページにてお知らせします。

・開催場所 TOKYOトラウトカントリー
   http://ttcmayfly.web.fc2.com/

・参加費用 3240円 (メイフライのおまかせランチ付)
   閉場まで釣りをする方は+1080円

・募集人数 先着15名

・申し込み方法 下記専用メールフォームのみで受付ます。
    http://form1.fc2.com/form/?id=901737
    ※お電話での受付はしておりません。ご了承下さい。


【当日タイムテーブル】
  競技は9時開始、13時終了です。

・08:15~ フロントに集合。タイイングの巻き座を決めるためのクジ引き。
  1番クジを引いた方から順に好みの巻き座を決める。
  参加費用支払いの後、8:45までには各自必要な準備を済ませる。

・08:50~ 主催者から開会挨拶、大会規定の説明

・09:00~ 大会スタート

・13:00~ 大会終了。 メイフライにて食事。

・14:00~ 表彰式 閉会の辞
              ※以上は予定です。都合や天候等によっては変更の場合もあります。



【大会方法等】
■競技内容
  大会開始と同時に自分で毛バリ(フライ)を作り、その毛バリで指定時間内に指定区間で釣った魚の体長(全長)を競う。
  魚種を問わず、最大の魚を釣った方を優勝者とします。

■競技区間
  TTCのメインストリームとリッチゾーンのみを使用。

■釣り方
  テンカラ又はフライフィッシングのみです。釣れた魚は計測後リリースとします。
  なお、競技中はエントリー時の釣り方のみで途中での変更は認めません。
  TTCのレギュレーションに従っていただきます。
    ★TTCレギュレーション
     ・使用する針は全てシングルフック。バーブレスとすること。
     ・エッグフライ、パワーエッグ、プラスチックワーム類は全面禁止。
     ・エリア内では安全のため必ず着帽、偏光グラスを使用して下さい。
     ・フライのドロッパー、中オモリ(ショット類)は禁止。
   ※大会当日は、テンカラも中オモリ(ショット類)、ドロッパーは禁止します。

★その他
  魚は必ずネットを使ってキャッチして下さい。
  釣った魚は全て計測します。一尾釣ったらその都度必ず計測所に持ち込んで下さい。
  同じポイントで連続して釣ってはいけません。
  別の場所で一定時間釣ればまた戻る事ができます。
  ポイントを離れる場合は必ず竿を持って移動する事。置き竿は禁止します。
  事前に巻いておいた毛鉤、他人からもらった毛鉤を使用した場合はその時点で失格。

■道具
  タイイング用品、釣り道具類、使用するハリやマテリアルなどは各自持参する。

■毛バリ(フライ)
  大会開始と同時に各自毛バリを作成し、その毛バリのみを使用する。
  今大会は、ビーズヘッド及びショットの使用は禁止です。
  ワイヤー類(レッドワイヤー、コパーワイヤー等)は、ボディ材としての使用のみ認めます。
     ※開催当日の水況によりビーズヘッドのみ使用可とする場合があります。
      使用の可否、使用を可にする時間は、主催者が当日判断します。
  巻く毛鉤の数は制限なし。一本巻いていくもヨシ。何本かまとめて巻いてからいくもヨシ。
  当日巻いた毛バリのみを主催者が用意するケースに入れて釣り場へ移動。
  大会中にロストしたり、違う毛バリが必要になった場合はタイイング会場に戻って巻く。
  鉤自体(バーブレス化、アイの作成)とマテリアルの事前改造は自由です。
  ただし、事前に羽根やスレッド等をハリに付ける事は認めません。

■計測
  計測は主催者のオフィシャルが担当する。
  時間内に計測所に持ち込まれた魚のみが計測対象。
  魚が釣れたら主催者が用意する入れ物に魚を入れ、弱らせないように計測所に持ち込む。
  死んでしまったり、リリース不可能なほど弱った魚は計測対象外とする。
  釣り上げた全ての魚は釣り人立会いの下に計測し、その都度お名前とサイズを記録します。
  計測確認をしていただいた後にオフィシャルが「ポンド」へリリースします。
  明らかに40㎝を超える大物が釣れた場合はオフィシャルへ連絡を下さい。釣られた地点までオフィシャルが計測に向かいます。
  この状況の魚に限り、釣れた地点へ再放流する事とします。

