マンサク科というとどんな花木を思い浮かべますか?
きょうは安城デンパークのマンサク科の花を3つ。
その3種類は何でしょう? (^_-)-☆
マンサク ’アーノルド・プロミス’
マンサク科には約20の属があるそうです。
その中でもトップダウン式に名前が出て来るのはやはりマンサク属(Hamamelis)でしよう。
この ’アーノルド・プロミス’ という品種はアメリカでできました。
学名は Hamamelis × intermedia ‘Arnold Promise’
学名の intermedia(インターメディア)とはこの場合、中国のマンサク(シナマンサク)と日本のマンサクの両方の性質をもつ、ということです。
以下、ハーバード大学アーノルド樹木園のサイトの記事より引用します。
「1907 年から 1909 年にかけて、(ボストンのハーバード大学にあるアーノルド樹木園の)植物収集家アーネスト ヘンリー ウィルソンは、樹木園を代表して中国中を旅して植物材料を収集しました。ウィルソンは中国のマンサク (すなわち Hamamelis mollis シナマンサク ) から種子を収集し、ボストンに送り返しました。」(ハーバード大学アーノルド樹木園「'Arnold Promise' Witch-hazel」Google日本語訳より引用)
「20年後、その種から育てられたマンサクが他の数種のマンサクに混じって樹木園の風景の中で成長していました。樹木園の普及者ウィリアム・ジャッド氏が標本から種子を採取し、発芽させた。温室と苗床でしばらく過ごした結果、最終的に7本の苗木が植えられました。」(同上)
「数年後、得られた植物は独特の特徴を示し、樹木園のスタッフはそれらの植物が本当に普通のHamamelis mollis(シナマンサク)であるかどうか疑問を持ち始めました。調べたところ、この植物はシナマンサクと、種子を採取したときに近くに生えていた日本のマンサク( Hamamelis japonica )と偶然交配していたものであることがわかりました。分類学者のアルフレッド・レーダーは、2つの親植物の「intermedia 両方にまたがる」特性にちなんで、この雑種を Hamamelis × intermedia と名付けました。」(同上)
「1950年代後半までに、樹木園のスタッフは、樹木園のハネウェル管理棟のそばに生えている雑種ウィッチヘーゼル(カナダやアメリカ東部原産のマンサク)が、その兄弟よりも長期間確実に大きな花を咲かせることに気づいていました。また、この花は、両親の良いところも引き継いでいるように見えました。より寒さに強い性質、より長くて波打つ花びら、魅力的な花瓶の形、そして(日本の)マンサクから落ち葉を保持しないという性質を獲得しました。中国のシナマンサクから、より豊富な鮮やかで香りのよい花を咲かせる性質を継承しました。こうしてこの植物は「‘Arnold Promise アーノルド・プロミス’」という名の品種 (明確で再現性のある特徴を持つ植物のバージョン)として選別され、登録されることになりました。」(同上)
トサミズキ
2つ目のマンサク科は 意表を突く?トサミズキ。
名前に「ミズキ」がつくのでミズキ科と勘違いしやすいのですが、マンサク科トサミズキ属の落葉低木です。
学名:Corylopsis spicata
属名の Corylopsis は兜のような花の形からギリシア語の Corys(兜) と opsis(似ている) に由来 します。
種名の spicata は 「穂状花穂を持つ」という意味のようです。
判りやすいですね (´∀`)
土佐の蛇紋岩(超塩基性岩)地帯にのみ自生することで有名です。
これはトサミズキが珪酸を含まない超塩基性岩地域を好むということでなく、植物にとって過酷な条件の土壌で、他の植物が育たない地域で、何とか生きてきたということのようです。
超塩基性岩地帯では一般に植物に必要な無機成分(カリウム、カルシ ウムなど)が少なく、有害とされるニッケル、マグネシウム、クロム成分を多く含むため、植物の生育に不適な環境条件になっています。
蛇紋岩植物のリン含有率を調べたところ、含有率は他の一般植物に比べかなり低い水準なのですが、リン含有率に対する他の必須元素の相対濃度は非常に高いことが明らかになりました。「つまり,蛇紋岩植物のリン含有率は低いが,他の必須元素とのバランスでは,一般植物よりも有利な条件を備えていると結論づけた(堀江, 2002)」.
