春風のうた by 綾乃 ♪

お元気…ですか?
頬をなでる…ふわり、とした風が
何とも心地よい…そんな季節にはじめた日記です。

祖母の指輪

2006年11月03日 | 日々の雑感

久しぶりに祖母に会った。
何年ぶりだったろう…いや、1年も空いていないはずなのに、
なぜか何年も会っていないような気がした


「おばあちゃん、しわくちゃになっちゃっただろう…?あはっはっ」
なんて楽しそうに話す祖母は、もう95歳。
今も時々畑に出たり、こんにゃくや饅頭をつくったりしている。

わたしが小学生だった頃、牛や鶏、豚、蚕…と、
米や野菜のほかにも、丹精こめて育てていた祖母の家。
バスで数分のところだけれど、夏休みや休日に遊びに行くことが、
広い畑がある!その動物たちに会える!と思うと、
楽しみで楽しみでしかたがなかった。
もちろん、祖母の家の皆さんのあたたかいおもてなしも…。
そのなかで、異彩を放つように…とても厳格だった祖父。
雰囲気が「巨人の星」に出てくる星一鉄にそっくりで、常に背をピンッ!
と張り、眼光鋭く、孫たちの行動が間違っていようものなら…!
それでも、子供心に、理にかなっている…と思えたから
納得していた気がする。

そんな祖父と一緒になった可愛い祖母。
その手の、長い年月を感じさせるしわの刻まれた指に、
見慣れない金色の指輪がにぶく光っていた。
「おばあちゃん、それ?」と聞いてみると…。
70年近くも前のこと、祖父が贈ってくれた結婚指輪を、その後間もなく、
畑仕事をしていたときにどこかに落としてしまったそう。
それが…、すこし前、土のなかに何か光るものがある…と思って、
そっと拾ってみたら、…あの指輪だったんだよ…と、
それを愛おしそうになでながら話してくれた。

そんな長いときを経て…と驚くばかり。
祖父は、ずっと天の国で心配していたのだろう…。元気でやってるか?
皆はどうだ?俺たちの畑はだいじょうぶか?…と。
「おじいさん、はやく迎えにきてくれないかねえ…」
ぽつりとつぶやいた言葉に胸がつまり、
わたしはただただ黙ってその指輪を見ているしかなかった。

☆サプライズな話をありがとう。いつまでも、元気で…ね…☆



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