■その他
  大会で使用する竿は開始前に仕掛けをセットしておいてOKです。
  使用できる竿は一本です。スペアの竿に仕掛けをセットするのは認めません。
  セット済みの竿は所定の場所に置く事。
  エリア内に置き竿をしたまま検量に来た場合は無効とします。
  必ず竿も持って検量に来てください。

■賞
  ★優勝:1名。指定区間、指定時間内に最大長の魚を釣った方。
   複数同寸の魚が出た場合はジャンケンで順位決定
   優勝賞品:何かあります。お楽しみに。
   優勝者は受賞時に釣れた状況(釣り方や毛鉤等)を公表する事を義務付けます。
  ★その他にも、参加賞、飛び賞などなど色々ご用意してあります。

【注意事項】
  大会中に係る事故、怪我及び盗難等の責任は一切負いません。自己責任でお願いいたします。
  大会当日は一般入場者の方も居りますのでご注意願います。
  ご質問はTTCの釣り場担当、エノサワまで営業時間内にご連絡願います。
  申し込んだのに返信メールが来ないという方もこの時間内にご連絡ください。
  電話0428-83-2788 (9時から15時まで 月曜日定休)
  事前準備のためキャンセルされる場合は3月3日までにご連絡ください。
  それ以降のキャンセルは所定の料金を頂戴します。

第3回Kカップ
主催者 TOKYOトラウトカントリー
協力 吉田毛鉤会 川よし釣具店 他、有志の皆様

今シーズン最後の渓流釣り

2014年09月29日 08時00分23秒 | 渓流釣り
今シーズン最後の渓流釣りに行って来ました。
 当初、今年最後は先日見つけた巨大ヤマメに逢いに行こうと思っていたのですが、先日行った時も見えなかったし、当日は僕らの会の会員が狙いたいとのことでしたので、僕は他の川に行きました。
 大アマゴで有名だったこの渓も、現在はニジマスばかりで思っているような釣りが出来ません。漁協の営利主義的放流には本当に憤りを感じます。

 相変わらずニジマスが釣れて来ます。中には64㎝なんていうもの居てそれなりに引いてくれるのですが、掛けた時から判ってしまうので釣れても感動の「か」の字もありません。それどころか、上記のような腹立たしさが残るだけです。そもそも大アマゴで有名だったこの渓なのですからこんな放流方法(価格の安いニジマスを大量に放流すること)はやめて、同じ仕入れ額で購入できるだけの在来種のアマゴを放流してもらいたいものです。大型の綺麗なアマゴに竿を絞られたら誰だってその川に通うに決まってます。そうすれば釣り人が宿に泊まったり食事をしたりするのですから地域活性につながることは確実です。

 そんな渓ですから何匹も何匹もニジマスを釣ると、稀にアマゴが釣れて来ます。今回はこんなアマゴが釣れてくれました。朱点が朱ではなくオレンジっていうか鉄錆色で毒々しいアマゴです。
 僕が住んでいるのは関東ですのでアマゴ圏ではありません。で、アマゴは見たことがありませんでした。一度アマゴってやつを見てみたくて行った時、初めて釣ったアマゴがこんな感じのアマゴでした。今となってはなんとも思わないアマゴですが、当時の僕は触ることさえ躊躇われてしまいました。病気のヤマメが釣れたと思えたのです。薄気味悪くてしばらく吊るしておいたのですが、勇気を出して大急ぎで鈎を外してリリース(って言うより投げ捨てた感じ)しました。
 こんな思い出があるサビサビ色のアマゴ。尺丁度くらいのアマゴですが、側線下まで派手に朱点があって、ヒレにも黒点があって・・・ヒドイものです。こんな魚で今年の渓を締めくくった僕です。気分がいいはずがありません。

