子ども基金代表理事、崎山比早子さんの次のような訴え(「原子力資料情報室通信509号」掲載)には驚かされました。
子どもの甲状腺がんが福島県周辺で増えているとして福島の実情が述べられています。
「通常では100万人に多くても3人程度」と言われる小児甲状腺がんが、「福島県で、事故当時18歳以下の子どもに対し行われた一巡目の甲状腺検診では約30万人が受診し、116人が悪性ないしは悪性疑いとされ、これまで102人が手術を受け、101人ががんと確定されました」というのです。
さらに、その後の「2巡目の調査では約27万人が受診し、悪性ないし悪性疑いと診断された人は59人で、これまでに34人が手術を受け、全員ががんと確定されました」と。
甲状腺がんひとつとっても、福島のこどもたちの実情はマスコミなどでほとんど取り上げられず、逆に原発被災地の復興推進が煽られていますが、実際はこんなにも多い?!
もっと驚いたのは、国と行政、東京電力などの原発推進の加害者たちが、これら被害者たちの甲状腺がんの症状に対して「過剰診療と過剰治療」によるものだとの宣伝を加えているという告発です。
福島県には「県民健康調査検討委員会」(以下、検討会)という何か県民のための組織のようなものがあるそうです。
その検討会の「中間とりまとめ」では甲状腺がんが「数十倍の多発」だと認めているそうです。しかし、「検討会は、多発の原因として放射線被ばくは考えにくく、スクリーニング効果だとしています。検査をしなければ一生わからないようながんを、感度のよい超音波器を使うことによって見つけてしまったということです。」
「治療しなくても良いようながんを見つける過剰診断」「そのようながんを治療すれば過剰治療になります」・・・。
これが福島など原発被災地の実情だとすれば、主権者である日本国民として、いな一人の人間として許すことのできない現実ではないでしょうか?
みなさん、福島の現状を確かめにいきましょう。放っておくことができません。
2017年1月22日 東海林正弘 記