(地質学雑誌 第112巻 補遺「高知県の蛇紋岩地の植物と高知県立牧野植物園 」161~168ページ,2006年9月、PDF)
また、超塩基性岩地帯ではニッケルや銅などの重金属過剰なため生育に必要な鉄分の欠乏を引き起こしやすいのですが、トサミズキをはじめとする蛇紋岩植物では体中のニッケル含有量に対応した鉄を積極的に吸収し体内の比率を下がらないように調整し、ニッケル障害を回避しているらしいことも判ってきました。(同上)
過酷な環境に適合し進化してきたため生き延びてきたのがトサミズキをはじめとする蛇紋岩植物のようです。
ロドレイア・チャンピオニー
3つめは(だれも思い浮かべなかった?!)ロドレイア(@_@)。
四季の花木園プラザ横で咲いています。
品種名は ロドレイア・チャンピオニー(Rhodoleia championii)
マンサク科ロドレイア属の常緑低木で、樹形や葉がシャクナゲに似ているので「シャクナゲモドキ」とも呼ばれます。
中国南部~東南アジアにかけて分布しています。
最初に香港で見付けられたので、英名で「Hong Kong rose」と呼ばれているとか。
この株は一枝に20輪近くの花を咲かせる、特別に花付きの良い個体を選抜したもので、他では見ることができません(デンパークの説明より抜粋)
つぼみのときは ゴンズイみたいな感じで、私は最初 ツバキ科の木かと思ってました(←個人の感想です (´∀`))
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きょうは安城デンパークのマンサク科の花を3つ。
その3種類は何でしょう? (^_-)-☆
マンサク ’アーノルド・プロミス’
マンサク科には約20の属があるそうです。
その中でもトップダウン式に名前が出て来るのはやはりマンサク属(Hamamelis)でしよう。
この ’アーノルド・プロミス’ という品種はアメリカでできました。
学名は Hamamelis × intermedia ‘Arnold Promise’
学名の intermedia(インターメディア)とはこの場合、中国のマンサク(シナマンサク)と日本のマンサクの両方の性質をもつ、ということです。
以下、ハーバード大学アーノルド樹木園のサイトの記事より引用します。
「1907 年から 1909 年にかけて、(ボストンのハーバード大学にあるアーノルド樹木園の)植物収集家アーネスト ヘンリー ウィルソンは、樹木園を代表して中国中を旅して植物材料を収集しました。ウィルソンは中国のマンサク (すなわち Hamamelis mollis シナマンサク ) から種子を収集し、ボストンに送り返しました。」(ハーバード大学アーノルド樹木園「'Arnold Promise' Witch-hazel」Google日本語訳より引用)
「20年後、その種から育てられたマンサクが他の数種のマンサクに混じって樹木園の風景の中で成長していました。樹木園の普及者ウィリアム・ジャッド氏が標本から種子を採取し、発芽させた。温室と苗床でしばらく過ごした結果、最終的に7本の苗木が植えられました。」(同上)
「数年後、得られた植物は独特の特徴を示し、樹木園のスタッフはそれらの植物が本当に普通のHamamelis mollis(シナマンサク)であるかどうか疑問を持ち始めました。調べたところ、この植物はシナマンサクと、種子を採取したときに近くに生えていた日本のマンサク( Hamamelis japonica )と偶然交配していたものであることがわかりました。分類学者のアルフレッド・レーダーは、2つの親植物の「intermedia 両方にまたがる」特性にちなんで、この雑種を Hamamelis × intermedia と名付けました。」(同上)
「1950年代後半までに、樹木園のスタッフは、樹木園のハネウェル管理棟のそばに生えている雑種ウィッチヘーゼル(カナダやアメリカ東部原産のマンサク)が、その兄弟よりも長期間確実に大きな花を咲かせることに気づいていました。また、この花は、両親の良いところも引き継いでいるように見えました。より寒さに強い性質、より長くて波打つ花びら、魅力的な花瓶の形、そして(日本の)マンサクから落ち葉を保持しないという性質を獲得しました。中国のシナマンサクから、より豊富な鮮やかで香りのよい花を咲かせる性質を継承しました。こうしてこの植物は「‘Arnold Promise アーノルド・プロミス’」という名の品種 (明確で再現性のある特徴を持つ植物のバージョン)として選別され、登録されることになりました。」(同上)
トサミズキ
2つ目のマンサク科は 意表を突く?トサミズキ。
名前に「ミズキ」がつくのでミズキ科と勘違いしやすいのですが、マンサク科トサミズキ属の落葉低木です。
学名:Corylopsis spicata
属名の Corylopsis は兜のような花の形からギリシア語の Corys(兜) と opsis(似ている) に由来 します。
種名の spicata は 「穂状花穂を持つ」という意味のようです。
判りやすいですね (´∀`)
土佐の蛇紋岩(超塩基性岩)地帯にのみ自生することで有名です。
これはトサミズキが珪酸を含まない超塩基性岩地域を好むということでなく、植物にとって過酷な条件の土壌で、他の植物が育たない地域で、何とか生きてきたということのようです。
超塩基性岩地帯では一般に植物に必要な無機成分(カリウム、カルシ ウムなど)が少なく、有害とされるニッケル、マグネシウム、クロム成分を多く含むため、植物の生育に不適な環境条件になっています。
蛇紋岩植物のリン含有率を調べたところ、含有率は他の一般植物に比べかなり低い水準なのですが、リン含有率に対する他の必須元素の相対濃度は非常に高いことが明らかになりました。「つまり,蛇紋岩植物のリン含有率は低いが,他の必須元素とのバランスでは,一般植物よりも有利な条件を備えていると結論づけた(堀江, 2002)」.
(地質学雑誌 第112巻 補遺「高知県の蛇紋岩地の植物と高知県立牧野植物園 」161~168ページ,2006年9月、PDF)
また、超塩基性岩地帯ではニッケルや銅などの重金属過剰なため生育に必要な鉄分の欠乏を引き起こしやすいのですが、トサミズキをはじめとする蛇紋岩植物では体中のニッケル含有量に対応した鉄を積極的に吸収し体内の比率を下がらないように調整し、ニッケル障害を回避しているらしいことも判ってきました。(同上)
過酷な環境に適合し進化してきたため生き延びてきたのがトサミズキをはじめとする蛇紋岩植物のようです。
ロドレイア・チャンピオニー
3つめは(だれも思い浮かべなかった?!)ロドレイア(@_@)。
四季の花木園プラザ横で咲いています。
品種名は ロドレイア・チャンピオニー(Rhodoleia championii)
マンサク科ロドレイア属の常緑低木で、樹形や葉がシャクナゲに似ているので「シャクナゲモドキ」とも呼ばれます。
中国南部~東南アジアにかけて分布しています。
最初に香港で見付けられたので、英名で「Hong Kong rose」と呼ばれているとか。
この株は一枝に20輪近くの花を咲かせる、特別に花付きの良い個体を選抜したもので、他では見ることができません(デンパークの説明より抜粋)
つぼみのときは ゴンズイみたいな感じで、私は最初 ツバキ科の木かと思ってました(←個人の感想です (´∀`))
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