とはいうものの、まだ未練がましく禁漁まで日がある渓には行こうと思っています。

これが終わるとタナゴ釣りやヒラメ釣りにシフトして行く予定でいます。

巨大ヤマメ

2014年09月24日 20時25分35秒 | 渓流釣り
まさに怪物・・・そんなヤマメと遭遇してしまったので現在入れ込み中です(笑。
 下のスレにも書きましたが、ヤマメは差し物となると巨大化します。60㎝クラスも多々見受けられます。しかし差し物ではないヤマメ(下流に海や湖などのような広大なエリアがないエリアのヤマメ)ではそれほど大きくならず、尺(概ね30㎝)を超えれば‘尺物’と呼ばれて珍重されるくらいです。ところが、差し物だって基本的にはヤマメですから、ヤマメも環境が整えばそのくらいの大きさになるポテンシャルを持っているわけです。僕のヤマメの自己記録は51㎝ですが、知り合いは63㎝をも釣っています(共にサクラマスと差し物は除く)。そしてこの秋、自己記録をはるかに超えるヤマメと遭遇してしまったのです。
 どのくらいの怪物かというと画像の通りです。
 ここは本来なら鮎のエリアですから沢山の鮎が泳いでいます。先日、純草食性と言われる鮎ですが、魔が差したのかミミズを咥えてしまいました。概ね20㎝ほどでした。鮎は年魚(1年で生涯を終える魚)ですから、沢山の鮎は多少の違いはありますがほとんど同じくらいの大きさです。
で、その鮎が一緒に写った奴の写真です。ヤマメの背中の黒点やこの季節ですから鼻が曲がっているのも判ります。鮎の3倍くらいあるのが判って頂けるのではないかと思います。つまりは60㎝ほどのオスのヤマメです。

 これだけの巨体を維持するにはそれなりに餌を沢山摂らなければなりません。ですから餌を目の前に流せばすぐに食い付いてくるのではないかと思われがちです。たしかに一般論としてはそうなのですが、そういうヤマメはとっくに釣られてしまってここまで大きくはなれないのです。完全に人を見抜き、鈎を忍ばせた餌を判別して生き延びてきた魚です。ですから実に狡猾であり、奴に口を使わせるのに僕の技量ではとても足りません。で、一時は諦めていました。でも、こいつを見てしまってからは寝ても覚めても奴のことばかり考えていて、とてもこのまま見過ごすことはできなくなってしまいました。こんな大きなヤマメにこれから先出会えることなんてまずないでしょう。ここは自分の釣りを進化させるためにも何とか奴に口を使わせて今後の釣りに生かしたいと思い、それはもうありとあらゆる手段を講じました。そして、いまだに完全無視を続ける奴にもう成せる手段はなくなってしまいました。今月末をもって禁漁期になってしまいます。これで終わりでしょうか?あと2回チャンスがあるのでまだ諦めたわけではありませんが、心の底のほんの少しだけ諦めムードになってしまってます。

 奴の狡猾さは想像を遥かに超えていますので、孤軍奮闘はしてみますがきっと空回りになるでしょう。これだけの大きさになっているのですからもう奴も寿命だと思います。釣られなければ奴は今年で寿命を全うし、来年はもう会えないと思います。それでいいのかもしれませんが、やはりあと2回のチャンスは無駄にしたくないと思ってしまいます。

秋あまご

2014年09月15日 09時56分00秒 | 渓流釣り
秋。それは‘ヤマメ・イワナを釣りの対象とした釣り人’にとっては特別な季節です。
大物が釣れる確立が高い時期なのです。
特に大物狙いの釣り師たちが一年を通してもっともときめく季節です。‘あの場所に大ヤマメが入ったのではないか?’とか‘あの淵の大ヤマメは移動したのではないか’などと思案にふける日々を間近に迫った禁漁期が煽ります。
‘ヤマメ・イワナを釣りの対象とした釣り’、特に‘ヤマメをメインに狙う釣り’は大きく二つのカテゴリーに分けられます。山岳渓流に分け入ってヤマメを釣る、昔から『渓流釣り』と言われるタイプと、『本流釣り』と言われる里山から河口までをテリトリーとして大ヤマメを狙うタイプの釣りです。

