久しぶりに祖母に会った。
何年ぶりだったろう…いや、1年も空いていないはずなのに、
なぜか何年も会っていないような気がした。
「おばあちゃん、しわくちゃになっちゃっただろう…?あはっはっ」
なんて楽しそうに話す祖母は、もう95歳。
今も時々畑に出たり、こんにゃくや饅頭をつくったりしている。
わたしが小学生だった頃、牛や鶏、豚、蚕…と、
米や野菜のほかにも、丹精こめて育てていた祖母の家。
バスで数分のところだけれど、夏休みや休日に遊びに行くことが、
広い畑がある!その動物たちに会える!と思うと、
楽しみで楽しみでしかたがなかった。
もちろん、祖母の家の皆さんのあたたかいおもてなしも…。
そのなかで、異彩を放つように…とても厳格だった祖父。
雰囲気が「巨人の星」に出てくる星一鉄にそっくりで、常に背をピンッ!
と張り、眼光鋭く、孫たちの行動が間違っていようものなら…!
それでも、子供心に、理にかなっている…と思えたから
納得していた気がする。
そんな祖父と一緒になった可愛い祖母。
その手の、長い年月を感じさせるしわの刻まれた指に、
見慣れない金色の指輪がにぶく光っていた。
「おばあちゃん、それ?」と聞いてみると…。
70年近くも前のこと、祖父が贈ってくれた結婚指輪を、その後間もなく、
畑仕事をしていたときにどこかに落としてしまったそう。
それが…、すこし前、土のなかに何か光るものがある…と思って、
そっと拾ってみたら、…あの指輪だったんだよ…と、
それを愛おしそうになでながら話してくれた。
そんな長いときを経て…と驚くばかり。
祖父は、ずっと天の国で心配していたのだろう…。元気でやってるか?
皆はどうだ?俺たちの畑はだいじょうぶか?…と。
「おじいさん、はやく迎えにきてくれないかねえ…」
ぽつりとつぶやいた言葉に胸がつまり、
わたしはただただ黙ってその指輪を見ているしかなかった。
☆サプライズな話をありがとう。いつまでも、元気で…ね…☆
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