1970年、私が京都大学理学部に入学した年に、湯川秀樹先生が退官された。
当時、先生の退官講演を聞きに行った記憶がある。
先生の業績は、陽子と中性子を結びつける強い相互作用を担う中間子の存在予測だった。
この業績によって1949年にノーベル物理学賞を受賞した。
しかし、彼は京都大学では博士号が取得できなくて、大阪大学で博士号を取得している。
また、彼の初期の論文は、原爆の父オッペンハイマーによってrejectされてもいる。
すべてが順風満帆だったわけではない。
ヨハン・ルートヴィヒ・ハインリヒ・ユリウス・シュリーマンは、1873年にトロイ遺跡を発掘したことで有名だ。
幼いころホメロスの叙事詩イリアスを読んで発掘を志したといわれて、教科書にもなっているが、実際はシュリーマンの創作だとも言われている。
学位もなく発掘のプロでもなかった彼は、一部に偽装の疑いもかけられており、長い間、学会から無視され続けた。
2001年になって初めて学会からトロイの遺跡の発見者であることが正式に認知された。
人生というやつは、いろいろなことがあるものだ。
自分が信じる道を、やり遂げるしかないではないか。
結果は時代が判断してくれる。
大切なことは負けない強い意志と、地味な仕事をやり続ける忍耐力だ。
批判や中傷を恐れる必要はない。