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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

距(きょ)について - ウンラン、スミレ、ケマン

2023-04-26 13:00:00 | みんなの花図鑑
今日は3つの花を取り上げていますが、ごく最近撮ったのは最初のマツバウンランだけで、他のふたつはずっと前に撮ってお蔵入りしそうになっていたものです。形は違うけれど どの花もみな<距(きょ)>をもっているということで、まとめてみました。

マツバウンラン

マツバウンランは(現在はオオバコ科に分類されていますが、かつては)ゴマノハグサ科の植物で、リナリア属に属していました。
オオバコ科に再編されるのに伴い、属名はウンラン属 Linaria から分離されたマツバウンラン属 Nuttallanthusに改められています。(三河の植物観察「マツバウンラン 松葉海蘭」)




あぜ道に群れて咲くととてもキレイです。(この画像はスマホで撮りました)





旧属名リナリアに共通する唇形花の花と言ったほうが分かりやすいと思いますが、下唇の中央が大きく膨らみ白地に黄色い点模様があります。





リナリアに共通する花の咲き方を仮面状唇形花と言うそうです。





でも今日の話題はその仮面の奥に隠れた牙のような突起のほうです。





すべての花にこの突起(距)が付いています。
「距」は(きょ)と読んでいます。
距(きょ)  植物の花びらや萼 (がく) の付け根にある突起部分。内部に蜜腺 (みつせん) をもつ。スミレの花びら、ヒエンソウの萼などにみられる。(goo 辞書)




余談になりますが、「距」と書いて(けづめ)と読むばあいもあります。「キジ目の雄の鳥のすね のうしろ側に生じる突起」のことです。





距(きょ) spur
花の萼や花冠の基部近くから突出した部分。たとえばスミレ,ノウゼンハレン,ランなどにみられ,通常その内部に蜜腺があり,虫媒と関係がある。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)




距(きょ)といっても、いろいろなタイプがあります。
あとに出て来るスミレの距はつぼ型で、キケマンの距は筒型です。





距があるので萼は距の部分を外して付いています。
というか、萼片の間から牙のように距が伸びています。






アリアケスミレ

(スミレの種類には全く詳しくないので、もしアリアケスミレでなかったら教えてください)




「アリアケスミレは、根出葉だけを出し、立ち上がる茎を持たないスミレで、その姿、葉の形、花の形など、非常にスミレに似ている。 ただし花色が白っぽく、その点でスミレとははっきり区別できる。」(Wikipedia)




スミレの距はマツバウンランの距とは形が大きく違っていて、これはつぼ型ですね




やはり花弁を保護していた萼片の間を抜けて出ています。




以前撮った画像ですが、何かの拍子で割れた(切られた)花があったので撮っていました。
子房の内部に胚珠が見えます。




つぼ型の距のほうに光って見えるものは蜜でしょうか?








キケマン

キケマンはケシ科の植物で「和名は黄色の花が咲くケマンソウという意味で、傷つけるといやな臭いがする。」(三河の植物観察「キケマン」)




キケマンの場合は花筒の底のほうがより張り出して距となっています。




「雄しべは、外側の花弁の内面につく距のある花弁に対生して束生し、中央の花糸の基部近くに蜜腺のある花弁の距が突き出る。」(同上)




(参考)ムラサキケマン














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