Blood,Sweat & Tears(BS&T)は、ジャズを聞き始めていた中学二年生の私が衝撃を受けた、ジャズロック・バンドです。
BS&Tは、ニューヨークの腕利きスタジオ・ミュージシャンたちにブルース・プロジェクトのメンバーが加わって結成。
トランペット、トロンボーン、アルト・サックスのホーンセクションに、リズム・セクションを加えた編成でした。
当時、私の頭の中では、ジャズとロック、4ビートと8ビートの音楽は全く別のジャンルとして分類されていました。
そして、ジャズを大人の音楽、ロックを若者の音楽と位置付けして、『演奏技術面ではジャズの方が遥かに上だよね』と、中学生のくせに、生意気にもロックやフォークなどの音楽を少し見下していました。
ところが、BS&Tを聴いてビックリ。
巧みなアレンジと卓抜した演奏技術で、4ビートと8ビートの間を奔放に行き来する彼らのプロフェッショナルなサウンドは、ジャズとロックの違い云々ということに拘ることの無意味さを私に教えてくれたのでした。
BS&Tの洗礼を受けた後の私は、ジャズ、ロック、ブルース、フォークなど、レコード会社や音楽雑誌の付けるジャンル分けを気にせずに、自然体で幅広く音楽を聴くようになりました。
みなみに、学生時代に私が心酔したエレクトリック・ベース奏者を三人挙げると、ジャック・ブルース(クリーム)、ラリー・グラハム(グラハム・セントラル・ステーション)、そしてジム・フィルダー(BS&T)です。
なお、BS&Tのサウンドは、グラミー賞を総なめする高い評価を得て、当時の音楽シーン全体に強烈な影響を与えるとともに、ランディ・ブレッカー、ルー・ソロフ、デイブ・バージェロンなど、その後の音楽界をリードする凄腕プレーヤーたちを輩出しました。
写真は、1968年にリリースされた彼らの実質的なファースト・アルバムです。
(アル・クーパーがリーダーとなっているアルバムが、その前に一枚出ていますが、コンセプトがかなり異なります)