“本流釣り”はまさに本流の大物を狙う釣りです。小さな支流よりスペース的にも充分で餌が豊富な本流は魚が大きく育ちやすい環境です。今は過剰放流の時代ですから、尚更本流に落ちて巨大化したヤマメが多くなり、ヤマメでも40㎝・50㎝時には60㎝をも超えることがあります。しかし、そのほとんどがパーマークは消え去り、尾ビレ回遊魚的な形に変化した、つまりはサクラマス的な魚体であることが多く、その魚体にヤマメの片鱗を探せと言われても、ほぼ見当たらなくなってしまいます。まるでヤマメとは別の魚のようです。こんな事から『ヤマメ』と『サクラマス』、同じ魚なのに別の名前が付いているのが私的にすんなりと受け止められてしまいます。


一方、支流に棲息圏をもつヤマメたちはサクラマス的な変化はしません。彼らは秋が迫ると産卵に向けて体を変化させます。オスは吻が尖り、俗に言われるハナマガリとなり凄みが出ることは一緒ですが、その他にも体色は紅が濃くなり、体表のヌメリも多くなる所為かパーマークが奥まって見えるようになります。・・・こんな魚を目の当たりにすると嵠師たちは秋を感じるのです。

 先日、大物狙いの会員から某河川の大アマゴを狙いたいとの意向があり、その案内役として同行させて頂きました。本流の大物は勿論ですが、この時期になると本流の大物が産卵のために支流に入ってくるので(このような魚は『差し物』と呼ばれます)釣りやすくなるのです。勿論、その本籍地は本流ですからヤマメと同様アマゴ(ヤマメの亜種)もパーマークは消え、サツキマス(アマゴの降海型)化した魚です。僕自身、過去にこの川の差し物を狙って釣行を重ねた時期がありました。釣技の低い僕ですから一日で何匹も釣れることはなく、釣れて一匹、でも釣れない日がほとんどという釣りです。でも、一匹でも釣れるとその感動は筆舌に尽くしがたい物があるので相当の日々をこの川で費やしたものでした。差し物狙いですから秋限定の釣りですので今時分が丁度その時なのです。
 現地について釣り服に着替えているとさやさやと流れる風は肌寒ささえ感じました。いいタイミングかもしれません。しかし、いざポイントに向かう僕の足にまだ温かさが残る水の流れを感じました。ここは僕が過去に一番実績を上げているポイントなので、同時に今日一番の本命ポイントなわけです。同行した彼に是非釣ってもらいたいので僕はカメラだけを手に向かったのですが、ポイントは昨年から今年の雨で砂利が入って小さくなってしまいました。合わせて底床も浅くなってしまっていました。もっとも、差し物はポイントの大小はあまり関係ないので、早速彼に竿を出してもらいました。しかし超小物の魚信があっただけで不発。まだ差し物の時期に入っていないことを理解しました。そこで、差してないのであれば本流に居るはずですので本流釣りに変更。僕が過去に実績を持つポイントを次々と移動しながら釣って行きました。彼の釣りに邪魔にならない規模の場所では僕も竿を出しました。ひとついいのを掛けましたが最近低迷している僕ですから案の定のバラシ。掛けた状況からして多分ニジマスでしたが、サイズ的にはまぁまぁだったように感じました。またある場所(ここは定員1名の狭いポイント)では同行した彼が化け物を掛けがのですが、これまた痛恨のバラシ。その後は彼に一通りのポイントを探ってもらったのですが残念な結果に終わりました。
 そしてまだ時間があるので最後に差し物は諦めて魚の顔を見に支流に入りました。この支流は綺麗なアマゴが釣れるので僕の一番のお気に入りの沢です。僕は彼の釣りを見たかったので一緒に釣ろうと思ったのですが、彼が『分かれて釣りたい』とのこと。きっと何か魂胆があるのでしょう(笑。小渓ながら過去に何匹も尺は釣っている沢ですのであなどれません。今年生まれのオチビちゃんに邪魔されながらもポツリポツリと釣れてきます。そしてそんな中で釣れた一匹が画像のアマゴです。ぴったり尺というなんともおめでたい魚ですが、秋色の魚体、そして顔。特筆すべきは側線下に朱点がないことです。勿論放流魚ですが、天然物を髣髴とさせるようなこの魚に出会えてとても嬉しく感じるとともに、渓に佇みながら『秋だなぁ・・・』と感慨にふけってしまいました。
 そんな彼らに出会える年に一度の季節。あと残りはわずかですから皆様も是非出かけてみてください。

