勝負は時の運というが、オリンピックを通じてそれを再認識させられる。
梨沙羅さんの場合、周囲の期待が大きかっただけにこの思いが強い。
考えてみれば、金メダルを取ることは並大抵ではない。
企業でも個人でも、どんな世界においても、トップになる確率は数%に過ぎない。
100人いたら、数人の成功者が出る程度だ。
日本の選手団は113名なので、金メダルをとる人数はせいぜい2~3名だろう。
そう思えば、残念だったね、と励ますしかない。
まだ若いのだから、期待値は高い。
あまり若いときにトップに立つと、後の楽しみがなくなると思えばよい。
それにしても、あの取材の嵐の中で、トップアスリートたちはよくやっていると思う。
現代スポーツの世界では、お互いに持ちつ持たれつの関係だからなのだろう。
彼らはスポーツ選手であって、同時にアイドルでもある。
そのことが収入をもたらすし、結果的にスポーツの振興につながる。
逆に言えば、ある取り組みを成功させるには、いかにマスコミの注目を引き付けるか、が鍵となる。
ただそこに虚偽を持ち込んではいけない。
宣伝をするということと、嘘をつくということは違うのである。
ところが自分に誠実であろうとすると、どうしても地味になってしまう。
そこで、新聞の見出しはセンセーショナルになりがちだ。
受け取り側の知恵としては、話は半分がよいのだ。
熱しやすくて冷めやすい日本人気質の中で、しぶとく生き残っているタレントには敬服している。