笑顔浴

優しい時間

蛙さん

2009年10月12日 | Weblog
井の中の蛙 大海を知らず。

出典:「荘子-秋水」寓話。
井戸に足を掛けて蛙が東の海に住む亀に向かって自慢した。
「私はこの古井戸を独占し、居ながらに青天を望むことが出来る。
 君も中に入ってみないか」
亀は狭い井戸には入れなかったが、東の海の広さを聞かせた。
蛙はただ驚き、亀は蛙の見識の狭さに呆れた。

黄河の水神「河伯(かはく)」は黄河を下って、渤海へ到着した。
河伯は渤海の広大さに感動し、黄河を自慢してきた己の見識の狭さを恥じた。
包み隠さず渤海の神「若(じゃく)」に話すと、若は河伯にこう言った。
「井の中の蛙に海の事は理解できないだろう。
井戸の中が全世界だと思い込み、海を知ろうとしないからだ。
しかし、見識の狭さを知った君とは海について語り合える。」

井戸の底の蛙さんへ
井戸から見上げる空の青さや高さを知るあなたなら
海面から顔を出して見上げた空の輝きを語る亀さんと共感できるでしょう。

井戸と大海を比較すると、
広さや深さ以外にも差異はたくさんありますが
優劣は決めがたく、どちらも素晴らしい。
大海の変化に満ちた躍動的な世界より
井戸の中の穏やかさや静寂が私は好きです。

仮に優劣をつけたとしても
蛙と亀では、体形も食物も生活様式も異なり
結局、蛙は井戸へ、亀は海へ帰ってゆくことでしょう。

海の存在も知った上で、なお
自分の住んでいる井戸の良さを探して
自慢に思ってほしい私です。



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