忘れていた物

2014年09月03日 23時05分10秒 | 渓流釣り
渓流釣りはほぼ3年間餌釣りから離れててんからに傾倒していた僕ですが、ここのところ再び餌釣りもやるようになってきました。
 てんからはとても面白い釣りです。毛鉤を魚の居るレンジまで持っていくことはせず、魚の方をその気にさせ、水面近くまで魚を引き出して口を使わせて掛ける釣りです。ですから毛鉤操作によって釣果に雲泥の差が出る釣りです。よって毛鉤にはあまり頼らないので普通は一種類の毛鉤で総てをまかないます。とはいうものの、本当に総てがまかなえるか?と言えば・・・正直言って無理です。でも、それでいいのだと思います。その場にいる魚の総てを釣ることを目的にしてはいないのですから。もっとも魚がいるレンジまで毛鉤を届けて釣るテンカラという釣りもありますが、こちらの方がどちらかといえばまかなう範囲は多いと思われます。こちらはナチュラルドリフトが基本ですので釣りのテクニックというよりは毛鉤巻きのテクニックや道糸やハリスの選択が重要になります。如何に虫に似せらた毛鉤を如何に自然せるかの勝負です。
 ではなぜ僕がまかなえる範囲が広いテンカラを選ばず、範囲の狭いてんからを好むかと言えば、釣れた時の“してやったり感”が大きいからです。てんからで使う毛鉤はゴミにしか見えません。一方テンカラで使う毛鉤は虫(餌)なのです。ではなぜそのゴミにしか見えない毛鉤に魚が食いついて来るか?といえば、その動きに魅せられて食いついて来るのです。ですからてんからで使われる毛鉤をナチュラルドリフトすればほぼ9割以上の魚は口を使わずにUターンしてしまいます。つまり、もし釣れたら自分の毛鉤操作が魚の食欲の活性をあおり、その食欲が警戒心を上回らせた証拠なのです。ですからポイントを前にして“ここは早めに誘いを掛けよう”とか“ここは駄々引きで”とか攻め方をいろいろと考えて毛鉤を撃っていきます。そしてその計画通りに魚が出てくれたら至福の時が訪れるのです。

テンカラではなく、てんからの魅力について少々触れましたが、テンカラのように餌に似せた毛鉤を使って釣るのなら餌釣りをしてしまえばいいと思ってしまう僕ですので、今の僕の渓流釣りにはテンカラは無く、てんからと餌釣りしかありません。以前はフライ・フィッシングやルアーもやったのですが、リールが付いていると魚とのやり取りが安易過ぎて面白さが半減してしまうことに気が付き、今ではやっていません。餌釣りは○十年の経験がありますので本当の僕は餌釣り師だと思います。で、最近再び餌釣りを始めたのです。そうしたらすこぶる上手く行かず、なんかぎごちないのが自分でも分かります。でも釣果はそこそこあって、ヤマメの尺オーバーが4釣行連続。しかも35㎝オーバーの「スーパーヤマメ」と呼ばれる物も2匹。「やはり(てんからに比べて)餌釣りは釣れるなぁ・・・」と思って図に乗っていたら、その後急に釣れなくなってしまいました。これはどうした事か?3年のブランクはこれほどまでに大きいのか?などと考えあぐねている最中、釣り友の某大物釣り師と連絡を取る機会があり急遽一緒に行くことになりました。彼にはいまで沢山のことを教えてもらい、僕の釣への影響はとても大きいものがあります。ですから僕は勝手にお師匠さん呼ばわりさせていただいています。おりしもこんな沢山の疑問に埋もれているタイミングですので願ったり叶ったりです。
 餌釣りでも以前のように釣れなくなった理由に時を感じていた僕ですが、彼の釣りは、その原因が“時”ではないことを教えてくれました。彼はその場その場で釣り方を変えていました。僕の釣りは相手がヤマメだろうと岩魚だろうと、ポイントが淵でも瀬でも、とにかく自分の釣り方を押し付ける釣りですのでそれがその日の魚の気分に合えば釣れるのですが、合わなければ撃沈です。そんな簡単なことに今まで気が付かずにいました。日々進化し続ける渓流釣り。それを追従するために変幻自在の釣りができることが必要であることを痛感した一日でした。







