11月にしては暖かな日、久しぶりに実家を訪れた。
「柿がたくさん採れたから、またには帰ってらっしゃいよ」
そんな母の言葉に押され、“柿用”にスーツケースをゴロゴロ引いて電車とバスを乗り継いで...。
いつもの家屋、いつもの物干し台、いつもの縁側。
門を入ってそれらを目にすると、いつものようにホッとする。
「ただいまぁー」
「はいはい、いらっしゃい」
「おぅ、よく来たな」
いつもの父と母の声...そう思ってみても、額に刻まれるシワは深くなり、髪は薄く白くなっていて、齢(とし)を感じずにはいられない。
お互いの調子やら孫の成長やらを確かめあえば、あとはどうでもいい話をつらつらと...。
そうして時はいつの間にか陽が傾き始める頃となる。
「また来るね」
そう言って玄関を出ると、あっ...と思った。私の大好きな花“ブルースター”が咲いている。結婚式のブーケに使ってもらったっけ。
清らかでやさしいブルーの可憐なその花は、母の可愛らしい笑顔と重なるようで、
「またいらっしゃい」
そんな声をかけてくれたようで何だか嬉しかった。
☆ピントがずれてぼんやりも良き☆
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