教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

ストライカーユニットの設計思想 (上巻)

2009-08-03 00:01:51 | オタネタ全般
GONZO最大のヒット作アニメ「ストライクウィッチーズ」。
この作品は「メカと美少女」ならぬ「メカ少女」のハシりみたいな作品である。

この作品は「少女」を抜いては語れないが、また同時に「メカ」を抜いても語れはしないない。
とりあえず今回の記事は「メカ」のほうについて書いてみようかと思う。
なんで少女のほうじゃないかってぇと、まあ気が向いたのがメカのほうだったから・・・としか言いようがないけどね。



さて、そのメカたるストライカーユニット。
こいつは2本1ペアのユニットを両足それぞれに履いて空を飛ぶものだ。

なんでこんな構造になっているのだろうか?

ふつうに戦闘機の代替として考えるなら、ふつうの戦闘機のように1つの動力で全体を駆動したほうが素直な構造のように思う。
なんでそうなっていないのだろうか?

1つの動力で全体を駆動した場合どうなるかをまず考えてみる。

ストライカーユニットを稼動させているとき、プロペラが回転することで推力を得る。
正確にはプロペラではないという話もあるが、まあ少なくとも回転式の推進装置であるのは間違いないだろう。
これは扇風機よろしく羽で推力を得る方式だ。

しかし!

この構造にはやっかいな問題がある。
プロペラを回すと、回す本体側がプロペラとは反対方向に回ろうとしてしまうのだ。
このままでは本体がクルクル回ってしまい使い物にならない。

ふつうはどうやるのか?

たとえばレシプロ戦闘機。
仮に右に回転しようとしてしまうのであれば、最初っから左回転しようとするように翼をずらして調整しておけば良い。
そうすれば、とりあえず特定の条件下でだけだがバランスがとれる。

しかしストライカーユニットには使い辛い。
回転しようとする力とバランスするだけの揚力を生む大きな翼をつけなければならない。
大きな翼が必須とすると、あのコンパクトで旋回性能に優れたストライカーユニットのメリットが損なわれる。
なおかつ特定の条件下でだけでしかバランスがとれないために操縦が難しくなるから、別の方法で何とかなるならそれにこしたことはない。

右回転するプロペラと左回転するプロペラとを2個直列に並べて使うという手もある。
こういうのを2重反転プロペラという。
だが、構造がかなり複雑になったりムダに圧力損失が発生したりと、それはそれで問題がある。
1944年のレベルでも2重反転プロペラはなんとか作れたはずだが、そもそも軍用の量産に使えたレベルにあったのかどうかは甚だ疑問だ。

ヘリコプターでは別の解決方法をとっている。
回転しようとする力が発生してしまうなら、その回転しようとする力と同じだけの力を横向きにつけた別のプロペラで打ち消してやればいいという方法である。
だからヘリコプターの後ろには小さいプロペラが横向きについている。

しかしこれは戦闘機を代替しようというような高速飛行を前提にしたものでは使いにくい。
だからストライカーユニットには採用できない。

ではどうすれば良いか?

案外カンタンな方法がある。
左右で2個使えば良い。
それぞれを反対側に回せば、回転しようとする力がキャンセルされて非常に使い勝手が良くなる。
劇中でも左右はちゃんと反対に回転しているように描かれている。

そんなカンタンな方法で良いのか?
なぜレシプロ戦闘機ではその方法を取らなかったのか?

カンタンだ。
エンジンとプロペラが2ついるからだ。
前方投影面積が増えるので空気抵抗が増えるし、動力を2つに分けざるを得ないので単位重量あたりの出力も低下する。
だから木の葉のように舞うドッグファイトをするための戦闘機には使われない。
まあ、重量物を運ぶための爆撃機なんかはハイパワーなエンジンがいるので、めんどうだから既存のエンジンを2つ使って所望の出力を確保するというようなやり方をとることもよくある。(めんどうだからってだけじゃないけど)

ストライカーユニットではその問題は起きなかったのか?

あんがい問題にならないかもしれない。
そもそも人間の足は最初っから2本あるので、あんがい空気抵抗は増えないかもしれない。
それに作中でもストライカーユニットの運動性能が不足しているような描かれかたはされていないので、単位重量あたりの出力低下があっても実用上気になるほど出力は不足していないのかもしれない。



実は片足づつ装備したことには思いのほかメリットがある。



(次回へつづく・・・)