ハリガネムシ

2014年08月10日 19時41分35秒 | 渓流釣り
ちょっとグロですがハリガネムシ・・・。
基本的には水棲生物ですが、その生活において一時は陸生昆虫に寄生して陸上で生活する虫(?)です。ハリガネムシは9月から10月が産卵期です。よってその前の夏~秋にかけて寄生していた宿主(カマキリやバッタ)から水中に帰らなければなりません。そこで彼らは宿主(カマキリやバッタ)の脳をコントロールして水辺に行かせて水にダイブさせ、水に入ったら腹を突き破って水中に出、再び自由に泳ぎ出し再び産卵するという恐ろしい生き物です。本当に脳を支配しているかどうか?は現在解ってはないようですが、ハリガネムシが寄生したカマキリの脳からある種のタンパク質が見つかっており、それが脳になにかしらの影響を与え、水辺に向かわせているらしいのです。そして宿主を水に入れ、ハリガネムシは体内から無事脱出をするわけです。カマキリやバッタが好んで水にダイブすることはないでしょうから、理屈はさておいても宿主が自身の行動をコントロールされているのは確かだと思います。何も考えずにただまったりと動いているだけに見える生物ですが、こんな恐ろしい(他の生命体の脳を支配して自殺させる)ことが出来るなんて恐過ぎます。

 以上のように恐ろしい寄生虫ではあるわけですが、この世に無駄な生物は一つもいないと言われるように、この恐ろしきハリガネムシにも良いところもあるようです。京大の研究ではハリガネムシが河川の生態系に大変貢献しているというのです。それは『ハリガネムシ(類線形虫類)という寄生虫(写真参照)が、宿主であるカマドウマ・キリギリス類(陸生昆虫類)の行動を操作して河川に飛び込ませることで、渓流魚に大きな餌資源(河川に飛び込んだ宿主)をもたらすという現象を発見し、そのような宿主が、渓流魚の年間摂餌量の6割をも占めることを明らかにした。』というのです。加えて『このような寄生者を介した渓流魚への陸生昆虫の供給が、渓流魚による水生昆虫類の摂餌量を低下させ、その影響が藻類やさらには河川の生態系機能(有機物の破砕速度)にまで波及することを大規模な野外実験によって実証した。』とのこと。もしかしたら案外いい奴なのかもしれません。

画像は2014年8月7日に釣った尺ヤマメの肛門から出ていたハリガネムシです。

やまめ

2014年07月18日 21時00分58秒 | 渓流釣り
てんからばかりやっていた僕ですが、本来は餌釣り師なのです。ただ、餌釣りよりもてんからの方が『してやったり感』が大きいので最近気に入っているだけです。てんからは職漁師の釣りですから数釣りに傾倒した釣り方だと思われている方が多いかもしれませんが(僕がそうでした)、古老たちは『毛鉤は型が良い』と言っていたらしいです。ところが実際にやってみると大物どころか小物も釣れません。それでもたまに釣れるとそのしてやったり感は餌釣りのそれよりも大きく感じられることを知りました。
 僕らは漁師ではありませんから、どれだけ釣るか?よりも、どれだけ楽しめるか?が問題なのです。そうした場合、本物の餌を使うより偽物の餌らしい物で魚を騙して釣る方が楽しみが多くあるように思えました。特にてんからで使う毛鉤はは匂いも味もなく、形も色も本物の餌とは程遠く・・・つまりはどう見ても餌には見えない物ではありますが、それを餌らしく動かすことによって魚に口を使わせる釣りですから釣れた時の感動は他の釣りにはない物があります。
 ところが今年は再び餌釣りもやっています。何十年もやってきた餌釣りですが、てんからでどうしても分からないことが溜まってきていて、ここで心気一転してその疑問を解決すべく再び餌釣りもやり始めるようになりました。
 長年親しんできた釣りですから、やはり釣れるのですがやはりイマイチ感動が少なくて。いっそのこと釣れなくてもてんからに統一してしまおうかと思い始めた矢先、こんなのが釣れました。てんからで狙っていたスーパーヤマメです。ヤマメは30㎝を越えると『尺物』と呼び、35㎝を越えると『スーパーヤマメ』と呼ぶらしいです。餌釣りでのヤマメの自己記録は51㎝。てんからで何匹かの尺物は釣っていますが総てが尺物、前回の釣りでもてんからで33cmが釣れてます。ですからいつかはスーパーヤマメを釣りたいと思っていました。
 しかしながらこのヤマメは餌釣りでの釣果。このくらいのサイズになると餌釣りでもしてやったり感はあるのですが、その反面、どうしてここでてんからをしてなかったのか?というくやしさを感じる一面もあります。ここでてんからをやっていればもしかしたらこの日がてんからでのスーパーヤマメデビューだったかもしれません。
 嬉しさ反面くやしさ反面の一匹でした。

これは・・・

2014年04月25日 09時25分13秒 | 渓流釣り
てんからは山奥で培われ育ってきた日本の伝統的な釣り方です。
でも、そんな釣りを下流帯でやってみました。
勿論、狙いは遡上の大物狙いなのですが、釣れてくるのはこんなのばかり。

 時々掛かる大物には相手にもされず、昨日も2.5号を切られて自分の釣りの未熟さを痛感しました。

 根掛かりが多いので鈎先が上を向くように工夫して釣ったので見事に上アゴのど真ん中に刺さりました。この辺の作戦は成功でした。

あとは釣技を磨くしかありませんね!

天空テンカラスペシャルSE

2014年04月17日 23時15分18秒 | 渓流釣り
 昨日も書きましたように『天空テンカラスペシャルSE』購入したので、今日早速僕らみんなで意見を出し合って堀江氏もOKを出した『天空テンカラ渓愚スペシャルSE』のプロトタイプと比較してみました。

 まず、画像のように仕舞寸法が1㎝ほど短くなっています。振り比べると『天空テンカラスペシャルSE』の方がわずかに軽いのですが、『天空テンカラ渓愚スペシャルSE』ほどしっかりしていなくて半分から上がペナペナな感じ。これでは大物との勝負は辛いかも。勿論、僕の技術ではってことですが。また半分から上がペナペナなので振った後の竿先の治まりが悪く、『天空テンカラ渓愚スペシャルSE』のようにピタッと止まりません。レベルラインを考慮しての事なのかも知れませんが、僕が欲しかったのは少々持ち重りがしていいからがっちりしていて大物が来ても安心してやり取りが出来る竿です。こういう柔な竿は他のメーカーからも沢山出ていますのでスズミさんらしさがない竿となりました。総てが違うのですからこれはあのプロトとは無縁な竿のようです。


スズミさんにお願いです。是非『天空テンカラ渓愚スペシャルSE』を販売してください。


天空テンカラ スペシャル SE

2014年04月16日 23時10分53秒 | 渓流釣り
一般の方にはなんともないテンカラ竿が発売されました。
『天空テンカラ スペシャル SE』という竿です。
皆様にあっては普通のテンカラ竿ですが、僕にとっては特別な竿なのです。
まずは過去のここ(http://blog.goo.ne.jp/ashitamotenkida/e/bf20700288191a40a80bd4adf52c9a40)を読んで頂きたいと思います。

 彼がこの竿を開発している時はかなり病状が良くなく、立てなくなっていた彼を車椅子と共に病院から釣り場に連れて行ってのテストでした。季節的に魚の活性はかなり低く、彼をもってしてもなかなか魚が掛かりませんでした。そんな時は『テスト願います。素人がやるような竿さばきで。』って。ある程度の経験者は竿が折れないようにする方法を知っています。そしてそれを体が覚えていてそのように操作してしまうためにテストにならないのだそうです。合わせたらそのまま竿を起こして、思いっきり引っ張ってやらなければテストにならないとのこと。確かにこの竿をどんな方が購入するかは判りません。ベテランばかりならばいいのですが、初めて釣りをする人が使う場合もあるでしょう。ですから、そういうことを考えて操作して欲しいというわけです。そしてこれは僕だけではなく、釣り場を訪れる沢山の人たちにも同様にお願いし、その人たちから意見を聞き、そして仕上て行った竿です。この竿のテストに何人の人が関与したかは知りませんが、相当数だと思います。つまり、この竿には沢山の意見と想いが込められているのです。ですから是非発売していただきたく思っていました。
 そして先日、知り合いからこの竿が発売になったことを知りました。最終テストの竿には『天空テンカラ 渓愚スペシャル SE』と銘が打ってあったのですが、発売された竿には渓愚の名前はなくなっていました。これはかなりショックでした。何があったか知りませんが、堀江氏は他界するまでスズミのテスターでしたからよほどの事がなければ不自然です。死ぬまでテスター契約していたのですからスズミさんは何も遠慮することなく彼の名を使えたはずです。でもわざわざ渓愚の名を外したのか?訳がわかりません。憤りを通り越しております。

 加えて、この竿は僕らがテストして堀江氏がOKを出した竿とはかけ離れています。自重も軽くなってますし、調子もかなり違っております。全く別物です。値段なりの竿と理解いただけたらいいと思います。このことはこの竿のテストに関わった人全員が口をそろえるでしょう。
 もしかしたらこの竿があの竿の市販バージョンであると僕が早合点しているのでしょうか?そして今回発売されたこの竿は別の竿で、今後『天空テンカラ 渓愚スペシャル SE』として、また新たにあの竿が発売されるのでしょうか?
 堀江氏のテストに関わらせていただき、スズミさんはもっと素晴らしい技術を持っていることは明らかな事実です。是非あの竿を世に出してスズミさんのクオリティーの高さを世に知らしめていただきたいと思います。
 これがあの『天空テンカラ 渓愚スペシャル SE』の市販バージョンか違うのか?それは判らないことですから、今回は彼の遺作と思われるこの『天空テンカラ スペシャル SE』の三本を購入しました。
 今日はこれを見つめながら、あの最終テストの日、堀江氏が厳寒の中で厚着をして膝掛けをかけ、車椅子に腰掛けて淡々とテストを繰り返していた姿を思い出し、目頭を熱くしていました。あれから一年余りが経ちましたが堀江氏のお姿は、僕の中では全然風化しません。それだけ素晴らしいテンカラ師だったということでしょう。今思えば彼はまさにテンカラに生きた男です。
 最後に彼が僕に言った言葉で忘れられない言葉があります。それは『○○さん(管理人)は大変ですね!だって、仕事と趣味(釣り)が別物ですから。僕なんか仕事が釣りで趣味が釣りですから毎日楽しくて仕方ありません。』という言葉です。竿の名前から『渓愚』が外されても、きっと今でもあちらで楽しくやっていることと思います。

成果

2014年04月13日 22時05分27秒 | 渓流釣り
久しぶりの更新になります。
原発のことや消費税の事、STAP細胞の事・・・etc.色々と書きたいことがあるのですが。

今回は(も?)釣りネタです。

釣りはコツが分かるまではなかなか思ったような結果は出せないことがほとんどです。
そんな時は誰かに聞いたり、試行錯誤したりしてその壁を乗り越えるのが普通です。
でも、なんと言うか・・・センスがいいと言うか、持ってるというか。
時々、いきなりやっちゃう人っているんです。

この彼は以前よりタナゴ釣りなどをして、釣りの経験は豊富です。
そんな彼ですが、僕が前回教えた釣り方をもうモノにしていて、今日はもうこれですから。
いきなりの52㎝。立派だと思います。
多分、前回の釣りを終えてた後、ずっと色々と考えていたのだと思います。
この『考えること』こそが釣りの醍醐味だと思います。

教えた側としても、こうして結果を出してくれる人はとても嬉しいです。
ありがとう!TOURANさん。

明日

2014年03月10日 22時32分44秒 | 渓流釣り
明日は東日本大震災の日です。あれからもう3年・・・月日の流れ早いですね。
僕もこの震災で知り合い3人を失いました。
本当に悲しい日です。

でも、僕にとってもっとも頭に浮かんでしまう事・・・この日はテンカラ界の重鎮、堀江渓愚氏の命日です。
今でも残念で無念でなりません。
テンカラの総てを知っているような人でしたからまだまだ沢山聞きたいこ事がありました。そしてもっともっと同じ時間を共有したかったです。
僕のようなペーペーの釣り師でも相手にしてくれる優しい人でした。
ですからいまだに心にポッカリと開いた穴は塞がっていません。

今日は3時25分まで起きていて合掌です。

本当に惜しい人を亡くしました。